シャルア暫定大統領は、イドリブ県の学者、政治家、職業組合代表、地元有力者らとの会談し、対話集会を開く(2025年8月13日)

SANAによると、アフマド・シャルア暫定大統領は、イドリブ県の学者、政治家、職業組合代表、地元有力者らとの会談し、対話集会を行った。

シャルア暫定大統領は冒頭のあいさつで、イドリブ県が果たしてきた先導的な愛国的役割を強調し、「イドリブはシリアにおける近代的な国民国家プロジェクトの出発点となる重要な柱である」と述べた。

また、イドリブの人々が包囲、冷遇、戦争の年月に耐えた犠牲と忍耐を称賛し、「イドリブの情勢は最も複雑かつ困難なものの一つだったが、今日では本格的な建設に向けた戦略的解決の出発点となっている」と指摘した。
さらに大統領は「我々は生活のあらゆる分野を網羅する統合的な基盤づくりを目指しているが、長年にわたり蓄積してきた重い問題の遺産に直面しており、その解決には忍耐と体系的な取り組みが必要である」と述べた。

そして「目標が明確であればあるほど、達成は早くなる。現在の最優先事項は、すでに成し遂げた成果を維持し、それを基盤として他県とバランスを取りながら現実的な計画で発展させることだ」と続けた。

また、難民を尊厳あるかたちで帰還させ、安定した生活を取り戻すための共同作業の必要性を強調した。

出席者たちは、戦時・平時を問わずシリア国家を支持する姿勢を改めて表明し、「14年間の戦争に耐えた者は、建設のためにも、また戦争のためにも耐えられる」と述べた。

また、イドリブ県やシリア北部全般に関する懸念や課題を示し、国家強化の方策、制度構築、参加拡大、包括的な国民的言説の定着などについて質問が寄せられた。これに対し、大統領は、国家建設のプロジェクトは権力や利権の分配ではなく包括的な国家意識に基づくものであり、地域や国際の一部勢力がシリアを弱体化・分断させようとしている中でも、シリアには強く先進的な国家となる機会があると強調した。

新たに解放された地域について、出席者からは町や家屋の破壊によって住民の帰還が遅れているとの指摘があり、大統領は、状況改善の努力は続けているが、歳入不足と巨額の歳出による国家財政への大きな圧迫のため、現状では十分とは言えないと説明した。そのうえで、国内外のシリア人による全国的な開発基金を創設し、その多くを被害地域の再建に充てる計画を発表した。

また、移行期司法や社会的結束に関する質問に対し、大統領は、前政権が植え付けた差別や分断が国民の結束を損なったとし、次の段階では国家と社会の信頼を再構築し、国民統合を強化するため、移行期司法の正しい理解が必要だと述べた。

さらに、一部出席者は苦情や不満を届けるための仕組みづくりを求め、大統領はこの意見を評価し、国家の最高レベルと直接つながる苦情受付窓口を新設する方針を示した。

発言はまた、医療部門の現状、組織活動の後退、医療施設の一部停止、シリア北部での投資不足にも及んだ。これに対して大統領は、国家は投資プロジェクトに全面的な指示を強制するのではなく、可能な範囲で調整・指導役を果たすにとどめていると説明し、同時に、全国の地域に対する政府の姿勢は公平・均衡を保っており、事業は優先度や必要性に応じて配分されていると述べた。

最後に大統領は、市民社会の発展の重要性を指摘し、前段階を越えて制度的・法的活動の段階へ進むことが持続的で公正な国家建設の堅固な基盤になると強調した。また、イドリブとアレッポを対象とした経済会議を準備中であり、北部シリアを経済・開発の中心地とすることを目指すと述べ、サラケブ周辺に自由工業都市を設立する構想を含む全国的な計画を進めており、時間はかかるものの着実に成果へ向かっていると締めくくった。

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