イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線などからなるファトフ軍が、ジスル・シュグール市南西部郊外でシリア軍、国防隊との激しい戦闘の末、同地を完全制圧し、またシリア軍兵士・国防隊隊員とその家族約250人が籠城を続けていたジスル・シュグール国立病院を陥落させた。
複数の活動家によると、ファトフ軍はジスル・シュグール国立病院に籠城していたシリア軍兵士・国防隊隊員70人以上を殺害、士官4人を含む20人を捕捉、また数十人が逃走したという(その後(5月27日)、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、ジスル・シュグール国立病院から脱出できたシリア軍兵士が90人以上に上ったが、のこる200人以上がファトフ軍との戦闘で死亡したと発表した)。
これに対して、シリア軍は早朝からジスル・シュグール病院一帯に6回以上にわたり空爆を行うとともに、約250発の迫撃砲で砲撃を加えたが、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、この攻撃は籠城する兵士らの撤退の援護を目的としたものだったと思われるという。
これに関して、SANA(5月22日付)は、ジスル・シュグール国立病院に籠城していたシリア軍守備隊が「タクフィール主義テロ集団」の包囲を解除、同地周辺に展開する部隊の援護空爆・砲撃を受け、負傷者らとともに脱出に成功したと報じた。
SANA特派員によると、シリア軍部隊は脱出に際して、病院を破壊したという。
またSANA(5月22日付)は、アサド大統領が、イドリブ県ジスル・シュグール市内にあるジスル・シュグール国立病院に対するファトフ軍の包囲を解除し、脱出に成功した守備隊のマフムード・サフバ大佐に電話をかけ、「あなたがたは自らの勇敢さをもってシリア・アラブ軍のすべての兵士のありようを表明した。あなた方は、敗北、降伏を考えることなく耐え抜き、抵抗した」との祝辞を送ったと伝えた。
しかし、スィラージュ・プレス(5月22日付)は、現地消息筋の話として、ファトフ軍が病院地下に向けてトンネルを掘削し、そのことを察知したシリア軍を敢えて脱出させ、病院から出てきた兵士を攻撃、数十人を殺害し、多数を捕捉したと報じた。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアナダーン市に「樽爆弾」2発を投下し、子供3人と女性9人の合わせて11人が死亡した。
一方、SANA(5月22日付)によると、アレッポ市バニー・ザイド地区、ザバディーヤ地区、フィルドゥース地区、アシュラフィーヤ地区、シャッアール地区、タッラト・タクリース地区、アーミリーヤ地区、サラーフッディーン地区、マンスーラ村、カフルハムラ村、アナダーン市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市内でシリア軍とジハード主義武装集団が交戦し、戦闘員4人が死亡、またダーイル町ではシリア軍の空爆で2人が、イズラア市では反体制武装集団の砲撃で6人が死亡した。
一方、SANA(5月22日付)によると、マスミヤ、ダルアー市内各所で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、アッシリア人権監視団などによると、カルヤタイン市の修道院のジャーク(ヤアクーブ)・ムラード神父(マール・ムーサー・ハバシー修道院長兼マール・イルヤーン修道院長)が21日、武装集団に拉致されたと伝えた。
一方、SANA(5月22日付)によると、西サラーム村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、SANA(5月22日付)によると、ドゥーマー市南部農場地帯、ハラスター市、アイン・タルマー村、アルバイン市、ダイル・サルマーン町郊外、ハーン・シャイフーン・キャンプ一帯、フライタ村無人地帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、イスラーム旅団、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、SANA(5月22日付)によると、ジャウバル区で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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クナイトラ県では、SANA(5月22日付)によると、マスハラ丘、西サムダーニーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
AFP, May 22, 2015、AP, May 22, 2015、ARA News, May 22, 2015、Champress, May 22, 2015、al-Hayat, May 23, 2015、May 27, 2015、Iraqi News, May 22, 2015、Kull-na Shuraka’, May 22, 2015、al-Mada Press, May 22, 2015、Naharnet, May 22, 2015、NNA, May 22, 2015、Reuters, May 22, 2015、SANA, May 22, 2015、Siraj Press, May 22, 2015、UPI, May 22, 2015などをもとに作成。
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