ダマスカス郊外県では、SANA(6月5日付)によると、シリア軍が、レバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)とともにフライタ村無人地帯のサッラージャ高地で「タクフィール主義テロ組織」を掃討、同地を完全制圧した。
またレバノンのレジスタンスは、アルサール市無人地帯のワーディー・ハイル東部に位置するシュウバト・カルア山を制圧した。
これに関して、シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、カラムーン地方のシリア・レバノン国境の山岳丘陵地帯から、シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)を掃討し、同地全土を完全制圧したと発表した。
同声明によると、カラムーン地方の制圧作戦は2段階にわたって行われ、2014年までに実施された第1段階では、カーラ市、ダイル・アティーヤ市、ナブク市、ヤブルート市およびその周辺、マアルーラー市、サルハ市、ジュッバ市、アッサール・ワルド町、フライタ村など都市部を中心に奪還、治安と安定の回復が行われた。
また第2段階は、国防隊およびレバノンのレジスタンスの支援のもと、2015年に入ってから実施され、ラアス・マアッラ無人地帯、ムーサー丘、シュマイス・ヒサーン山、カルナト・タウィール、フライタ村無人地帯、そのほか多数の丘陵が奪還されたという。
しかし、シリア人権監視団によると、レバノン国境に近いカラムーン地方無人地帯で3日、シャームの民のヌスラ戦線とシリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が交戦、ヒズブッラー戦闘員8人が死亡したという。
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一方、NNA(6月5日付)によると、レバノン軍がベカーア県バアルベック郡アルサール村、ラアス・バアルベック村一帯のシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の拠点に対して激しい砲撃を行った。
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また、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、マフディー・ボーイ・スカウト???主催の集会参加者に向けてビデオ演説を行い、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方における戦果が、レバノン軍の「負担を和らげ、国家と国民が軍に対して求めてきた措置の実施を促すことになろう」と述べた。
ナスルッラー書記長は、タンマーム・サラーム内閣が4日に、アルサール地方への武装集団の攻撃に備えるための部隊の展開に必要な措置の実施をレバノン軍に指示したことを受け、「内閣の決定により…、アルサールの問題は、政治家たちの問題ではなくなり、軍の問題となった。レバノン国民は軍司令部に国務を果たすよう欲している」と述べた。
またヒズブッラー戦闘員の同地での活動に関して、「我々がアルサールに入るなどと誰も言っていない。この村はタクフィール主義者に占領されている。同村の奪還の責務は国家と軍が負っている」と強調した。
「フライタ村無人地帯(シリアのダマスカス郊外県カラムーン地方)で大きな進展があった。この成果により、レジスタンスとシリア・アラブ軍の兄弟たちは、カラムーン山地一帯郊外でも、アルサール村郊外でもthe upper hand」。
AFP, June 5, 2015、AP, June 5, 2015、ARA News, June 5, 2015、Champress, June 5, 2015、al-Hayat, June 6, 2015、Iraqi News, June 5, 2015、Kull-na Shuraka’, June 5, 2015、al-Mada Press, June 5, 2015、Naharnet, June 5, 2015、NNA, June 5, 2015、Reuters, June 5, 2015、SANA, June 5, 2015、UPI, June 5, 2015などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
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