イフバーリーヤ・チャンネルは、アフマド・シャルア暫定大統領との初の単独インタビューを放映した。
**
イフバーリーヤ・チャンネルによると、シャルア暫定大統領は、いかなる権力も二つの基本的任務、すなわち「人々を守ること」と「人々の生活を支えること」を担っており、シリアの政治は最初の瞬間からその方向に進んできたと強調した。
また、司法制度の改革は経済に直接的に寄与し、教育制度の改革と人的資源の開発は「経済にとって最大の資本である」としたうえで、「経済環境を適切に整えるためには、多くの事柄を秩序正しく組織し調整する必要がある」と述べ、シリア経済を支えるインフラを構築するために、現在同時並行で多くの分野に取り組んでいると説明した。
さらに「過去9ヵ月間で、およそ1,150の新しい生産ラインを導入し、稼働停止状態にあった工場も再稼働させてきた」と明らかにした。
一方で、シリア開発基金について、何よりもまずキャンプや避難民の問題への直接的な解決策であり、破壊された村や町のインフラ建設を目指していると述べた。
また、同基金の計画には農民を支援し、生産を増加させるための無利子融資プログラムも含まれていることを指摘した。
**
イフバーリーヤ・チャンネルによると、シャルア暫定大統領は、「シリアは国際的・地域的な関係を非常に速いスピードで再構築し、多くの国々、特に地域諸国から大きな支持と好意を受けた」と述べた。
シャルア暫定大統領は、米国がシリア国内への投資に強い関心を示していると指摘し、「以旧体制は外資だけでなく国内投資に対しても恐れを抱いていた」と語った。さらに「投資は国を脅かすものではなく、むしろ国の安定を推進し、そのことがシリアの政策や国際関係に反映される」と強調した。
また、東西を結ぶインターネット回線がシリアを経由することで、約6000キロメートルに及ぶ安全なインフラが提供されると述べ、東西間の陸上貿易路が必然的にシリアを通ることにも触れた。さらに「世界は供給網の安全性とエネルギー供給という2つの問題に苦しんでいるが、いずれもシリアにおいては確保されている」と強調した。
さらに、「復興プロジェクトは小さな言葉に聞こえるが、その中には多くの時間を要する詳細が含まれている」と述べ、「不可能を言い立てるような言葉は好まない。私たちは利用可能なものから優先順位に従って始めているが、それでも利用可能な資源は少なくはなかった」と説明した。
また「シリアを援助や政治的条件付きの融資に依存させたくはない。代わりに投資に国を開くべきだ」と強調し、周辺諸国の経験をシリアの現実と統合し、それを基盤に経済プロジェクトを構築することの重要性を語った。
さらに、外資は多くの雇用を創出すると同時にインフラ整備にも寄与すると述べ、国内における投資と資金循環はすべての部門に波及効果をもたらし、外資への開放は国外市場をもシリアに提供すると強調した。
最後に「農業、工業など生産を増加させる計画を立てる際には、同時にその生産物を受け入れる市場を確保する必要がある」と述べた。
**
イフバーリーヤ・チャンネルによると、シャルア暫定大統領は「12月8日に達成された解放は、この地域に歴史的な機会を与えた」と述べた。
また、「誰もシリアが以前の状態に戻ることを望んでいないと思う」と語り、「過去40年から45年の間、シリアは孤立や度重なる混乱によって世界から失われていた」と指摘した。
その一方で、シャルア暫定大統領は、イスラエルの政策の一部から、同国が前体制の崩壊を悲しんでいることが示唆されていると述べた。イスラエルはシリアを地域大国との対立の舞台、継続的な紛争と清算の場とすることを望み、シリア分断の計画を持っていたが、体制崩壊に驚いたとの見方を示したうえで、イスラエルは諜報機関がもたらした問題や安全保障上の失敗を、過剰な警戒心を持ちつつ、軍事力の行使で補う習慣があると説明した。
シャルア暫定大統領は「現在、イスラエルとの安全保障協定をめぐり交渉と議論を進めている」と述べ、イスラエルが前政権の崩壊をもって破棄した1974年の兵力引き離し協定をシリアが当初から順守してきたと強調した。
また、イスラエルは自国にとってより安全と考える姿勢に転じ、民間施設と軍事施設への爆撃を始めたが、こうした行為は正当化できるものではないと非難した。シリアは、協定を順守するとの立場を国連に伝え、UNDOF(国連兵力引き離し監視隊)に活動を従来の水準に戻すよう求めたという。
そのうえで、1974年の協定およびそれに類似する安全保障協定への復帰をめぐる交渉は続いており、それはまだ完結していないと強調した。
**
イフバーリーヤ・チャンネルによると、シャルア暫定大統領は、移行期がいまだ充分ではないとの見解を示した。
シャルア暫定大統領は、シリアが過去9ヵ月間に取り組んできた強力な外交によって、関係網を構築することができたと強調したうえで、「シリアは解放後、まず大統領空位の解消、その後に国民対話大会の開催、内閣の発足、そして人民議会選挙へと進んでいる」と説明、「現在は暫定的な段階にあり、革命が成功すると制度から制度への移行が始まり、それには時間を要する」と強調した。
また「選挙後には憲法の起草作業が始まり、多くの詳細が盛り込まれるだろうが、われわれはすべての分野で同時並行的に取り組む方針をとっている」と述べた。
さらに、「次期人民議会は移行段階として受け入れ可能な形で構成されるもので、恒久的な形ではない」とし、「人民議会における各県の代表性を確保するため選挙関連の会議(人民議会選挙高等委員会関連の諸委員会)を作った」と付け加えた。
**
イフバーリーヤ・チャンネルによると、シャルア暫定大統領は、シリアがいかなる国とも不安や緊張状態にあることを望んでおらず、むしろシリアに混乱や不安をもたらそうとする国々に問題の責任があると強調した。
シャルア暫定大統領は「シリアは世界および地域すべての国々との関係において完全な静穏を求めており、この方針は最初の瞬間から明確である」と述べた。
イランとの関係については、「体制崩壊によりイランの四肢が地域から排除されたことで、シリアはイランとの関係において冷え込みの状態に入った」と指摘し、一部のイラン勢力はいまだにシリア喪失を軸全体の喪失と捉え、最も重要な拠点を失ったと見ていると語った。
また「イランにとっては傷はより深いが、我々はイランとの関係が永遠に断絶するとは言っていない」と付け加えた。
ロシアとの関係については、シリアとロシアには1946年のシリア建国以来の強固な関係があると強調した。
また、「軍事行動の初期段階では、フマイミーム航空基地やその内部の航空機を標的にする選択肢もあった」と述べつつ、「シャーヒーン無人航空機は空から同基地を監視していたが、攻撃すればロシアをより大規模に戦闘へ引き込むことになっただろう。そのため戦術的にロシア空軍の注意を分散させる作戦をとった」と説明した。
さらに、「アレッポ市奪還後、ロシアとの関係構築と対話を始めた」ことを明し、ロシアとのこれまでの関係を「冷静かつ賢明に管理する必要がある」と語った。
そして、「過去に囚われ続ければ前進はできない。障害を乗り越え、広い視野で柔軟に対応すべきだ」と述べ、「シリアの主権と独立した決定、そしてシリアの利益を第一に据えた関係構築こそが重要だ」と強調した。
また、「ハマー市解放戦を機にロシアと交渉が行われ、ヒムス市に到達した時にはロシアは戦闘から完全に退いた。双方が交わした約束をシリアもロシアも果たしてきた」と明かした。
欧米諸国との関係については、これらの国々と良好な関係を築く一方で、ロシアとも穏やかな関係を維持することに成功したとし、「シリアは、世界の相反する大国の間でバランスを取り得たのは、今回の歴史的出来事の大きさと人々のシリアへの愛によるものだ」と述べた。
**
イフバーリーヤ・チャンネルによると、シャルア暫定大統領は、「シリアは分割を受け入れない。スワイダーや北東シリアの利益はダマスカスと共にある」と強調した。
シャルア暫定大統領は「スワイダーでは遊牧民と尊敬すべきドゥルーズの間で対立が起こり、事態が発展した」と述べ、ドゥルーズ派、遊牧民、さらには国家自体にも誤りがあったことを認めた。
また、「流血を止めることが第1の義務であり、その後事実調査委員会を設置した。人々に危害を加えたり誤りを犯した者は誰であれ処罰されなければならない」と強調し、スワイダー社会はシリア社会の根幹をなす本質的な構成要素だと語った。
さらに、スワイダーには癒えるのに時間を要する傷が残り、一部勢力に反発を引き起こしたと述べた。
そのうえで、「私は解放前の5年前からスワイダーの人々を支援し、イドリブにいた頃から彼らの状況を注視してきた」とし、「政権崩壊の約1年半前にスワイダーで「カラーマ運動」が始まった際、我々はそれを強く支持した」と明かした。
その一方で、シャルア暫定大統領は「シリアは分割や独立のような野望を受け入れない。これは過去100年間に試された歴史だ」と指摘し、分割は伝染のように他国へ波及すると警告した。
また、「もし北東シリアが分割を志向するなら、イラクやトルコは大きな被害を受けるだろう」と述べた。
さらに、「北東シリアにはアラブ人が70%以上を占めており、シリア民主軍はすべてのクルド人を代表しているわけではない」と強調した。交渉は順調に進んでいたが、合意履行に遅延や停滞が見られていると指摘した。
そのうえで、「シリア民主軍との合意には年末までの期限が設けられており、12月末までに条項を履行するよう努めてきた」と述べ、「北東シリアが戦争に巻き込まれぬようあらゆる手を尽くした」と語った。
また、「シリア民主軍をシリア・アラブ軍に統合することに同意し、クルド地域のいくつかの特性についても合意に至った」と明らかにした。
そして「最終的にシリアは一握りの土も譲らない。これは国民の前で誓ったことだ。すべての領土を守り、シリアを統一する」と強調した。
最後に「スワイダーも北東シリアもダマスカスと共にあることが彼らの利益であり、これはシリアが傷を癒やし、新たな出発を果たす好機だ」と語った。
**
イフバーリーヤ・チャンネルによると、シャルア暫定大統領は、「シリアにおける自由の幅は広い。健全な状態とは批判の声が存在することだ」と述べた。
シャルア暫定大統領は、「世界は、特にソーシャルメディアの登場により、メディアを小さな枠の中に閉じ込めるという考えを超越した」と指摘した。
また「法こそが権力の権利、国民の権利、そして制度そのものの権利を守るべきものだ」と強調した。
さらに「私は自分への批判を読む。重要なのは批判が正しく、警告的であることだ。たとえそれが辛辣であっても構わない」と語り、「時に批判は国民が国家の政策を理解していないことを示しており、その場合国家は政策を説明する必要がある」と付け加えた。
シャルア暫定大統領は「大統領がすべてを決定する時代ではないし、私はシリアをそうした国にしたくないし、国民もそれを受け入れるとは思わない」と述べた。
最後に「健全な状態とは、メディアに広範な自由があり、規制は少ないことである」と強調した。
(C)青山弘之 All rights reserved.
シリア・クルド国民評議会のムハ…