シリア人権監視団はスワイダー市での集団虐殺の映像を公開、シャルア移行期政権の内務省の隊員3人が部族に変装して攻撃に加わっていたと発表(2025年7月22日)

シリア人権監視団は、スワイダー市のティシュリーン広場でアフマド・シャルア移行期政権の国防省の兵士らが、ドゥルーズ派の住民7人を集団処刑する様子を撮影した映像を入手したとしてこれを公開した。

集団処刑は7月15日に行われたとみられ、映像には、犠牲者たちがひざまずかされ、兵士らが「アッラー・アクバル」(アッラーは偉大なり)などと叫びながら、至近距離から銃弾を浴びせる様子が映し出されている。

犠牲者のなかには、アメリカ国籍を有する若者1名(H.S)も含まれていたという。

シリア人権監視団はまた、部族系武装勢力による攻撃が多数報告されているなかで、シャルア移行期政権の内務省総合治安局の隊員3人がこれに直接関与していたことが、信憑性の高い情報や映像証拠により明らかになったと発表した。

3人はすべてヒムス県のタッルカラフ市出身者、このうち1人は部族の衣装を着て変装し、ドゥルーズ派の民間人を処刑し、遺体を踏みつけている様子が写真に収められているという。

また、別の2人は、背中に剣を背負い、スワイダー市郊外で若いドゥルーズ派の男性の口髭を剃るという侮辱的行為を行っている様子が記録されている。

この青年の消息は不明のままである。

このほかにも、内務省治安総局や国防省の要員が部族風の衣装を着て攻撃に加わっていたことが確認されているという。

この件に関連して、シリア人権監視団は、シャーム自由人イスラーム運動の指揮官とされる人物の音声記録を入手しており、そのなかで、この指揮官はスワイダー県のドゥルーズ派村落への襲撃を「アラブ部族」の名のもとに主導したと明かしている。

さらに、シリア人権監視団は、国防省の部隊が7月17日、スワイダー市クルーム地区のキリスト教の教会で勤めていたハーリド・マーヒル・マズハル氏の自宅を襲撃し、その場にいた家族全員(女性6人を含む12人)を銃で殺害していたと発表した。












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シリア人権監視団によると、7月13日以降、ベドウィン・部族、国防省・内務省の共同部隊とドゥルーズ派武装勢力との間で続いた戦闘、処刑、イスラエル軍の爆撃での死者は1,311人となった。

内訳は以下の通り:
・スワイダー県住民:637人(うち民間人104人、子ども6人、女性16人を含む)
・国防省、内務省総合治安局の戦闘員:456人(うち32人はベドウィン・部族出身、1人はレバノン人戦闘員)
・イスラエルの爆撃で死亡した国防省・内務省の要員:15人
・イスラエル爆撃により国防省庁舎で死亡:3人(女性1人、身元不明2人)
・戦闘中に死亡したジャーナリスト:1人
・国防省・内務省要員による処刑:196人(女性28人、子ども8人、高齢男性1人を含む)
・ドゥルーズ派武装勢力による処刑:3人(ベドウィン・部族出身の女性1人と子ども1人を含む)

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