『マジャッラ』は、24日のアラブ諸国のメディア関係者との懇談で、イブラーヒーム・ハミーディー記者が行った質問に対するアフマド・シャルア暫定大統領の発言の詳細を紹介した。
シャルア暫定大統領の主な発言は以下の通り。
シリアは前体制の行為とそれに対する各国の姿勢により、孤立の中の孤立に置かれていたが、今回の私の出席(国連総会への出席)は、シリアの政策や一部諸国の対シリア政策のいずれによるにせよ、シリアに対する立場が是正されつつあることを示す重要な兆候の一つである。
この訪問は、シリアにおける顕著な変化の象徴の一つであることは間違いない…。1979年以来、米国による制裁が存在していたが、現在、米国、サウジアラビア、トルコ、UAE、カタール、ヨルダン、そして欧州諸国との関係は良好である。
アブラハム合意はイスラエルと対立を持たず、隣接していない国々との間で成立した。シリアの状況は異なり、我々には占領されたゴラン高原がある…。「アブラハム合意」の経験をシリアに適用することはできない。
問題をゼロにし、対立を解消することが我々の戦略である。シリアには力の要素と同盟国があり、いかなる戦争にも引き込まれることはない。むしろ我々は自らの立場を説明し、統一され強いシリアへの支持を得た。
(アサド政権の崩壊によって)イスラエルは一夜にして新たな現実に直面し、イスラエルの戦略は衝撃を受けた。
シリアの分割を目指すいかなる政策も成功しない。ゴラン高原は1967年以来占領されているが、その占領は誰からも承認されておらず、アラブ諸国、地域諸国、そして国際社会からの支持も得られていない。なぜなら、各国は分裂の連鎖反応を恐れ、国家の統一を守りたいと考えているからだ」。
イスラエルが分割をちらつかせるのは圧力をかけるためであり、現実的ではない。なぜならシリアには分割に反対する大きな国民的勢力が存在するからだ。
現在の優先事項は1974年の兵力引き離し協定への復帰、もしくはそれに類するものだ。つまり、国際的な監視の下でシリア南部の治安状況を安定させることである…。もし我々が国の利益になり、安定の実現に貢献する合意に至ったならば、それを恥じることなく公表するだろう。
レバノンは旧体制のシリア政策の下で大いに苦しんだ。いわゆる「地理的圧迫」があり、地理がレバノンに否定的な影響を及ぼしてきた…。シリアとレバノンの間に真っ白な新しいページを開き、新たな関係の歴史を書き、過去の否定的な記憶を消し去る必要がある。これを消す決意がある。
レバノンはシリアにおける経済的な恩恵から大いに利益を得ることができる。港や道路、協力の可能性など多くの共通点がある。シリアがレバノンを支配しようとしていると誤解されてはならない。家に入るにはドアから入るべきであり、それが最善である。私はそうしてきた。レバノン大統領やナウワーフ・サラーム首相とも話をした。
(レバノン内政について発言を控えてきたのは)全ての勢力から等距離を保ちたかったからだ…。ガザからヨルダン川西岸まで、さまざまな地域で緊張が高まっており、いくつかの勢力が自らの役割を求め、事態を利用しようとしている。イランとその同盟軸は多くを失い、今や再び影響力を取り戻そうと画策している。
地域全体が問題をゼロにする必要がある。シリアで危機が発生すると、地域全体が影響を受ける。だからこそ地域の安定を推進し、シリアの状況と経済を改善し、地域の安定を支えるモデルを提示したいと考えている…。私はレバノン、イラク、その他の地域諸国にシリア政府の設立を通じてメッセージを送った。権力配分主義を拒否し、国の運営における参加と協力、市民権の強化を求めた。これが我々の基本方針である。
攻撃抑止の戦いとシリア解放の際、(イラクの)一部の勢力が状況を利用しようとしたことに気付いた。2024年11月のアレッポ市解放後、私は多くの勢力の立場、特にイラクの動向を注視していた。イラクの意思決定には圧力がかかっていたが、私はイラクを安心させることをためらわなかった。イラクがシリア情勢に介入すれば事態は複雑化していただろう。だからこそ安心のメッセージを送り続けた。ムハンマド・シヤーア・スーダーニー首相が国境警備だけを行い、シリアへの介入を控えたのは正しい方向への一歩である。私はドアから入り、イラク政府を通じて入ることを主張した。
スーダーニー首相の関心や開発優先事項、安定実現への意欲、投資促進への願望を注視してきた。スーダーニー首相には関係改善の意志があり、私にもその意志がある。我々は段階的に前進しており、イラクの一部勢力がシリアに介入したことによる傷跡にもかかわらず進んでいる。
解放はシリア国民に帰属意識の精神を取り戻させた。我々にはシリアの未来を築くための戦略計画があり、それにはシリアの港湾・道路・鉄道を近隣諸国や世界と結ぶことが含まれている。
スワイダー県の住民の大多数はダマスカスと結びついており、最近の出来事ではごく少数が騒乱を引き起こし、その一部はイスラエルと連携していた。そこには旧体制の将校や麻薬密売人がいた。
ドゥルーズ派とベドウィンの間で衝突においては、双方が過ちを犯し、介入した治安部隊にもいくつかの過ちはあったかもしれない…。イスラエルが支援する分断構想は幻想であり、スワイダー県の人々はシリアの歴史を通じて立派な立場を示してきた。特定の一部の立場が全体を代表するものではない。
シリアは統一されており、武器は国家の権威の下に置かれなければならない。無秩序な武装は安定をもたらさず、シリアや地域、隣国に害を及ぼす。
もし目的がクルド人の権利であるならば、一滴の血も流す必要はない。これらの権利は憲法において保障されるだろう。しかし、権力配分主義は受け入れられない。
(シリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官との3月10日の合意は)すべての当事者に受け入れられ、対話の基礎となるものである…。国際的な仲介があり、我々は理解へと進んでいる。
シリアの法律にはある程度の地方分権が含まれており、法律第107号や地方行政省もある…。重要なのは連邦制や分権制の定義であり、もしそれが分裂を意味するなら受け入れられない。シリアを統一国家として望むのか、中央集権国家として望むのか、地理的な条件がそれを許すのか、国民がそれに賛同するのか、これらの問いが立場を決定づける。
歴史上のどの段階もその時代の状況や法律で測られるべきであり、過去を現在の法律で裁いたり、現在を過去の法律で裁いたりすることはできない。
私は、2003年に米国が戦争を始める前にイラクに行き、2005年に投獄された後に釈放され、シリアに戻った。その後、シリアでは体制打倒だけに集中した…。私は、イスラーム主義政党、ジハード主義組織、ムスリム同胞団、さらには「アラブの春」のいずれの延長線上にもない。
シリア解放以来、我々は国際社会にシリア人を宗派的な共同体としてではなく、一つの国家と市民として扱うよう求めてきた。
我々にはシリアの未来を築くための戦略計画があり、それにはシリアの港湾・道路・鉄道を近隣諸国や世界と結ぶことが含まれている。さらに観光資源もあり、シリアは食料の宝庫でもある。
シリアはオリエント的な経済文化からハイブリッド経済文化へと移行している。シリアはルネサンス期へと向かっており、法制度と金融制度の改革が進んでいる。
**
BBC(アラビア語版)は、マジャッラやスカイ・ニュースの記事において、シャルア暫定大統領が「イスラーム主義政党、ジハード組織、ムスリム同胞団のいずれの延長線上にもなく、「アラブの春」の延長でもない」と述べたことに関して、SANAの報道や映像インタビューを調査した結果、大統領の発言であることを確認できなかったと伝えた。
BBC(アラビア語版)によると、この発言は、代表団に参加していたスカイ・ニュースのナディーム・カティーシュ局長によるものだという。
なお、スカイ・ニュース(アラビア語版)は25日、Xを通じて、シャルア暫定大統領が24日のアラブ諸国のメディア関係者からなる代表団との懇談に際して、「私はイスラーム主義政党の延長ではない。ジハード主義組織やムスリム同胞団』のいずれの流れにも属していないと述べたと伝えていた。
(C)青山弘之 All rights reserved.
シリア・クルド国民評議会のムハ…