『ハヤート』(3月31日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、イドリブ市を制圧したシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などファトフ軍を構成するジハード主義武装集団と、トルコで活動するシリア革命反体制勢力国民連立との間で、同市の統治をめぐり対立を深めていると伝えた。
『ハヤート』(3月30日付)が伝えた通り、イドリブ市を制圧したジハード主義武装集団は、ラッカ市での「失敗」を教訓とするかたちで、統治評議会を設置をめざしている。
この統治評議会は、ファトフ軍に参加した武装集団を代表する文民15人から構成され、戦闘員250人に1人の割合で代表を輩出することになっている。
そして、この原則に従い、アル=カーイダ系のヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動(完全合併したシャームの鷹旅団を含む)がそれぞれ4、9人、ダーイシュ(イスラーム国)に近いジュンド・アクサー機構が1人、シリア・ムスリム同胞団に近いシャーム軍団が1人の代表を輩出することが取り決められたという。
なお、統治評議会の発足(議席配分)は、ハズム運動、シリア革命家戦線などを放逐してきたヌスラ戦線の指導者アブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏がいかなる「穏健な反体制派」の戦闘(そしてイドリブ市制圧後の行政)への参加も拒んできたために遅れたのだという。
また複数の反体制筋によると、ファトフ軍は、イドリブ市内に戦闘員を駐留させないことについても合意、各武装集団は、弁護士、裁判官、技師、意思、専門家などを通じて同市の行政に携わり、治安行政、司法プロセスの拡充、水道、電気、食糧物資など福祉の充実などに優先的に取り組むことを決定したという。
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しかし、この決定に対抗するかたちで、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣は声明を出し、トルコのガズィアンテップ市にある本部をイドリブ市に移転する意思を表明した。
また連立メンバーでイドリブ県地元評議会代表を務めるというアドナーン・ラフムーン氏は、「(イドリブ市の)行政機関を引き継ぎ、維持運営し、民間人への福祉提供を活性化する用意がある」と発表し、ファトフ軍にイドリブ市の行政を移管するよう呼びかけた。
これに対して、サウジアラビア人説教師でジハード布教者センター代表のアブドゥッラー・ムハイスィニー氏はツイッターで「自らの血を犠牲とし…自らの土地を捨てることなどなかったシャームの民がアッラーのお許しのもとにイドリブを支配する」とコメントし、シリア革命反体制勢力国民連立暫定政府の参入に消極的な姿勢を示した。
一方、ムハイスィニー氏はクッルナー・シュラカー(3月30日付)の取材に対して、イドリブ市のキリスト教徒らに、イスラーム教への改宗は強制せず、またジズヤの支払いも求めないと述べた。
AFP, March 30, 2015、AP, March 30, 2015、ARA News, March 30, 2015、Champress, March 30, 2015、al-Hayat, March 31, 2015、Iraqi News, March 30, 2015、Kull-na Shuraka’, March 30, 2015、al-Mada Press, March 30, 2015、Naharnet, March 30, 2015、NNA, March 30, 2015、Reuters, March 30, 2015、SANA, March 30, 2015、UPI, March 30, 2015などをもとに作成。
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