アラビーヤ・チャンネルは、アサド前大統領が在任中にルーナー・シブル大統領府特別顧問(政治報道局長)らと車でダマスカス郊外県のグータ地方を訪れた際に車内で交わされた会話を録画した映像を独自に入手したと発表、これを公開した。
映像には、アサド大統領がシリアの現実に対して辛辣な発言や嘲笑を行う内容が記録されている。
アラビーヤ・チャンネルの情報源によれば、社内にはシブル顧問のほか、同顧問の助手アムジャド・イーサー氏が同乗していたという。
ある映像では、シブル顧問が、破壊された軍用車輛を見て、「これはあの人たちの? それとも私たちの?」と尋ねると、アサド大統領は「若者たちはどこだ? 誰もいないのあ…奇妙だ…」などと答えている。
別の映像では、シブル顧問が、「私たち、グータを出るのね……出るときに何て言えばいい?」と尋ねると、アサド大統領は笑いながら「東グータなんてくそくらえだ」と応えている。
また、別の映像では、シブル顧問が、「ヒズブッラーはあれだけ得意げだったのに、最近は声すら耳にしなくなった」と語ると、アサド大統領は「サクバー市(ダマスカス郊外県)へ入るぞ。ここが解放されたなんて知らなかったよ」と嘲笑している。
さらに、別の映像では、アサド大統領の手にキスをした兵士たちを嘲り笑う場面も含まれおり、シブル顧問が「街中にある自分の写真を見てどう思うか」と尋ねると、アサド大統領は「何も感じない」と答えている。
映像では、アサド大統領とシブル顧問が警察や内務大臣を嘲笑する場面も収められている。
シブル顧問は、「内務大臣は自分の警察を見て喜んでるのよ。フェイスブックに毎回ニュースを載せさせて」と述べると、アサド大統領は「恥ずかしいだけじゃない、むしろ嫌悪を感じる」などと応えている。
さらに、また別の録音では、「写真のために戦車の上に立ちたい」というアサド大統領が発言、シブル顧問が、シリア軍第25特殊任務師団司令官のスハイル・ハサン准将について、「暇じゃないのよ。カシオン山に足を乗せて、ロシア人の随伴者たちと写真を撮ってるんだから」と皮肉ると、アサド大統領はハサン准将のことを「奇妙な理論の持ち主」と評し、別の場面では、アサド大統領が自身の苗字(「アサド」は「獅子」の意味)を揶揄して、「ニムル(トラ)」の愛称で知られていたハサン准将が「別の動物の名前に変えるべきだ」などと語っている。
別の映像では、アサド大統領が「シリア人はモスクに金を使うくせに、食う物もない」と国民を見下す発言、シブル顧問は、アサド大統領に対する軍の無線での呼びかけを嘲り、国民について「礼儀正しい」と馬鹿にしている。
またシブル顧問は、アサド大統領に対し、「我々の若者はジャウバル地区(ダマスカス県)を略奪して、何ひとつ残さなかった」と述べると、アサド大統領は、「街はもともと破壊されていたし、あの地域の問題は和解で解決できる」と答えている。
さらにシブル顧問は車で廃墟を通過する際、アサド大統領に向かって「あなたは人道問題の話をする気がない。でも軍事の話となると、「ヤー・ラティーフ」(なんて熱心なの)」と皮肉を述べている。
このほか、別の映像では、士官が兵士らの前でアサド大統領に「あなたの手と足をキスさせてください」と懇願する場面が記録されている。
アラビーヤ・チャンネルのマフムード・ワーウィー特派員によると、これらの映像は大統領府内で「極秘」と記された封筒に保管されており、そのなかにはシブル顧問の個人的文書も収められていたという。
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