アレッポ国際空港およびナイラブ航空基地の制圧をめざす反体制武装勢力と軍が激しく交戦、双方合わせて150人以上が死亡(2013年2月15日)

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国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ国際空港、ナイラブ航空基地周辺で、両空港の制圧をめざす反体制武装勢力が軍と激しく交戦した。

同監視団によると、軍は第80旅団基地の奪還のため、空爆・砲撃などを強めており、反体制武装勢力も砲撃で応戦、双方合わせて150人以上が死亡、軍の上級士官も戦死したという。

またサフィール市郊外のタッル・アラン市周辺でも、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、ダマスカス報道ネットワーク(ストリーミング放送)によると、マンビジュ市で、シャームの民のヌスラ戦線が拠点としていた3階建てのビルに対して、軍が「強力な爆発力を有する中性能ミサイル」で攻撃した。

同放送によると、このミサイルは「100%シリア製」で、これによりビルは破壊され、「テロリスト」数十人が死亡したという。

他方、SANA(2月15日付)によると、サフィール市、タッル・ハースィル村、ムスリミーヤ村、フライターン市、ブシュカーティーン市、アレッポ・イドリブ街道沿い、アイン・ジャーラ市、アズィーズィーヤ市、ハイヤーン町、マンナグ村、クワイリス市などで、反体制武装勢力を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市のカーディー・アスカル地区、カラム・マイサル地区、シャッアール地区、バーブ街道地区、旧市街、シャイフ・サイード地区などで、反体制武装勢力を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

さらに、アレッポ市マアーディー地区では、シャームの民のヌスラ戦線とタウヒード旅団が、略奪品の分配をめぐって衝突し、双方に多数の死傷者が出た。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市に対する軍の砲撃で11人が死亡した。

またワーディー・ダイフ軍事基地、ハーミディーヤ航空基地周辺でも、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(2月15日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、ハーミディーヤ市周辺などで、軍が反体制武装勢力の攻撃に応戦、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またシュグル市、カフルルーマー村、カフルハーヤー村、ラーミー村、サルミーン市・ビンニシュ市街道、サルジャ村、ハーン・サブル市、サルミーン市などで、反体制武装勢力を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区に軍が砲撃を加えた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市、ダーライヤー市などに軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(2月15日付)によると、ウタイバ村、イバーダ市、ドゥーマー市、ザマルカー町、タッル・クルディー市などで、反体制武装勢力を攻撃、イスラーム旅団、シャーム自由人大隊のメンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(2月15日付)によると、東ブワイダ市、タルビーサ市郊外、アーミリーヤ市郊外、ラスタン市郊外、ハウラ地方などで、反体制武装勢力を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月15日付)によると、ダイル・ザウル市の旧空港地区、ハウィーカ地区などで、反体制武装勢力を攻撃、ハドラー大隊メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

国内の動き(シリア政府の動き)

シリアの外務在外居住者省は国連安保理議長および事務総長に宛てて書簡を提出、そのなかで、トルコがシリアへの敵対的姿勢をエスカレートさせ、シリアの一部の反体制組織にアサド政権の危機解決政治プログラムを拒否するよう圧力をかけ、危機の平和的解決を阻止しようとしている、と抗議した。

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国内で活動する国民潮流(旧民主国民イニシアチブ)のムハンマド・サルマーン(元情報大臣)は声明を出し、政権交代が可能な民主的文民体制を樹立するための「国民大会」の開催を呼びかけ、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表にその主催を求めるとともに、すべての政治・社会勢力に参加を呼びかけた。

同声明によると、「国民大会」において、全権を有する挙国一致移行期政府樹立、軍の統合維持、国会選挙などが決定され、国際社会とアラブ世界の保証のもとに、移行期政府樹立から1年以内の決定事項の履行が義務づけられる、という。

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SANA(2月15日付)は、アレッポ県アレッポ市イザーア地区、サイフ・ダウタ地区で、テロ集団による犯罪や外国の敵対行為を非難する抗議デモが発生したと報じた。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(2月16日付)は、反体制活動家の話として、反体制武装勢力がアレッポ県ジャッラーフ軍事空港などで捕獲した熱感知ミサイル(イフラースA18)を14日のアレッポ県とイドリブ県の戦闘で投入したと報じた。

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「スワイダー県宗教関係者たち」を名のる集団(ドゥルーズ派)が声明を出し、県民に軍から離反するよう呼びかけた。クッルナー・シュラカー(2月15日付)が報じた。

諸外国の動き

アナトリア通信(2月15日付)によると、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)のヤイァダー村に、イドリブ県から発射された迫撃砲が着弾した。

迫撃砲着弾による被害はなかったが、トルコ軍が迫撃砲で応戦した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はドイツのARD(2月15日付)のインタビューに応じ、シリアの「反体制勢力はいかなる政治的オルターナティブも提示していない。反体制勢力を統一させている唯一のものは現体制だ…。彼らは体制が好きでなく、飽きているだけだ。しかし反体制勢力は2年もの間、いかなる建設的なプランも導出していない」と述べた。

AFP, February 15, 2013、Akhbar al-Sharq, February 15, 2013、al-Hayat, February 16, 2013、Kull-na Shuraka’, February 15, 2013、al-Kurdiya News,
February 15, 2013、Naharnet, February 15, 2013、Reuters, February 15, 2013、SANA,
February 15, 2013、UPI, February 15, 2013などをもとに作成。

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