アサド前大統領の盟友で、ムスタファー・トゥラース元国防大臣の次男のマナーフ・トゥラース氏がパリで講演:シャルア移行期政権を「一色による支配」と評し、シャルア暫定大統領に「権力ではなく国家に入る」ことを呼びかける(2025年9月13日)


『クドス・アラビー』によると、アサド前大統領の盟友で、ムスタファー・トゥラース元国防大臣の次男のマナーフ・トゥラース氏(共和国護衛隊准将、前政権より離反)がフランスの首都パリにあるパリ政治学院で講演を行った。

 

後援は、フランス・レバノン・サークルによって主催され、同氏はシリアの現状と将来への展望について語った。

会場は厳重な警備体制のもと、事前登録と身分証提示が義務づけられ、さらに写真やビデオ撮影は禁止された。

数十人の聴衆を前に、トゥラース氏はアフマド・シャルア移行期政権の成功を願うとともに、その成否は「すべてのシリア人を包摂し、真の参加を可能にすること」にかかっていると強調した。

彼は現在のシリアの状況を「一色による支配」と評し、シャルア暫定大統領に「権力ではなく国家に入る」ことを呼びかけた。また、自身に大統領になる野心はなく、目標は「シリアの統一と国家建設への参加」であると述べた。

さらにトゥラース氏は「政治に参加するアシュアリー的・スーフィー的のイスラーム」を望むと述べ、「政治を支配する政治的イスラーム」は拒否した。

彼は「銃を一つにまとめる軍事評議会」を設立し、全ての勢力を統合して真の国民軍を建設すべきだと訴えた。その軍は「宗教的ではなく世俗的」であるべきと強調し、シリア軍の崩壊を防ぐため10,000人以上の離反士官、シリア民主軍、その他諸派と連絡を取っていると明かした。

また、トゥラース氏は「大統領権限を弱め、軍事評議会に力を持たせるべきだ」と主張し、移行期を安定させられるのは軍事機構だと述べた。

イスラエルとの和平・正常化については「今のシリアは脆弱で、主権的決定を下せる状態にない」と語り、議会や憲法、強力な国軍がない現状での合意は「降伏」あるいは「強要された和平」にすぎないと断じた。

シリア難民問題についても触れ、まずはレバノン・ヨルダン・トルコにいる避難民の迅速な帰還を優先し、その後西側のディアスポラの経験と制度的知識を生かして復興に参加させるべきだと述べた。

 

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ムドゥンによると、フランスの人権筋は、シャルア移行期政権がトゥラース氏の講演を阻止するようフランス当局に要請したとの一部情報を否定した。

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