イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動やシャームの民のヌスラ戦線などからなるファトフ軍作戦司令室の戦闘員約1,300人が、マストゥーマ村近郊の野営キャンプ(マストゥーマ基地)を、シリア軍、国防隊との数日にわたる戦闘の末に制圧した。
複数の反体制活動家によると、18日に野営キャンプ周辺の哨所複数カ所を制圧し、同基地の第一防衛戦を突破していたファトフ軍作戦司令室は早朝、基地に対して総攻撃を行い、制圧したという。
またスィラージュ・プレス(5月19日付)によると、ファトフ軍作戦司令室は、熱誘導式の対戦車ミサイルを使用して、基地内で戦車2輌を破壊するとともに、オートストラード・アリーハー一帯を迫撃砲で攻撃し、突入を援護したという。
シリア人権監視団によると、この戦闘でシリア軍兵士15人が死亡した(しかしファトフ軍作戦司令室は、この戦闘でシリア軍兵士120人を殺害したと発表)。
また基地に駐留していたシリア軍、国防隊は、シリア政府の支配下にある県内最後の都市アリーハー市方面に撤退、SPC(5月19日付)によると、その際、基地内の武器庫2棟を爆破したが、ファトフ軍作戦司令室は撤退中のシリア軍戦車3輌を捕獲、兵士10人を捕捉した。
一方、シリア・アラブ・テレビ(5月19日付)、SANA(5月19日付)は、野営キャンプ陥落に関して、「基地で戦ってきた軍部隊は守備強化のためアリーハー市に移動した」、「マストゥーマ基地およびその周辺に展開する我らが軍部隊は、アリーハ市一帯の拠点を強化するための防衛戦を確保した」と伝えた。
またSANAによると、クマイナース村・マストゥーマ村回廊で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
『ハヤート』(5月20日付)によると、野営キャンプは、ファトフ軍作戦司令室のイドリブ市、ジルス・シュグール市、煉瓦工場基地などの制圧を受けて撤退していたシリア軍部隊のほとんどが再展開していた基地で、カファルヤー町、フーア市、アリーハー市、アブー・ズフール航空基地、ジスル・シュグール国立病院とともにイドリブ県におけるシリア政府の最後の拠点の一つと目されていた。
こうしたなか、シリア人権監視団は、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動やシャームの民のヌスラ戦線などからなるファトフ軍作戦司令室がイドリブ市を制圧した3月28日から5月19日までの間に、シリア軍がイドリブ県で行った空爆の回数が2,053回におよんでいると発表した。
このうち1,226回が戦闘機による空爆、827回がヘリコプターによる「樽爆弾」投下で、子供99人を含む401人が死亡、2,500人以上が負傷したという。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊、バアス大隊、ヒズブッラー戦闘員、シャームの民のヌスラ戦線、アンサール・ディーン戦線と、アレッポ市カースティールー地区、ザフラー協会地区(空軍情報部一帯)、バニー・ザイド地区、ハンダラート・キャンプ一帯、カフルハムラ村一帯で交戦、シリア軍が同地一帯のほか、アレッポ市バーブ・ナイラブ地区を砲撃、空爆した。
またヌスラ戦線らが撃った迫撃砲が、アレッポ市ムーカンブー地区、ハムダーニーヤ地区、マサーキン・サビール地区などのシリア政府支配地区に着弾した。
一方、SANA(5月19日付)によると、スーラーン町、マッラーン村、ダーラト・イッザ市、アレッポ市バーブ・ハディード地区、ザフラー協会地区、アンサール地区、旧市街、ジスル・ハッジ地区で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がイスラーム軍による第39旅団基地制圧(18日)を受け、ジャウバル区を空爆する一方、またアッバースィーイーン地区に迫撃砲弾1発が着弾した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がイスラーム軍による第39旅団基地制圧(18日)を受け、ハラスター市を空爆した。
シリア軍はまた、カラムーン地方無人地帯、ザバダーニー市、タイバ村などを「樽爆弾」で空爆する一方、ザバダーニー市で反体制武装集団と交戦した。
また、クッルナー・シュラカー(5月19日付)によると、イスラーム軍は第39旅団基地に近い検問所2カ所を制圧した。
一方、SANA(5月19日付)によると、アーリヤ農場、フーシュ・ファーラ村、タッル・クルディー町、マルジュ・スルターン村南部入口、ザバダーニー市東部山岳地帯、フライタ村郊外無人地帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(5月19日付)によると、ズラーキーヤート村、ザッリーン村、アブー・ウバイダート村、ラターミナ町で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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クナイトラ県では、SANA(5月19日付)によると、マスハラ村東部、ブザーク丘東部で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
AFP, May 19, 2015、AP, May 19, 2015、ARA News, May 19, 2015、Champress, May 19, 2015、al-Hayat, May 20, 2015、Iraqi News, May 19, 2015、Kull-na Shuraka’, May 19, 2015、al-Mada Press, May 19, 2015、Naharnet, May 19, 2015、NNA, May 19, 2015、Reuters, May 19, 2015、SANA, May 19, 2015、Siraj Press , March 19, 2015、SPC, March 19, 2015、UPI, May 19, 2015などをもとに作成。
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