アサド大統領が公の場で4ヶ月ぶりに発言(2014年11月20日)

アサド大統領はダマスカスで、バアス党タルトゥース支部指導部および同支部所轄下の支局幹部らと会合を開き、国内情勢などについて報告を行った。

アサド大統領が公の場で発言するのは2014年7月16日の大統領就任演説以来4ヶ月ぶり。

SANA(11月20日付)によると、アサド大統領は、バアス党の役割について、今日シリアが直面している危機のなかで、万人に対して開かれたイデオロギー政党としての党の重要性が明らかになったと述べた。

アサド大統領によると、こうした重要性への認識は、領内でのテロとの戦いだけでなく、思想をもって対抗すべき過激思想との戦いが行われているなかで、より強まっているという。

アサド大統領はまた、現下の危機がこれまで以上に政治化しているがゆえ、バアス党の活動をさらに発展させる必要があると指摘し、アラブ性(ウルーバ)から発揚される明確な思想的・政治的計画を構築することで、こうした発展が可能になると述べた。

そのうえで、今後脅威に立ち向かうため党内のさまざまなレベルで対話を行うことが肝要だと強調した。

一方、シリア情勢、中東情勢、国際情勢に関して、アサド大統領は、シリア軍がさまざまなレベルで武装テロ集団との戦いを継続していると述べるとともに、国民和解を推し進めることが重要だとの認識を示した。

そのうえで国際社会が、テロリストに資金、武器を供与する諸外国に圧力をかけ、国民和解を支援する努力を行うべきだと述べた。

アサド大統領は、ダーイシュ(イスラーム国)をはじめとする武装テロ集団の犯罪に対して、国際社会がどのように対処すべきかというヴィジョンを欠いていると指摘、こうした組織の台頭が無の状態から生まれることはあり得ず、シリアを破壊し、その国民統合、治安、安定を脅かそうとするタクフィール主義組織への武器、資金援助の結果だと批判した。

最後にアサド大統領は、中東地域が分岐点にさしかかっていると指摘、今後の方向性がシリア国民の抵抗、友好諸国の姿勢、そしてそれ以外の国際社会の当事者(欧米諸国、アラブ湾岸諸国など)にテロの脅威を理解させることにかかっていると力説した。

アサド大統領の報告に続いて、出席者を交えた質疑応答が行われたという。

SANA, November 20, 2014

AFP, November 20, 2014、AP, November 20, 2014、ARA News, November 20, 2014、Champress, November 20, 2014、al-Hayat, November 21, 2014、Kull-na Shuraka’, November 20, 2014、al-Mada Press, November 20, 2014、Naharnet, November 20, 2014、NNA, November 20, 2014、Reuters, November 20, 2014、SANA, November 20, 2014、UPI, November 20, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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