スワイダー県西部からシャルア移行期政権の国防省・内務省の部隊が撤退し、殺害されたドゥルーズ派住民が遺体で発見される:撤退と前後してイスラエル軍機が飛来、爆発が発生(2025年8月20日)

スワイダー県では、シリア人権監視団によると、フランスのパリでの米国仲介によるアスアド・ハサン・シャイバーニー外務在外居住者大臣とイスラエルのロン・ダーマー戦略問題担当大臣と会談を受けるかたちで、県西部のサアラ村とタッル・ハディード村の間に位置する農場で1回の爆発が発生した。

同地には、ベドウィン・部族系武装勢力とアフマド・シャルア移行期政権の国防省・内務省の合同部隊が駐留していた。

爆発と前後して、イスラエル軍航空機1機が上空を旋回していた。

また、これと前後して、スワイダー県西部の複数の村や拠点から、ベドウィン・部族系武装勢力とアフマド・シャルア移行期政権の国防省・内務省の合同部隊が部分徹底するのが確認された。

このほか、首都ダマスカス上空でもヘリコプターの飛行が観測されたが、詳細は不明である。

シリア人権監視団によると、シャルア移行期政権の国防省・内務省の合同部隊がシャフバー町北のスワイムラ村から撤退したのを受けて、ドゥルーズ派武装勢力の工兵部隊が同村に入り、4人のドゥルーズ派住民の遺体を発見した。

一方、スワイダー24によると、スワイムラ村で7月のシャルア移行期政権の国防省・内務省の合同部隊の進攻で殺害された住民の遺体は5体に上った。

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これに対して、イフバーリーヤ・チャンネルは、スワイダー県内務治安司令部報道課が、「スワイダー県郊外の村から(内務)治安部隊が撤退したという情報は事実ではない」と声明を出したと伝えた。

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シリア人権監視団は、現地調査によって処刑された70人の氏名を新たに確認したと発表、これにより7月13日以降の衝突、処刑、イスラエル軍の爆撃による犠牲者数は、1,779人となった。

その内訳は以下の通り。
・スワイダー県出身者725人:大多数はドゥルーズ派で、うち民間人は167人(子供21人、女性57人)。
・国防省・内務省内務治安部隊の要員477人(ベドウィン・部族の戦闘員40人と、レバノン国籍の武装者1人を含む)
・イスラエルの爆撃により死亡した国防省・内務省所属の要員15人
・国防省庁舎を標的としたイスラエルの爆撃での犠牲者3人(女性1人と身元不明者2人)
・スワイダー県での戦闘で死亡した記者2人。
・国防省・内務省内務治安部隊の要員による処刑で死亡したドゥルーズ派554人(うち女性51人、子供15人、高齢者数人、スワイダー国立病院の医療従事者20人)。
・ドゥルーズ派武装勢力に処刑されたベドウィン・部族出身者3人(女性1人、子供1人を含む)

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、スワイダー県の住民への支援物資を搬送中、シャルア移行期政権の内務省内務治安部隊の検問所近くで拉致されていた7人の救援活動家が解放された。

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スワイダー24によると、国際機関の代表団が、スワイダー国立病院、シャフバー町の公立病院、避難所として使用されているスワイダー県内の学校を視察した。

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国連シリア常駐調整官兼人道調整官のアダム・アブデルムーラ氏は、Xを通じて以下の通り投稿した。

国連のチームとともに本日スワイダー県を訪問し、緊急支援のニーズ調査を行った。食料、医療、衛生(WASH)の状況は極めて深刻で、命を救うような医療物資はほとんど入手不可能とのこと。現地コミュニティはいかに支援が限られていても協力し合っているが、支援団体の資金協力が一刻も早く必要だと強く訴えた。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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