ロイター通信は、ドナルド・トランプ米政権の圧力のもと、シリアのアフマド・シャルア移行期政権とイスラエルが安全保障協定に向けた交渉を加速させていると伝えた。
シリアとイスラエル双方の複数の情報源から得た情報によると、シリア側の提案は、前政権崩壊後に新たな占領された地域からのイスラエル軍の撤退を確保し、1974年の兵力引き離し協定に基づき兵力引き離し地域(AOS)を復活させ、イスラエルの爆撃とシリアへの地上侵攻を停止させることを目的としているという。
だが、シリア側の提案においては、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが占領したゴラン高原の地位には触れられておらず、その処遇については「将来に委ねられる」だろうとシリア筋と述べている。
これに対して、イスラエル側はシリア側の提案に消極的だという。
「米国はシリアに安全保障合意を加速するよう圧力をかけており、これはトランプにとって個人的な問題だ」とイスラエルの安全保障筋は語り、米国指導者が中東外交における大きな成功の設計者として自らを提示したいと考えていると述べた。
しかし、同筋は「イスラエルは多くを提供していない」と付け加えた。
米国務総省当局者は、トランプ政権が「イスラエル、シリア及びその近隣諸国間の永続的な安定と平和をもたらすあらゆる努力を支持し続けている」と述べたが国連総会期間中に突破口を発表したいかどうかについての質問には答えなかった。
交渉の概要について複数筋は、イスラエルがトランプ政権第1期の期間中にイスラエル領と承認したゴランを返還することには消極的であると述べた。
イスラエル当局者によると、代わりに、イスラエルは、シャルア大統領がゴラン高原を放棄する見返りに、シリア南部から撤退する可能性があるという提案をトーマス・バッラク在トルコ米大使兼務シリア担当特使に提示したが、「これは実現不可能だ」との見方を示した。
シリア当局者も、シャルア暫定大統領が「ゴラン高原に関するいかなる妥協も彼の支配の終焉を意味する」ことを理解しており、安全保障協定は1974年の兵力引き離し線に基づかなければならず、平和合意のための条件はまだ熟していないとバッラク大使に伝えたことを明らかにした。
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シリア・クルド国民評議会のムハ…