国連事務総長がシリア政府に対し化学兵器使用に関する国連調査グループを受け入れるよう求めるなか、米国務省はヌスラ戦線アミールのジャウラーニーを制裁対象リストに(2013年5月17日)

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国内の暴力

ダマスカス郊外県では、反体制活動家らによると、ムライハ市郊外、ムウダミーヤト・シャーム市を軍が空爆、またヤブルード市で、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(5月17日付)によると、ハラスター市、リーハーン農場、ムライハ市周辺、フーシュ・ダワーヒラ市などで、軍が反体制武装集団を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、反体制活動家らによると、アサーリー地区、ジャウバル区を軍が空爆・砲撃した。

一方、SANA(5月17日付)によると、バルザ区で軍が反体制武装集団と交戦、殲滅した。

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ヒムス県では、『ハヤート』(5月18日付)によると、ヒムス市ワアル地区が軍の砲撃を受けた。

またクサイル市郊外では、ハムザ・アサドッラー大隊が軍を襲撃した。

一方、SANA(5月17日付)によると、軍がレバノン領内からタッルカラフ市郊外に潜入しようとした武装集団を撃退した。

またバイト・スワイル村、バイト・ラーシド村、ガントゥー市、ダール・カビーラ村、ラスタン市、ダイル・フール村、ヒムス市ワアル地区で、軍が反体制武装集団を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(5月18日付)によると、サフィーラ市、ハナースィル市で、シャームの民のヌスラ戦線とアブー・ダジャーナ大隊が軍と交戦した。

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ラタキア県では、『ハヤート』(5月18日付)によると、サルマー町を軍が空爆した。

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イドリブ県では、SANA(5月17日付)によると、ジスル・シュグール市郊外、アリーハー市郊外各所で、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またイドリブ中央刑務所、タフタナーズ航空基地、ブカフルーン市、ワーディー・間ハーミール市、ウンム・ジャリーン村、アブー・ズフール軍事基地周辺、カフルルーマー村、マアッルバリート村などでも、軍が反体制武装集団を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(5月17日付)によると、ナワー市、サフム・ジャウラーン村、シャジャラ町、タファス市、ナーフィア村、タスィール町、シャブラク村、ジャムラ村などで、軍が反体制武装集団を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(5月17日付)によると、反体制武装集団がタイバト・イマーム市で自爆テロを行い、市民2人が死亡、4人が負傷した。

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スワイダー県では、クッルナー・シュラカー(5月17日付)によると、アラブ山殉教者連隊が軍事情報局のバスを襲撃し、「甚大な人的被害」を与えた。

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クッルナー・シュラカー(5月17日付)は、「シリア電子軍」が『フィナンシャル・タイムズ』のサイトにサイバー攻撃をかけ、一時閲覧不能になったと報じた。

国内の動き

『ハヤート』(5月18日付)が反体制活動家からの情報として伝えたところによると、ラッカ県ラッカ市、ハマー県ムーリク市、ダマスカス県アサーリー地区などで、「シリア自決の金曜日」と銘打って、金曜礼拝後に反体制デモが行われた。

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SANA(5月17日付)は、ヒムス県タッルカラフ市で金曜礼拝後に、軍による武装テロ集団追撃を支持するデモ行進が行われたと報じ、その写真を掲載した。

反体制勢力の動き

ダマスカス県ドゥーマー市の統合医療局が声明を出し、軍が16日の同市に対する攻撃で化学兵器を使用したと再び主張した。

Kull-na Shuraka’, May 17, 2013

諸外国の動き

フォックス・ニュース(5月17日付)は、イスラエル軍の歩兵がシリア国内での任務を終え、イスラエル領内に戻る映像を放映した。

https://video.foxnews.com/v/video-embed.html?video_id=2387678544001

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国連の潘基文事務総長がモスクワを訪問し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外務大臣らと会談し、シリア情勢などを協議した。

会談後の記者会見で、ラブロフ外務大臣は、「ジュネーブ2」大会に関して、国連の主催のもとに開催することが望ましいと述べた。

ラブロフ外務大臣はまた、「ジュネーブ2」へのイラン、サウジ、シリア周辺諸国の参加が不可欠だと改めて述べるとともに、大会に出席する反体制勢力を確定する必要を強調、「それなくして大会の開催は不可能」と述べた。

これに対して、潘国連事務総長は、「ジュネーブ2」大会開催の早急な開催を呼びかける一方、化学兵器使用に関する国連の調査グループを受け入れるようシリア政府に求めた。

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米国務省は声明を出し、ワーイル・ハルキー内閣の閣僚4人、シリア・アラブ航空、ドゥンヤー・テレビ、そしてシャームの民のヌスラ戦線のアミールを名のるアブー・ムハンマド・ジャウラーニーを財務省の経済制裁対象リストに新たに追加したと発表した。

リストに追加された4閣僚は、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣、サアド・アブドゥッサラーム・ナーイフ保健大臣、アドナーン・アブドゥー・サフニー工業大臣、ナジュム・ハマド・アフマド法務大臣。

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『ニューヨーク・タイムズ』(5月18日付)は、米高官の話として、ロシアがシリアに対艦ミサイル(ヤホント)など高性能兵器を新たに供与したと報じた。

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フランス外務省報道官は、記者会見で、ロシアが求める「ジュネーブ2」大会へのイランの参加をフランスは拒否すると述べた。

AFP, May 17, 2013、Fox News, May 17, 2013、al-Hayat, May 18, 2013、Kull-na Shuraka’, May 17, 2013、Kurdonline, May 17, 2013、Naharnet, May 17, 2013、The New York Times, May 18, 2013、Reuters, May 17, 2013、SANA, May 17, 2013、UPI, May 17, 2013などをもとに作成。

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