チャック・ヘーゲル米国防長官は、上院軍事委員会の公聴会に出席し、シリアの反体制派への教練では「現地のパワー・バランスは変更できないことを我々は理解している」と証言した。
また、ダーイシュ(イスラーム国)掃討のため、シリア領内への空爆を含めた軍事計画を策定し、自身とマーティン・デンプシー統合参謀本部議長がこれを承認したと証言した。
また公聴会に出席したデンプシー統合参謀本部議長も、ダーイシュが米本土の脅威となった場合は、地上部隊の投入をバラク・オバマ米大統領に進言すると述べる一方、自らが承認した軍事計画が「シリア領内のダーイシュの「聖域」を標的とした軍事攻撃を含む」ことを明らかにした。
一方、シリア空爆と合わせてオバマ米大統領が行うとしているシリアの反体制武装集団への支援について、ヘーゲル国防長官は「反体制派への支援は、議会が承認しなければ、多くの時間が失われる」と警鐘を鳴らした。
ヘーゲル国防長官によると、反体制派支援は「穏健」な反体制派の戦闘員5,000人の教練を骨子とするが、「5,000人では現地のバランスを変更するには不充分で、我々はそのことを理解している」と白状した。
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イラン・イスラーム革命防衛隊のモハンマド・アリー・ジャアファリー総司令官は記者会見で、ダーイシュ(イスラーム国)の壊滅をめざすとする米国の姿勢に関して「この組織が自ら(米国)の目標を実現できないと感じて、戦おうとしている」と非難した。
ジャアファリー総司令官はまた「我々こそが最初から、シリアでダーイシュと戦い、その根絶に貢献しようとしてきた」としたうえで、「もしパリでの会合に招待されていたとしても、米国指導部を軸としている会合への出席を拒否していたろう」と述べた。
さらに、米国はダーイシュ以外の「テロ集団」を支援し続け、イラクでは北部のクルド人を支援するためだけに駐留している、と非難した。
そのうえで、米国がシリア空爆に踏み切れば、「米国は後悔することになるだろう…。イランはシリア政府の政策を支持し、政治支援を続ける。しかし軍事的に介入することはない」と強調した。
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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はカタールへの公式訪問を終え帰国し、記者団に対して、対シリア、イラク国境地帯に緩衝地帯を設置する意向を明らかにした。
AFP(9月16日付)などが伝えた。
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スタファン・デミストゥラ共同特別代表はフランスを訪問し、ローラン・ファビウス外務大臣ら外務省、大統領府高官と会談した。
また同日晩、パリ滞在中のサウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣とも会談を行った。
『ハヤート』(9月17日付)が伝えた。
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シリアでの人権侵害を調査するための国際調査委員会のパウロ・セルジオ・ピネイロ委員長は国連安保理で、シリアとイラクにおける人道状況についての報告を行った。
報告のなかで、ピネイロ委員長は、イラクとシリアの両国においてダーイシュ(イスラーム国)が行っている殺戮の実態を指摘・非難する一方、アサド政権に関して、「大多数の市民が…殺傷されたことの責任がある」と非難した。
AFP(9月16日付)、ロイター通信(9月16日付)などが伝えた。
AFP, September 16, 2014、AP, September 16, 2014、ARA News, September 16, 2014、Champress, September 16, 2014、al-Hayat, September 17, 2014、Kull-na Shuraka’, September 16, 2014、al-Mada Press, September 16, 2014、Naharnet, September 16, 2014、NNA, September 16, 2014、Reuters, September 16, 2014、SANA, September 16, 2014、UPI, September 16, 2014などをもとに作成。
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