イフバーリーヤ・チャンネルは治安筋の話として、米主導の有志連合がイドリブ県のアティマ村にある住宅1棟を標的とした空挺作戦を実施し、住宅の借主であるダーイシュ(イスラーム国)の幹部1人を殺害した、と伝えた。
標的となった住宅の所有者は、アフマド・ムスタファー・シャイフなる人物で、殺害された借主は、「サラーフ・ナウマーン」、「アリー」の名で知られるイラク人。
ダーイシュの「イラク州」の幹部で、シリア国内で複数のセルの調整・組織を担っていた人物。
有志連合が住宅に突入した際、この幹部は逃走を図り、バルコニーから裏庭へ飛び降りようとしたが、部隊が周囲を包囲し発砲した結果、その場で死亡した。
有志連合はさらに、住宅全体を捜索し、この幹部の妻に対して事情聴取を行い、携帯電話や電子機器をすべて押収、シャイフ氏と息子のムハンナド・シャイフに服を脱ぐよう強要したうえで取り調べを行ったという。
なお、殺害されたイラク人は、ダーナー市で、アフマド・シャルア移行期政権の内務治安部隊の部隊に追われた後、アティマ村の住宅に逃れ、妻、幼い子供、母親とともに潜伏していた。
イナブ・バラディーによると、作戦は午前2時半に開始され、約2時間続き、有志連合は1人を殺害、5人を逮捕、その身柄をアティマ村の治安部隊に引き渡した。
なお、有志連合とアフマド・シャルア移行期政権による合同作戦は今回が2回目。
最初の作戦は、7月25日にアレッポ県バーブ市で行われ、ダーイシュのメンバー複数人が殺害された。
一方、イナブ・バラディーによると、殺害されたサラーフ・ナウマーンは、アブー・フサイン・クラシーが2023年8月に暗殺されたのち、第5代カリフに就任したと発表されていた「アブー・ハフス・クラシー」と同一人物。
シリア国内で活動を続けるダーイシュの中で重要な役割を果たし、特に外国人戦闘員の勧誘とシリアへの密入国を監督し、人的・軍事的戦力の強化に寄与していたという。
また、複数のセル間の調整役も担っていたが、具体的にどの作戦を主導したかについては確実な情報は得られていないという。
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シリア人権監視団によると、空挺作戦に参加した有志連合の部隊は、ヘリコプターでアレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市近郊のスィッリーン町の基地を出撃した。
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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、26台の貨物車輛からなる有志連合の車列がワリード国境通行所(スワイディーヤ国境通行所)を経由して、イラクからシリアに入国、カスラク村の基地に物資を輸送した。
また、シリア人権監視団によると、米軍の輸送機がハッラーブ・ジール村の設置されている有志連合の基地に軍事装備や兵站物資を搬入した。
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シリア・クルド国民評議会のムハ…