シャルア暫定大統領:イスラエルとの間で進行中の安全保障協定にかかる交渉は数日以内に成果をもたらす可能性がある(2025年9月17日)


ロイター通信によると、アフマド・シャルア暫定大統領は、記者会見で、イスラエルとの間で進行中の安全保障協定にかかる交渉が「数日以内に成果をもたらす可能性がある」と述べた。

シャルア暫定大統領は首都ダマスカスで記者団に対し、この協定は「必要不可欠」であり、シリアの領空と領土の一体性を尊重し、国連によって監視される必要があると語った。

シリアはこの協定を通じて、イスラエルによる爆撃の停止と、南部に進駐したイスラエル軍の撤退を目指している。

ドナルド・トランプ米政権が国連総会前の合意をシリアに迫っているとの報道について、シャルア暫定大統領はこれを否定し、米国はむしろ仲介の役割を果たしていると述べた。

シャルア暫定大統領は、2024年12月8日の前政権崩壊以降、イスラエルがシリアに対して1,000回以上の爆撃と400回以上の地上侵入を行っていると指摘、こうした行為が「安定した統一シリア」という米国の公式政策と矛盾しており、「非常に危険だ」と警告した。

シャルア暫定大統領は、そのうえで、1974年のイスラエル・シリア間の兵力引き離し協定のような枠組みを望んでいると述べた。

シリア側はイスラエル軍の撤退を求めているが、イスラエル側は昨年12月8日以降に占領した戦略拠点、特にヘルモン山の支配を維持すると公言している。

もし安全保障協定が成立すれば、さらなる合意に至る可能性もあるとしたが、イスラエルとの平和条約やアブラハム合意のような国交正常化は「現時点では議題にない」と強調した。

また、イスラエルが占領しているゴラン高原については「大きな問題」だとして、議論にはまだ早いと述べた。

シャルア暫定大統領は記者団に対し、「これは難しい交渉だ。ダマスカス人とユダヤ人との間での交渉だからだ」と冗談めかして語った。

シャルア暫定大統領はまた、7月には安全保障協定の原則合意に4~5日ほどで到達できるところまで進んでいたが、スワイダー県での事態が交渉を頓挫させたと説明した。

シャルア暫定大統領は、7月のイスラエル軍による大統領宮殿近くへの爆撃について「メッセージではなく、宣戦布告だった」と述べ、交渉維持のために軍事的報復を控えてきたと強調した。

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