ダイル・ザウル県で発生した爆弾攻撃により自由シリア軍創設者のアスアド大佐が足を切断する負傷、ドーハで開催予定のアラブ連盟首脳会議で辞任を一時猶予したハティーブ議長が演説を行うことが決定(2013年3月25日)

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国内の暴力

自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官を名乗るルワイユ・ミクダードは、CNN(3月25日付)に対して、ダイル・ザウル県のマヤーディーン市で24日夜、自由シリア軍創設者のリヤード・アスアド大佐が乗った車に仕掛けられた爆弾が爆発し、同大佐が負傷したと述べた。

al-Hayat, March 26, 2013

アスアド大佐は、反体制武装集団の拠点を視察するために、ダイル・ザウル県を訪れていた。

ミクダード調整官によると、アスアド大佐は治療のためトルコに搬送されたという。

ミクダード調整官は、アスアド大佐が爆発で右脚を失っていないと述べたが、『ハヤート』(3月26日付)などに掲載された写真では、アスアド大佐の右脚は切断されていた。

http://www.youtube.com/watch?v=kc_hr4zlt-M

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ダマスカス県では、SANA(3月25日付)によると、ウマイーイーン広場のオペラ・ハウス周辺に反体制武装集団が発射した迫撃砲が複数発着弾し、市民1人が死亡、7人が負傷した。

この事件に関して、イフバーリーヤ・チャンネル(3月25日付)は、カメラマンと助手の合わせて2人が負傷したと報じた。

またバグダード通り(アズバキーヤ地区)で、反体制武装集団が爆弾を仕掛けた車を爆発させ、運転手が死亡したほか、ウマイヤ学校近くに迫撃砲を撃った。

これに関連して、シリア人権監視団は、ダマスカス県の書記官の車に仕掛けられた爆弾が爆発し、この書記官が負傷した、と発表した。

このほか、SANA(3月25日付)によると、ハルブーニー地区でも、反体制武装勢力が即席爆弾を爆破し、市民1人が死亡した。

さらに、アダウィー地区のダール・シファー病院裏にも迫撃砲弾が複数発着弾したが、負傷者は出なかったという。

一方、ジャウバル区では、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、対ヨルダン国境の自由貿易区を管理するファイサル・イブラーヒーム大佐を含む兵士数十人、第52旅団の兵士約250人、シャルキー検問所の兵士12人が離反した。

またバーリド検問所が反体制武装集団に制圧されたという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍が各地に空爆を行った。

一方、SANA(3月25日付)によると、ナイラブ村、マクラン市、サルミーン市、ビンニシュ市、カフルワジーン市、マジュダリヤー村、トゥウーム村、タフタナーズ市、ハルス市、ルージュ平原などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、軍がラッカ市に空爆を行った。

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ヒムス県では、SANA(3月25日付)が、軍消息筋の話として、ヒムス市バーブ・アムル地区で反体制武装集団を殲滅し、治安と安定を回復したと報じた。

軍は、ヒムス市スルターニーヤ地区など、バーブ・アムル地区周辺で、反体制武装集団の追撃を続けているという。

また、カマーム村、サアン・アスワド市、ガントゥー市、タルビーサ市、ウンム・シャルシューフ村、スィール市、タドムル市、ダール・カビーラ村、アーバル市、ブワイダ市、ダブア市、ハミーディーヤ市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(3月25日付)によると、ダーライヤー市、ウタイバ村、ジスル・ガイダ市、ジスリーン町など軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(3月25日付)によると、アフタリーン市・アレッポ市街道、アターリブ市、アウラム・スグラー市、ドゥワイリーナ市、マーリア市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、バニー・ザイド地区、マサーキン・ハナーヌー地区、旧市街、などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(3月25日付)によると、ビッラ村で、軍が反体制武装集団の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(3月25日付)によると、タイバト・イマーム市で軍が反体制武装集団に対して特殊作戦を行い、シャームの民のヌスラ戦線の指導者の一人、アビー・バッラー・ジャズラーウィーを含む複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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『ニューヨーク・タイムズ』(3月25日付)は、匿名高官筋や反体制勢力指導者らの話として、CIAが、アラブ湾岸諸国やトルコによるシリアの反体制武装集団への武器供与(クロアチアからのトルコ、ヨルダンへの武器空輸)に対する支援を強化している、と報じた。

国内の動き(シリア政府の動き)

アサド大統領は政令第119号を発し、ムハンマド・ザアール・アリーをハサカ県知事に任命した。

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ダマスカスで開催されていたシリア国民対話会合が2日間の予定を終え、閉幕した。

閉幕声明において、参加者は「シリアの危機に関与するすべての当時者の対話への参加努力、出席希望者への門戸開放原則に基づく早急な対話の実施」の必要を確認した。

また、シリアに対する経済制裁を続ける米国およびEUの姿勢を非難し、国際社会において制裁に関与した者の裁判を求め、外国による直接、間接の被害の特定をめざすとの意思を示した。

一方、アラブ連盟に関しては、反体制武装集団を支援し、憲章から逸脱していると非難した。

さらに、危機解決政治プログラムに関して、国民憲章、新憲法、三権、挙国一致内閣、移行期政府の活動機関などに関わる諸原則に関して合意したことを明らかにした。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、3月26日にドーハで開催されるアラブ連盟首脳会議に、アフマド・マアーッズ・ハティーブ議長、スハイル・アタースィー(前)副議長、ムスタファー・サッバーグ事務局長、ガッサーン・ヒートゥー暫定政府首班、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー議長、自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長、スライマーン・ヒラーキーがシリアの代表として参加すると発表した。

またアラブ連盟、国連などに対して、アサド政権との外交・政治関係と断行し、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の唯一の正統な代表として承認するよう呼びかけた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長は、フェイスブック(3月25日付)で、「ドーハでの会議(アラブ連盟首脳会議)でシリア国民の名のもとに演説することを決心した。どうか幸運を祈って欲しい。このことは、辞任とは無関係で、辞職については今後議論されるだろう」と述べ、辞任を猶予したことを明らかにした。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長の辞任発表を「勇敢な姿勢に…挨拶の言葉を向けねばならない」と歓迎の意を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長は、マヤーティーン市でのリヤード・アスアド大佐の負傷を「解放指導者を抹殺しようとする試みの一環」と非難した。

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自由シリア軍アレッポ県軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は、マヤーティーン市でのリヤード・アスアド大佐を「兄弟、指導者、栄光と尊厳を貫く戦闘員」と評し、回復を祈るとともに、襲撃を「処罰を免れない」と非難した。

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自由シリア軍国内合同司令部のファフド・ミスリー報道官(在レバノン)は、レバノンの声ラジオ(3月26日付)で、リヤード・アスアド大佐暗殺未遂が、「シリア政府は多数のスパイ、密偵を送り込んできた。ヒズブッラーやイランが何らかの役割を果たしていたかもしれない」と述べ、ヒズブッラーやイランの関与を疑った。

諸外国の動き

ヨルダンのサミーフ・マアーイタ情報通信大臣(内閣報道官)は、23日からの軍と反体制武装集団の国境地帯での戦闘激化を受け、ラムサー市の対シリア国境通行所を閉鎖したと発表した。

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イスラエル国防軍の北部司令部のヤイル・ゴラン司令官は、イスラエル紙に対して、アサド政権が崩壊した際のジハード主義者の活動激化に懸念を抱く域内の複数の勢力との協力のもと、レバノン内戦時にレバノン南部に設置したのと同様の「緩衝地帯」、「安全地帯」をシリア国内に設置するかもしれない、と述べた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は『ハヤート』(3月26日付)に対して、「(シリアの)反体制勢力は(シリア革命反体制勢力国民)連立を発足した。それは政党、ないしは政党連合のようなもので、行政府ではない。国際社会、国外で国を代表するのは、行政府、すなわち政府だ。反体制勢力は今、政府の発足を始めた。反体制勢力には首相がいる。私はこの首相(ヒートゥー)と連立議長に(アラブ連盟首脳会議の)招待状を送った。ハティーブ議長は出席するだろう」と述べた。

アフマド・ベン・フッリー事務副長によると、アラブ連盟首脳会議の議長国であるカタールとアラビー事務総長は、ハティーブ議長の出席を促したという。

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イラクのホシェリ・ゼバリ外務大臣は、テレビのインタビューで「イラクはシリア国民が決定していないいかなる勢力を承認する方向には向かわない。我々は自らの姿勢と留保を維持する」と述べ、シリア革命反体制勢力国民連立にアラブ連盟のシリア代表としての資格を与えることに異議を唱えた。

SANA(3月25日付)が報じた。

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国連が事務所を構えるシェラトン・ホテルから近いオペラ・ハウスへの迫撃砲着弾を受けるかたちで、国連のマーティン・ニスルキー報道官は、シリアに駐在する国連の外国人職員100人のうち50人をベイルートとカイロに待避させることを決定したと発表した。

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フランスのロラン・ファビウス外務大臣はEuro 1のインタビューに応じ、「シリアの分裂と過激派の最終的な勝利を避けたいのなら…、反体制勢力は改めて統合せねばならない」と述べた。

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、常任理事国のシリアでの化学兵器使用に関する調査委員会への参加を除外するとした潘基文事務総長の決定を非難した。

またゲンナージー・ガティロフ外務次官もツイッターで「常任理事国の化学(兵器)の専門家が参加する必要があると考えている」と綴り、中国、ロシア、そして英米仏の代表が化学兵器使用に関する調査委員会に参加すべきと主張した。

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AFP(3月25日付)は、ベルギーで、自国民(イスラーム教徒)がシリアでの戦闘に参加するために出国するのを阻止するため、民間人や軍人からなる専門家チームが設置されたと報じた。

AFP, March 25, 2013、Akhbar al-Sharq, March 25, 2013、CNN, March 25, 2013、al-Hayat, March 26, 2013、Kull-na Shuraka’, March 25, 2013、al-Kurdiya News, March
25, 2013、Naharnet, March 25, 2013、The New York Times, March 25, 2013、Reuters, March 25, 2013、SANA, March 25, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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