イスラエルによる越境空爆に関して各反体制派勢力あるいは反体制寄りの諸国家さえもこれに批判的な立場を表明、シリア高官「我々は待つことなるが、報復する」(2013年5月6日)

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国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区、カーブーン区が軍の砲撃・空爆を受け、複数名が負傷した。

一方、SANA(5月6日付)によると、ジャウバル区、カーブーン区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ハジャル・アスワド市が軍の砲撃を受け、女性2人が死亡した。

一方、SANA(5月6日付)によると、ザマルカー町、ドゥーマー市、ハラスター市、ダーライヤー市、アドラー市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アシュラフィーヤ・サフナーヤー市では、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民1人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヌアイマ村が軍の砲撃を受け、ダルアー市では軍が摘発逮捕を行った。

一方、SANA(5月6日付)によると、ヒルバト・ガザーラ町付近で武装集団どうしが交戦し、ラーヤート・ハック大隊を名乗る組織の戦闘員らが死傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タルビーサ市、クサイル市、ラスタン市などで、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(5月6日付)によると、軍がハウラ・シャリーア法廷のメンバー複数を殲滅した。

またヒムス市ワーディー・サーイフ地区、バーブ・フード地区、ウユーン・シャアラ村、ウザイル村、ザアフラーニーヤ村、サッルーミーヤ村郊外、ラフムーニーヤ村、アッシュー・ウルード村、クサイル市、アイン・ダナーニール市、ラスタン市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市アレッポ街道地区で軍と反体制武装集団が交戦、またサワーイク地区で軍が摘発逮捕を行った。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーッス村などが軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(5月6日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、アイン・バーリダ村、アイン・スーダ村、タフタナーズ市、サルミーン市、ナイラブ村、ビンニシュ市、マアッラトミスリーン市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団が軍のヘリコプターを撃墜する一方、軍は反体制武装集団によって大部分が占拠されたマンナグ航空基地を空爆し、ヘリコプター3機を破壊した。

また反体制武装集団が「シーア派住民が多く住む」ヌッブル市、ザフラー町を砲撃する一方、軍はサフィーラ市などを砲撃した。

一方、SANA(5月6日付)によると、ムスリミーヤ村、ヒーラーン村、マンナグ村、アルカミーヤ村、アレッポ市ライラムーン地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市に軍が空爆を行った。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市でアブー・バクル・スィッディーク大隊連合が第137旅団基地を離陸した軍のヘリコプターを撃墜し、士官2人を含む兵士8人を殺害した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ジャブラ市の北部に位置するブスターン・バーシャー村およびその周辺に迫撃砲弾複数発が着弾した。

同監視団によると、この攻撃は、タルトゥース県バイダー町とバーニヤース市ラアス・ナブア地区での「虐殺」への報復だという。

一方、SANA(5月6日付)によると、サルマー町、タルティヤーフ村、カフルダブラ村、ドゥッラ村、ブルジュ・アフラーシュ村などで、軍が反体制武装集団のアジトを攻撃、サウジ人、ヨルダン人など外国人戦闘員らを殺傷、武器弾薬を破壊・押収した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(5月6日付)によると、タッル・ハミース市が軍ヘリコプターの空爆を受けた。

シリア政府の動き

シリア高官は、AFP(5月6日付)に対して、「シリアはイスラエルの攻撃に報復するが、実行のタイミングを選ぶだろう…。すぐには行われない。なぜならイスラエルは警戒態勢にあるからだ…。我々は待つことなるが、報復する」と述べた。

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Facebook, May 6, 2013

ダムプレス(5月7日付)などは、殉教者記念日(5月6日)に合わせて、アサド大統領とアスマー・アフラス夫人が殉教者の子息が通う学校を慰問したと報じ、その映像を公開した。

学校の所在地は不明。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=nx7i1YJ0esk

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、イスラエル軍によるシリアへの越境攻撃を「シリアとパレスチナの土地を占領する敵だけでなく、あらゆる敵による我らが国への攻撃を非難する」としたうえで、「シリアにおける民主化のための交渉を通じた関係正常化への道を開く…すべての外交的・政治的努力を支持する」と表明した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、シリア軍弱体化の責任のすべてはアサド政権にあると非難する一方、タルトゥース県バイダー町などでの軍の「虐殺」と時を一にするかたちで行われた空爆を「疑惑の目」を持って見ていると指摘、空爆によってアサド政権による「虐殺」が激化すると警鐘を鳴らした。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン元事務局長は声明を出し、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、「シリア国民が敵に対する統合を回復する好機」としたうえで、「政府軍に与している過ちを犯したすべてのシリア人に発砲を停止し、同胞の殺戮をやめ、人民の側に加わり、内外の敵に対抗して自衛する」よう呼びかけた。

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シャーム自由人大隊は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線の指導者どうしの対立が「国内および地域に及ぼす影響」を注視しているとしたうえで、同戦線に対して「アサド政権という敵を追いやるための戦いに努力を一つにして注ぎ込む」よう呼びかけた。

なお『ハヤート』(5月7日付)によると、シャーム自由人大隊はシリア・イスラーム戦線を主導する。

シリア・イスラーム戦線は10以上の武装集団、約15,000人の戦闘員を擁し、シリア・イスラーム解放戦線に次ぐ国内第2の武装集団。

これに対して、シャームの民のヌスラ戦線は約6,000人の戦闘員を擁し、自由シリア軍参謀委員会(駐トルコ)は40,000~50,000人の戦闘員を統括しているとされる。

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クッルナー・シュラカー(5月6日付)によると、自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官のルワイユ・ミクダードは、自由シリア軍メンバーを名乗るハサン・ラストワーニーなる人物が、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、イスラエル・テレビで、自由シリア軍の志気高揚を促したこととに謝意を示したことに関して、この人物が自由シリア軍とは無関係で、おそらくムハーバラートの工作員だと断じた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『アンバー』(5月6日付)に対して、イスラエル軍によるシリアへの越境攻撃が「イスラエルと反体制勢力が協力しているという口実をシリア政府に与える」としつつ、また「シリア政府への姿勢がどのようなものであれ、イスラエルの攻撃は正当化できない」と非難した。

諸外国の動き

国連人権理事会の国際独立調査委員会のカルラ・デル・ポンテ調査官は、スイスのイタリア語放送のインタビューで「入手した証拠に基づくと、反体制武装勢力がサリン・ガスを用いるなどして化学兵器を使用した」疑いが高いと述べた。

デル・ポンテ調査官はまた「確証はないが、サリン・ガスが使用されたという強い疑い、そして具体的な疑いがある」としたうえで、「我々は調査を深め、さらなる証拠を通じて正確且つ確実な調査を行わなくてはならない。しかし現時点での結論は、反体制派がサリン・ガスを使用したというものだ」と改めて強調した。

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国連人権理事会の国際独立調査委員会はジュネーブで声明を出し、カルラ・デル・ポンテ調査官の発言に関して「化学兵器を使用した当時者に関する最終的な結果は出ていない。それゆえ、疑惑に関してコメントすることはできない」と発表し、慎重な姿勢を示した。

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『ハヤート』(5月7日付)は、トルコの匿名衛生当局筋の話として、シリア国内での化学兵器の使用を確認するため、トルコ当局が領内に非難したシリア人負傷者の血液サンプルの検査を開始したと報じた。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長はシリアでの化学兵器使用疑惑に関して「シリアでのいかなる化学兵器の使用も国際人道法への明確な違反にあたる」としつつ、「シリア政府が(国連調査チームの)受け入れを拒否していることは遺憾である」と述べた。

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『ハヤート』(5月7日付)は、イスラエルの複数の消息筋の話として、イスラエル政府が「複数の外交チャンネル」を通じて、越境攻撃が、反体制勢力との闘争におけるアサド政権の力を弱めることを意図していない旨伝えたと報じた。

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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェビィッチ報道官は、イスラエル軍のシリアへの越境攻撃に関して「シリアで長らく続いている国内紛争への軍事的介入に世界の世論が備える兆候ではないかと大いに懸念している」としたうえで、「シリア国内…の紛争が国際問題化することを許してはならない」と警告した。

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中国外務省報道官は、声明を出し、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、「地域の現状は複雑且つデリケートだと考える…。我々は軍事力の行使に反対し、あらゆる国家を守る者たち権をも尊重しなければならないと考える」と非難しつつ、すべての関係当事者に自制を求めた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、「イスラエルは…ヒズブッラーに武器が供与されたら報復すると言ってきた。このことは誰でも理解できる。しかし同時に、周辺諸国に紛争が拡大すれば、紛争の正確も変容するがゆえに、リスクが高い」と批判的な見方を示した。

そのうえで、シリア革命反体制勢力国民連立への支持を改めて訴えるとともに、「反体制勢力の統合と政治的解決の必要」を求めた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相は声明を出し、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、「イスラエルは地域の現下の異常な状況を利用した」と非難、東アラブ地域に「さらなる混乱と危険な事態」をもたらしかねないと警鐘を鳴らした。

またウサーマ・ヌジャイフィー国民議会議長は声明を出し、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、「イスラエルの攻撃にシリア政府は報復すべき」と主唱した。

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イランのマスウード・ジャザーイリー副参謀長はイラン・イスラーム革命防衛隊のHPを通じて、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆がイラン製の武器を標的としたとの一部報道を「シリア政府はイランの武器を必要としていない。この手の情報はプロパガンダ戦争、心理戦だ」否定した。

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サウジアラビアのサルマーン・ブン・アブドゥルアズィーズ副首相兼国防大臣は、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関して、「アラブ国家を守る者たち権への深刻な侵害」、「あからさまな敵対行為」と批判、攻撃停止と再発防止のために至急行動すべきだと述べた。

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AFP(5月5日付)は、ダマスカス郊外県のサイイダ・ザイナブ廟の「防衛」任務中に戦死したイラク人の葬儀がイラクのバスラ市で行われた。

戦死したのはディヤー・マトシャル・カーティウ・イーサーウィー(29歳)で、バスラ市で結成された「殉教者の主大隊」を名乗る民兵に属していたという。

AFP, May 6, 2013、al-Anba’, May 6, 2013、DamPress, May 7, 2013、al-Hayat, May 7, 2013、Kull-na Shuraka’, May 6, 2013、Kurdonline, May 6, 2013、Naharnet,
May 6, 2013、Reuters, May 6, 2013、SANA, May 6, 2013、UPI, May 6, 2013などをもとに作成。

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