Contents
ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国が身柄拘束していたクルド人約300人を釈放したことを受け、クルド戦線旅団(自由シリア軍)がイラク・シャーム・イスラーム国のアミールを名のるアブー・ムスアブ(非シリア人)を3人のメンバーとともに釈放した。
アブー・ムスアブらは20日にヤービサ村での戦闘で拘束され、報復としてイラク・シャーム・イスラーム国もタッル・アブヤド住民を逮捕・拘束していた。
クッルナー・シュラカー(7月21日付)によると、人質・捕虜交換の交渉は、シャームの民のヌスラ戦線、クルド戦線旅団、民主統一党人民防衛隊の間で行われたという。
なお、ヤービサ村では、民主統一党人民防衛隊とシャームの民のヌスラ戦線メンバー、イラク・シャーム・イスラーム国との戦闘が続き、現地の活動家によると、人民防衛隊の戦闘員5人(女性1人を含む)が死亡したという。
**
ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(7月21日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線がラアス・アイン市東部を自家製の迫撃砲で攻撃した。
ヌスラ戦線は、同市南部のタッル・ハルフ村、アスファル・ナッジャール村、ミシュラーファ村を放棄し、近くの高台に布陣していたという。
**
ダマスカス郊外県では、SANA(7月21日付)によると、アドラー市工業団地(マディーナ・スィナーイーヤ)西部で軍が反体制武装集団を要撃し、多数の戦闘員を殲滅し、装備を破壊した。
戦闘員はシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム旅団、アブー・リーフ大隊のメンバーで、その多くは、ヨルダン、エジプトなどのパスポートを所有していたという。
これに関して、クッルナー・シュラカー(7月21日付)は、マイダアー町・ドゥマイル市間で、軍が東グータ地方に進入しようとした反体制武装集団を要撃し、戦闘員50人を殺害したと報じた。
一方、シリア人権監視団は、アドラー市郊外で軍と反体制武装集団が交戦し、反体制武装集団の戦闘員28人が死亡したと発表(その後死者が49人にのぼると発表)、また戦闘に先立ち、アドラー市では共和国護衛隊の大佐を含む2人が殺害されたと付言した。
これに関して、クッルナー・シュラカー(7月21日付)は、軍東グータ作戦司令官のムハンマド・アリー准将が反体制武装集団との戦闘で死亡した、と報じた。
このほか、SANA(7月21日付)、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊、またRTの特派員が、戦闘に巻き込まれて負傷した。
**
イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍がアリーハー市の市場を空爆し、少なくとも15人が死亡した。またビンニシュ市、サラーキブ市などに対しても軍は砲撃・空爆を行った。
一方、SANA(7月21日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、バラーギーティー市、カフルシャラーヤー市、カニーヤ村、ジャーヌーディーヤ町などで、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
**
タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、バーニヤース市郊外のバイダー町で、子供6人、女性3人を含む一家13人の遺体が発見された。
同監視団によると、20日深夜から21日早朝にかけて、バイダー町周辺で国防隊と反体制武装集団が交戦し、この一家の男性3人が屋外で処刑されたほか、戦闘員2人が殺害され、また国防隊側も士官1人を含む3人が死亡したという。
**
アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・アサル村での戦闘で、「自由シリア軍」が同市の作戦司令官のハサン・ユースフ・ハサン大佐および副官2人を含む兵士5人とともに殺害した。
これに関連して、第9師団司令部を名のる武装集団が、ビデオ声明を出し、ハーン・アサル村を完全解放したと発表した。
またアレッポ市ではラーシディーン地区、ジャミーリーヤ地区、アターリブ市などで、軍と反体制武装集団が交戦、双方に死傷者が出た。
一方、SANA(7月21日付)によると、ハーン・アサル村、アターリブ市、カブターン・ジャバル村、カフルダーイル村、フライターン市、ヒーラーン村で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
アレッポ市では、ラーシディーン地区、シャイフ・マクスード地区、ブスターン・カスル地区、旧市街で、軍が反体制武装集団と交戦、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
**
ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のハーリディーヤ地区、旧市街、ザーラ村などが軍の砲撃を受けた。
一方、SANA(7月21日付)によると、ヒムス市のバーブ・フード地区、ジャウラト・シヤーフ地区、クスール地区、ハーリディーヤ地区、ワルシャ地区、ハミーディーヤ地区、カラービース地区、マサービグ地区、ラスタン市、ザーラ村郊外、タドムル市郊外、ダイル・サラーム遺跡、サムアリール村、ナースィリーヤ村で、軍が反体制武装集団と交戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
**
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
**
ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タスィール町、ナワー市、アイン・ズィクル村、バッカール村、ジュバイリーヤ村、アービディーン市で、軍と反体制武装集団が交戦した。
一方、SANA(7月21日付)によると、ダクル市、スーラ町、フラーク市、東ムライハ町、ブスル・ハリール市、シャイフ・マスキーン市、サイダー町、ウンム・ルークス市、アブー・マダッラート市、ジャースィム市、ダルアー市などで、軍がヤルムーク殉教者旅団と交戦し、同旅団司令官のムハンマド・タアーニーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
これに対し、自由シリア軍南部戦線司令官でヤルムーク旅団を率いるバッシャル・ズウビーは『ハヤート』(7月22日付)の電話取材に応じ、「シリア南部の多くの都市・村々を急速に進軍し、政府軍が大規模に展開する同地域の約60%を制圧した…。ラマダーン月の開始とともに主導権を握った」と述べた。
ズウビーはまた「ラマダーン月に入って戦闘員の意志が高まり…、戦闘員が大量の武器を入手した…。ラマダーン月が終わるまでにシリア南部全土を解放区とすると発表したい」と強調した。
なお供与されている武器の一部に関して、ズウビーは「アラブ湾岸諸国2カ国が供与する一方、ヨルダン人密輸業者を通じて入手している」と付言した。
シリア・クルド国民評議会事務局が声明を出し、民主統一党が進める自治政府樹立の動きに関して、「将来のシリアにおける最善の体制が、シリア社会を構成するすべての集団の権利が保障される多元的他民族連邦民主制である旨…西クルディスタン人民議会と」合意したと主張し、疑義を呈した。
またシリア・クルド国民評議会は「どのクルド人当時者にも、クルド人民の要求を単独で規定するいかなる計画を提示する権利はない」と付言、西クルディスタン社会契約(憲法)を批判した。
**
『ハヤート』(7月22日付)によると、タッル・アブヤド市での戦闘に関して、民主統一党の複数の幹部は、トルコ政府が対シリア国境地域におけるクルド人の影響力増大を阻止するため、過激派を支援していると疑っていると述べた。
**
ムスタファー・トゥラース元国防大臣の長男でビジネスマンのフィラース・トゥラースが『カバス』(7月21日付)のインタビューに応じ「政治的資金の流入が、シリア革命の大部分、とりわけ武装部隊を腐食させた」と述べ、諸外国による援助を批判した。
また「トゥラース家には文字通り、財産を持っていない。前にも述べた通り、マース社に体現されている私の財産は、シリア社会の開発…のために活動する機関のために運用されるだろう」と述べ、反体制運動に資金援助する意思はないと強調した。
**
シリア革命反体制勢力国民連立はフェイスブックを通じて声明を出し、軍がダマスカス県ヤルムーク区に対して化学兵器を使用したと主張、国際社会に対応を求めた。
**
シリア革命反体制勢力国民連立は、20日の軍によるサラーキブ市空爆を受けて、声明を出し、国際社会に対して飛行禁止空域を設定するよう求めた。
**
シリア革命反体制勢力国民連立はイスタンブールでの2日間(20~21日)にわたって政治委員会会合を開催した。
カマール・ルブワーニーによると、会合では、連立の財務を監督する財務監督者を任命することが決定された。
また防衛治安委員会、政治体制再検討委員会、経済委員会、渉外委員会が設置され、ルブワーニー自身が防衛治安委員会の委員長に選出されたという。
クッルナー・シュラカー(7月22日付)が報じた。
**
クッルナー・シュラカー(7月21日付)は、ラタキア県出身でオリエント・チャンネルの記者として活動してきたアッブード・ハッダードが、1ヶ月前にイラク・シャーム・イスラーム国によって拉致され、現在も行方不明だと報じた。
デヴィッド・キャメロン英首相はBBC(7月21日付)に「状況はきわめて悲観的だ。シリアが間違った方向に進んでいると思えるような状況だ」と述べ、危機感を表明した。
AFP, July 21, 2013、BBC, July 21, 2013、al-Hayat, July 22, 2013, July 23, 2013、Kull-na Shuraka’, July 21, 2013, July 22,
2013、Kurdonline, July 21, 2013、Naharnet, July 21, 2013、Reuters, July 21,
2013、al-Qabas, July 21, 2013、SANA, July 21, 2013、UPI, July 21, 2013などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
イドリブ県では、テレグラムの「…
イランを訪問中のバッサーム・サ…