シリア革命総合委員会がシリア革命反体制勢力国民連立からの脱退を発表するなか、レバノンの対シリア国境地帯でヒズブッラーの戦闘員とシリアの反体制武装集団が交戦(2013年6月2日)

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シリア政府の動き

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、国連の潘基文事務総長と電話会談し、クサイル市での戦闘に関して「軍事作戦が終わり次第」赤新月社のスタッフの同市訪問を許可するとの姿勢を示した。

ムアッリム外務大臣は「シリア・アラブ軍がクサイル市および同市郊外で行っているのは武装テロ集団からの市民の解放と、治安・安定の回復である…。18ヶ月以上前にテロリストが同市一帯を占拠し、市民に対して卑劣な犯罪を行った時には、こうした懸念を耳にしなかったのに、クサイル情勢をめぐって(非難の)声が上がっているのは奇妙だ」と述べた。

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アサド大統領は2013年政令第186号を発し、ラタキア県のスライマーン・ムハンマド・ナースィル知事を解任し、アフマド・シャイフ・アブドゥルカーディルを新知事に任命した。

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SANA(6月2日付)によると、シリア外務省は声明を出し、「外在外居住者省高官筋は、シリア国民に対して安全確保のため当面トルコへの渡航を行わないよう勧告した。これはここ数日にトルコの一部の都市での治安状況悪化と、(レジェップ・タイイップ)エルドアン内閣がデモに参加している平和的なトルコ国民に対する暴力を受けた措置である」と発表した。

反体制勢力の動き

シリア革命総合委員会は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立からの脱退を発表した。

新規メンバー参加を通じて、「国内の革命家」を連立代表メンバーの3分の1以上とするとの「合意」が履行されず、シリア民主主義者連合や元政権関係者など51人が代表メンバーに選出されたことが理由だという。

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ヨルダンのジハード主義潮流の指導者ムハンマド・シャラビー(アブー・サイヤーフ)は『ハヤート』(6月3日付)に、シャームの民のヌスラ戦線が「ヒズブッラー戦闘員によって制圧されているすべての地点に向かっている…。我々はヌスラ戦線がクサイルに入り、軍事バランスを変化させることを期待している。悪魔の党の支持者たちに重大な敗北を負わせるだろう」と述べた。

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マヤーディーン・チャンネル(6月2日付)は、シャームの民のヌスラ戦線メンバーのムハンマド・イスマーイール・サーリフ・ジャールッラー(アブー・カアカーウ)を名のる戦闘員を独占取材し、その映像を放映した。

アブー・カアカーウは、自身がアブー・ムスアブ・ザルカーウィーの出身地であるヨルダンのザルカーウィー市の出身で、4ヶ月前にジハードを行うために、シリアに潜入し、ダマスカス県マズラア地区での自爆攻撃で生き残ったと証言した。

アブー・カアカーウは、ヨルダンからシリア国内にいるシャームの民のヌスラ戦線のアミールに連絡をとり、トルコ在住のチュニジア人のもと、ヨルダンで教練を受けて、密入国したという。

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シリア民主フォーラム(ミシェル・キールー代表)は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立に新規参加したメンバーに関して、個人の資格での参加であり、組織として連立には参加していないと発表した。

また、連立が、反体制勢力を糾合することに現在のところ失敗していると批判した。

国内の暴力

ヒムス県では、複数の反体制活動家が、アレッポ県、ダイル・ザウル県からの反体制武装集団の増援を受け、クサイル市内の反体制武装集団戦闘員の数が約1万人に増加したと発表した。

増援部隊は、アレッポ県で活動するアレッポ軍事評議会(アブドゥルジャッバール・アカイディー)、タウヒード旅団(アブドゥルカーディル・サーリフ)、そしてダイル・ザウル県で活動するウスラ軍(アブー・アリー・シュアイティー)などが派遣したという。

クサイル市を視察したアブドゥルジャッバーアル・アカイディー大佐はビデオ声明を出し、「勝利するまで、クサイルの包囲を解除するまで戦う」と述べ、徹底抗戦の姿勢を示した。

また「我々はヒズブッラーに忘れられないような教訓を与えるだろう。彼らを打ち負かすだろう」と強調した。

そのうえで「戦いに撤退という言葉はない。後退はない。勝利するまで戦うだろう」と戦闘員に向けて呼びかけた。

これに対して、軍はクサイル市北部および周辺の村々への空爆を強化した。

またタルビーサ市、ダール・カビーラ村などに対して、軍は砲撃を加えた。

一方、SANA(6月2日付)によると、東ブワイダ市、ラスタン市、タドムル市、アクラブ町、ブルジュ・カーイー村、ダール・カビーラ村、ガントゥー市、タルビーサ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、アドナーン・ウクラ大隊、死の大隊、アブドゥルハーディー・ミーズナーズィー大隊、アンサール・ワ・シャリーア大隊(シャームの民のヌスラ戦線)、武装大隊メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またレバノン領内からジュースィーヤ地方に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

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ハマー県では、複数の活動家によると、ズグバ村周辺で、軍と反体制武装集団が衝突した。

また、シリア人権監視団によると、軍はカフルナーン村を制圧しようとした武装集団メンバー28人を要撃、殺害した。

一方、SANA(6月2日付)によると、アルファーン・ウスターニー地方のハムラー村、ラーラー村、ラビーア町、ラヒーヤ村、ティーバ・イスム村、シャアファ村、トゥラスィーヤ村、カーヒラ村、ラアス・アイン市、ズグバ村、カスル・下ムハッラム村、カスル・アブー・サムラ村、ウンム・ハズィーム村で軍が反体制武装集団の掃討を完了し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人旅団、ガーブの狼旅団、使徒末裔旅団、シャームの鷹旅団、ダイル・シャルキー革命家旅団、ファーティヒーン旅団、イドリブ革命家旅団、ファジュル・イスラーム旅団、アンサール旅団、ヒッティーン旅団、ジャバルの騎士旅団、カアカーウ大隊、砂漠の楯大隊、バーブ・ドゥライブ大隊、アムジャード大隊、カマール・イスラーム大隊、アブー・ウバイダ・ハマウィー大隊の戦闘員を殲滅、治安を回復した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ムウダミーヤト・シャーム市などに軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月2日付)によると、フジャイラ村、ヤルダー市、ダイル・サルマーン市、ハラスター市、シャイフーニーヤ村、ザマルカー町、バイト・サフム市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、首都の楯旅団のメンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またドゥーマー市では、武装テロ集団の退去を求めるデモが発生し、住民数百人が参加した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(6月3日付)によると、ジャウバル区で自爆テロが発生し、兵士9人が殺害された。

また同地区に対して軍が砲撃を加え、反体制武装集団と交戦した。

これに対して、SANA(6月2日付)は、ジャウバル区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民10人が負傷した、と報じた。

またSANA(6月2日付)によると、バルザ区郊外、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ライラムーン地区で軍と反体制武装集団が交戦し、またマアーッラト・アルティーク市、カフルハムラ村、マアーッラ市、ハナースィル市、ウンム・アームード市などで軍が攻勢をかけた。

一方、SANA(6月2日付)によると、カフルハムラ農場で軍が反体制武装集団の掃討を完了し、治安を回復した。

またアレッポ中央刑務所周辺、ズィヤーラ村、マンナグ村、アルカミーヤ村、マンナグ航空基地周辺、アレッポ市カルム・マイサル地区、アーミリーヤ地区、ライラムーン地区、ブスターン・カスル地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、第17師団基地周辺で軍と反体制武装集団が交戦した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市各所で軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、スィーハ村で軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(6月2日付)によると、タッル・タムル町・ハサカ市間の街道、シャッダーディー市郊外で、軍が反体制武装集団の拠点を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、対ヨルダン国境地帯のウンム・マヤーズィン町を空爆、またヌアイマ村、タッル・シハーブ町などに砲撃を加えた。

なお、タッル・シハーブ町に対する軍の砲撃では、迫撃砲弾複数発がヨルダン領内に着弾した。

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ラタキア県では、SANA(6月2日付)によると、シュルーク村、ハドラー村、ジュッブ・アフマル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(6月2日付)によると、タフタナーズ航空基地周辺、ビンニシュ市、クマイナース村、サラーキブ市、マアッラトミスリーン市、ハーッス村、カフルルーマー村、マアッル・シャムシャ市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

ベカーア県バアルベック郡の対シリア国境地帯で、ヒズブッラーの戦闘員とシリアの反体制武装集団が交戦した。

レバノン治安当局筋によると、戦闘はアイン・ジャウザ地方を呼ばれる無人地帯で、ヒズブッラーが反体制武装集団を要撃したことをきっかけに発生し、別の反体制武装集団が応援に駆けつけたことで激化した。

この戦闘でヒズブッラーの戦闘員1人が死亡(同日晩に埋葬)、4人が負傷し、反体制武装集団の戦闘員7人以上が死亡した。

しかし、死亡したシリア人の身元は判明しておらず、いわゆる「自由シリア軍」なのか、サラフィー主義者なのかは不明だという。

また戦闘では、シリア領内から複数の迫撃砲がレバノン領内に向けて発射されたが、死傷者は出なかった。

なおバアルベック郡以外でも、ヘルメル郡の対レバノン国境地帯にシリア領内から発射された迫撃砲弾複数発が着弾した。

一方、ヒズブッラーに近い複数の消息筋によると、この戦闘による反体制武装集団側の死者は17人に上り、彼らは「非通常兵器」を保有していたという。この「非通常兵器」が何なのかは明らかにしなかった。

しかし別の消息筋によると、シリア人の遺体は2体しか発見されなかったという。

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北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区では、武装した住民どうしの衝突が再び激化し、NNA(6月2日付)によると、少なくとも14人が負傷した。

諸外国の動き

湾岸協力会議(GCC)は、サウジアラビアのジェッダで定例会合を開き、シリアへのヒズブッラーのあからさまな介入を非難、同党をテロ組織として認定することで合意した。

バーレーンのガーニム・ブーアイナイン外務担当大臣が会合後の記者会見で明らかにした。

またアブドゥッラティーフ・ズィヤーニーGCC事務局長も、「GCC諸国内におけるヒズブッラーのあらゆる権益に対抗するための措置を検討することを決定した」と述べるとともに、「湾岸およびアラブ情勢へのイランの介入が激化している」と批判した。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、ラジオ・ヨーロッパ1(6月2日付)で、ジュネーブ2会議が「7月半ばに開催されると考えている」としたうえで、「時間は限られている…。反体制勢力は代表を選ばねばならない。これは若干の時間を要するだろう。また議事に関して合意に達しなければならない」と述べ、同大会が「政治的解決の最後のチャンス」だと強調した。

AFP, June 2, 2013、al-Hayat, June 3, 2013、Kull-na Shuraka’, June 2, 2013, June 5, 2013、Kurdonline,
June 2, 2013、al-Mayadeen, June 2, 2013、Naharnet, June 2, 2013、NNA, June
2, 2013、Reuters, June 2, 2013、SANA, June 2, 2013、UPI, June 2, 2013などをもとに作成。

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