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『サウラ』(7月4日付)は、創刊50周年を記念して、アサド大統領への単独インタビューを行い、その全文を掲載した(http://thawra.alwehda.gov.sy/_View_news2.asp?FileName=63241515720130704021727)。
インタビュー記事におけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:
「植民地主義がシリアから出ていったときも、我々を解放したまま出ていくことなかった。植民地主義は別の方法で我々を支配するために出ていっただけであり、その方法とは、様々な新たな手段を必要とした。そうした手段のなかで最も重要なのが、分裂をもたらすような内乱を発生させることだ」。
「最も危険な真の分裂とは、アイデンティティの分裂だ。我々はみな一つのくに暮らすが、さまざまなアイデンティティを持ってしまっている。このことは一つの祖国だと我々が思っている場所に、分断された複数の祖国が存在してしまっているということを意味する…。植民地主義は、互いを拒絶するような隔絶された集団を作り出すことに一定程度成功を収めたのだ」。
「現在、結果として見ることができるこの(社会の)亀裂は、ムスリム同胞団の成長とともに生じた。独立後、シリアを含む多くのアラブ諸国において同胞団が悪しき役割を果たすことで、この亀裂は強まってしまった。彼らこそがウルーバ(アラブ性)とイスラーム教の間に根本的な亀裂を作り出し、イスラーム主義者の祖国と民族主義者の祖国という二つの祖国を作り出した」。
「我々は今日、『サウラ(革命)』紙創刊50就任を迎えた。私は当初から、今シリアで起きていることは革命ではない、と言ってきた…。真の革命は純粋に国内だけの革命でなければならず、外国とは一切関係がないはずだ…。しかし、シリアで起きていることは当初から、外的要因が顕著だった。彼らはそれを隠そうとしたが、今日それはきわめて明らかになっている。我々はシリアでああすべきだ、ああすべきでないといった多く声明が外国から発せられているのを耳にする」。
「アラブ本来のアイデンティティとは、社会的、文化的、政治的、そして宗教的に穏健なアイデンティティである…。外国がこのアイデンティティを、矛盾した二つの方向に引き裂こうすることで作り出されたのが…宗教的過激主義と西側に執着しようとする過激主義なのだ。これらはいずれもアイデンティティを破壊し、この破壊がシリアなどでの混乱をもたらしたのである」。
「シリアに敵対的な西側諸国の敵対的メディアでさえ、シリア情勢が革命ではないという真実を覆すことはできなかった。彼らはもはや革命という言葉にさえ言及していない。彼らは今、テロについて言及している。彼らは新たな段階に入ったのだ。アメリカと同様、良いテロと悪いテロを分けるという段階に。しかし革命という言葉にはもう言及しなくなった…。しかしそのことを様々な理由で認めることができない人々がいる。その一部は、おそらくはテロリストと同じ考え方、すなわち過激なタクフィール主義的思考なのだろう…。また知的盲目に苛まれている者もいる。こうした者は自分の目で見ても、知性をもってそれを見ようとはしない」。
「シリアはジハードが行われる土地とはならなかった。ジハードとは善のためのジハードである。それは祖国や啓示を護り、それに基づき建設、発展を行うべきものである…。シリアで起きていることはそもそも、こうしたジハードの概念に反するものだ…。今起きていることはシリアをテロの土地にしようとするものだ。それにはさまざまな理由があるが、テロとは混沌という名の肥料によって成長、増殖する…。またこうしたテロを支援する諸外国がある」。
「こういったワッハーブ主義的タクフィール主義者が行っていることは、預言者が啓示の前後に行ったこととどれほど似通っているというのか?」
「(クサイル地方は)レジスタンスの後背地に関わる場所だ。レジスタンスは、真の深層部分がなくして強力ではあり得ず、シリアはレジスタンスの深層なので。この地は…シリアとレバノン、とりわけレジスタンスとの関係において戦略的な意味を持っている。こうした状況ゆえ、レジスタンスが同地、さらにはシリアに関わる戦闘を行うために存在する必要があるのだ。それ(クサイルでの戦闘へのレジスタンスの参加)は必要なことなのだ。我々はこのことに躊躇しないし、隠しだてもしないし、恥じることもない」。
「国家(アサド政権)が宗派主義的環境の創出に寄与するということは、国家がシリア社会の分断に寄与していることを意味する。つまり、国家は祖国の分断をめざしていることになる。しかし、これはシリアを統合するために我々が各地で行っている戦闘と一致することなのか?…国家は複数の多数派によって支えられている。しかしそれは、民族的多数派、宗派的多数派、宗教的多数によってではなく、国民の多数派によってである…。国民の多数派が国家を支えてきたのであり、多数派について言及するのであれば、それはすべての宗派が包摂されているのが当然で、少数派から国民の多数派が構成されることなどあり得ない」。
「残念ながら…、我々が現在耳にする宗派主義的な言説の多くは、過激なタクフィール主義者だけでなく、世俗主義者を自負する人々によっても発せられている。我々は今日、宗派主義について言及する二つの集団を前にしている。第1に、自ら世俗主義的だと名のり、宗派主義は宗教と矛盾せず、信仰の自由を意味すると言う集団。第2に、宗教の本質…について知らない無理な人々である…。宗教への無知こそが、宗派主義的思考をもたらすのだ」。
「エジプトで起きていること…はいわゆる政治的イスラームの崩壊だ…。政治、ないしは特定集団のために宗教を持ち出し、利用してきた者は世界のどこでも退陣するだろう…。ムスリム同胞団の支配の経験は始まる前に頓挫した。なぜなら、こうした支配は人々の性格と合致することがないからだ。同胞団の計画は実際のところ、アラブ世界に内乱を引き起こすことをめざした偽善に満ちた計画で、意識の高い社会では持続し得ない」。
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アサド大統領は2013年法律第18号を施行し、2012年法律第29号が定める無許可での両替に対する罰則(罰金刑)を強化した。
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『ハヤート』(7月5日付)は、複数の消息筋の話として、バアス党が近くシリア地域の「縮小大会」を開催する予定だと報じた。
大会には、シリア地域指導部、中央委員会メンバーらが参加し、地域指導部メンバーの刷新などが決定される見込みだという。
シリア革命反体制勢力国民連立がイスタンブールで総合委員会会合を開催した。
5月にシリア民主主義者連合(民主ブロック)の代表メンバーへの新規参加が決定されて以降、初となる会合には、同連合のミシェル・キールー代表らも参加した。
会合は2日間の予定で、議長、事務局長、政治委員会メンバー(11人)、移行期政府首班の選出するほか、ジュネーブ2会議、欧米諸国による反体制勢力への武器供与への姿勢が改めて審議される予定だという。
アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長の後任の選出をめぐっては、ジョルジュ・サブラー暫定議長、ブルハーン・ガルユーン(シリア国民評議会元事務局長)、ルワイユ・サーフィー(シリア国民評議会)、アフマド・アースィー・ジャルバー(シリア民主主義者連合)らが立候補すると思われている。
またガッサーン・ヒートゥー暫定首班の後任としては、アフマド・トゥウマが最有力だという。
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サラフィー主義者と思われる軍服姿の反体制活動家がビデオ声明(http://www.youtube.com/watch?v=cjb4F9YQXvQ)を出し、ダマスカス県およびダマスカス郊外県で活動する複数の武装集団が「第四師団ダマスカス護衛隊」を名のる連合組織を結成したと発表、首都ダマスカスを「軍事戦闘活動地域」に指定したと宣言し、住民に「即時退去と安全な地域への移動」を呼びかけた。
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アラブ部族連合を名のる組織が声明を出し、ハサカ県で民主統一党が国防隊の兵士2人を暗殺したと非難した。
暗殺されたとされる兵士は、タイイ部族の子息だという。
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区を軍が空爆、またバルザ区、カーブーン区で軍と反体制武装集団が交戦した。
一方、SANA(7月4日付)によると、バラームカ地区で、労働省のラーカーン・イブラーヒーム次官の自動車に仕掛けられた爆弾が爆発し、次官が負傷、病院に搬送された。
またドゥワイラア地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲1発が着弾し、市民3人が負傷した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市、ザマーニーヤ市、ハラスター市、カラムーン山地一帯郊外、ムウダミーヤ・シャーム市を軍が砲撃・空爆した。
一方、SANA(7月4日付)によると、フジャイラ村、ドゥーマー市郊外、ナブク市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャバーブ・フダー大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市にある国立病院の検問所の大部分を反体制武装集団が制圧、これに対して、軍はウマリー・モスク周辺を空爆した。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルヌブーダ町を軍が砲撃する一方、ハマー市各所で軍が逮捕摘発活動を行った。
一方、SANA(7月4日付)によると、ガーブ地方のバドリーヤ農場で、軍が特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タドムル市、ヒムス市各所で、軍と反体制武装集団が交戦、また軍が砲撃を行った。
一方、SANA(7月4日付)によると、タドムル市、ヒムス市バーブ・フード地区、ジャウラ・シヤーフ地区、クスール地区、ハーリディーヤ地区、ラスタン市郊外、マシュジャル・ジャヌービー市、タッルドゥー市、ザアフラーナ村、タルビーサ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ラタキア市とイドリブ市を結ぶ幹線道路沿いで軍と反体制武装集団が交戦、反体制武装集団はブサンクール村内の同街道にかかる第2の橋を破壊した。
またムウタリム村、アウラム・ジャウズ市、カフルナブル市などで、軍と反体制武装集団が交戦した。
一方、SANA(7月4日付)によると、クーリーン村、アブー・ズフール市、ブサンクール村、カフルシャラーヤー市、アルバイーン山、ムウタリム村、サルジャ村、カフルルーマー村、マガーラ村、マルイヤーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、リビア人、サウジ人、ヨルダン人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアーファス村では、反対対武装集団どうしが略奪品の分配で衝突、複数の戦闘員が死傷した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ラーシディーン地区で、軍と反体制武装集団が交戦し、後者の司令官が死亡した。
またブスターン・アスル地区、アシュラフィーヤ地区、イザーア地区、ハムダーニーヤ地区では、子供1人を含む複数人が殺害された。
このほかハーン・アサル市で、反体制武装集団が軍の拠点を迫撃砲で攻撃した。
一方、SANA(7月4日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、ハーン・アサル市、マンスーラ村、マアーッラト・アルティーク村、アターリブ市、マンナグ村、マーイル町、ズィラーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
アレッポ市では、ラーシディーン地区、マイダーン地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ハミーディーヤ地区、シャイフ・ヤースィーン地区などが、軍の砲撃を受けた。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、軍がラッカ市住民に対して反体制武装集団との戦闘を支援するよう呼びかけた。
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ラタキア県では、SANA(7月4日付)によると、ラビーア町、ジュッブ・アフマル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヨルダン人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
AFP, July 4, 2013、al-Hayat, July 5, 2013、Kull-na Shuraka’, July 4, 2013、Kurdonline, July 4, 2013、Naharnet,
July 4, 2013、Reuters, July 4, 2013、SANA, July 4, 2013、al-Thawra, July 4, 2013、UPI, July 4, 2013などをもとに作成。
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ナハールネット(11月21日付…
イドリブ県では、テレグラムの「…