シリア外務省がブラーヒーミー共同特別代表による「任務の逸脱」を非難、シリア革命反体制勢力国民連立がロンドンで非公式の国際会合を開きアサド政権崩壊後の移行期に関するヴィジョンを提示(2013年1月10日)

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国内の動き(シリア政府の動き)

シリアの外務在外居住者省は声明を出し、BBC(1月9日付)でのアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の発言に関して、同代表の任務の成功を希望するとしつつ、「何人もシリア国民の意思を代弁することはできない」と述べ、発言がシリア人による危機解決を支援するというその任務から逸脱していると非難した。

同声明は、「シリアは、任務の本質から逸脱し、シリアとシリア国民に対して陰謀を企て、シリアの危機解決に向けた政治的プログラムを客観的に読もうとしない周知の勢力へと著しく偏った姿勢を示したアフダル・ブラーヒーミーの発言に大きく驚いている」として遺憾の意を示している。

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シリアの外務在外居住者省は、国連安保理議長と事務総長宛てに書簡を提出し、そのなかで「アレッポ市の工場約1,000カ所が盗難に遭い、製品などがトルコ政府の了解のもとにトルコへと運ばれている」と批判、「トルコのような国がテロを支援、シリアの財産を略奪していることに…安保は責任をもって対処する」ことを求めた。

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『ハヤート』(1月11日付)は、ダマスカス県を含むシリア、さらには東アラブ地域一帯を襲った大雪のなか、夜間の外出を控えていたダマスカス県住民の多くが夜中まで外出し、雪を眺め、一部では「笑顔が戻った」と報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ空軍基地に対して攻勢をかけるシャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人大隊に対して軍が空爆を行った。

同監視団によると、空港内部、とりわけ本棟と武器庫周辺で軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、反体制武装勢力は武器庫を制圧し、士官1人を含む13人と親体制の民兵11人を捕捉した、という。

一方、SANA(1月10日付)によると、タフタナーズ空軍基地への侵入を試みた反体制武装勢力を軍が撃退した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のハラブ・ジャディーダ地区にある科学研究施設で、12人の遺体が発見された。

一方、SANA(1月10日付)によると、アイン・ダクナ村、カフルハーフィル市、アルカミーヤ村、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市のバーブ街道沿い、マサーキン・ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、カラム・マイサル地区などでも、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シーン町とムタアーリド村間で、16人の遺体が発見され、ヒムス市の軍事病院に搬送された。

同監視団によると、遺体が発見された一帯は、誘拐・拉致が横行している。

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ハマー県では、SANA(1月10日付)によると、タイバト・イマーム市で軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、アジト・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月10日付)によると、フジャイル市、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、ヤブルード市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、装備・アジトを破壊した。

一方、オリエント・ニュース(1月10日付)は、ダーライヤー市での戦闘に参加していた共和国護衛隊の士官3人が遺体で発見された、と報じた。

士官3人(中佐、中尉、少尉)はいずれもラタキア県カルダーハ市出身だという。

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ダマスカス県では、SANA(1月10日付)によると、ガッサーニー地区で、「テロリスト」が車に仕掛けようとしていた爆弾が誤爆、「テロリスト」1人が死亡した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月10日付)が、カーミシュリー市でウスター地区で爆発が発生した、と報じた。同地区はキリスト教徒が多く住む地区だという。

反体制勢力の動き

地元調整諸委員会のリーマー・フライファーン代表は、フェイスブック(1月10日付)で声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーシップを凍結する、と発表した。

同連立がシリア国内(解放区)に活動拠点を移転できないこと、シリア人避難民の問題に充分対処できないこと、などへの「無力感」が理由だという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、英国外務省の招聘のもと、1月9、10日にロンドンで非公式の国際会合を開き、アサド政権崩壊後の移行期に関するヴィジョン案を示した。

連立は会合閉幕後に声明を出し、そのなかで、このビジョン案が「国家機関が活動を継続するようなかたちでの体系的な転換に力点」を置いており、軍の基地への即時撤退、民間人の武装解除、国民統合への重点的努力を復興に向けることを骨子としていることを明らかにした。

また国際社会に対しては、体制崩壊後の移行期における、政治、経済、軍事、技術支援を要請する一方、マラケシュでのシリアの友連絡グループ会合での議論に沿って、シリア革命反体制勢力国民連立への統一的支援を行うよう求めた。

さらに「シリアの友連絡グループ」参加各国に対して、アサド政権が存続したかたちでの政治的解決はないと訴え、アラブ連盟と国連の代表権をシリア革命反体制勢力国民連立に与えることで、シリア政府の正統性を奪うよう求めた。

そのうえで「現地で行われている軍事活動(反体制武装闘争)と切り離されたかたちでの政治的解決はない」としたうえで、「自由シリア軍参謀委員会を通じて軍事活動の統合を行ったうえで暫定政府を結成する」との方針を打ち出した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアブドゥルアハド・アスティーフは、クッルナー・シュラカー(1月10日付)に対して、ヨルダンのザアタリー避難民キャンプに緊急人道支援物資の第1弾を送付した、と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者はアナトリア通信(1月10日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立が半月以内に開催予定の会合で移行期政府の協議について審議する、と述べた。

バヤーヌーニーによると、連立内では、リヤード・ヒジャーブ前首相の暫定首相への立候補に異議は出ていないという。

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シリア国民評議会は声明を出し、カタールとトルコの仲介のもと、シリア政府と反体制武装勢力との間で行われたイラン人巡礼者48人と逮捕者2130人の「交換」に関して、「シリア政府がテヘランの為政者にどれほど従属しているか」を明らかにしたとの見解を示した。

しかしこの論理に従うと、反体制武装勢力のトルコとカタールに「従属」していることになる。

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シリア国民評議会は、シリア革命反体制勢力国民連立に対して、「国際社会による承認と活動支援のもと暫定政府を発足し…、解放区での執政を行う」よう呼びかけた。

この呼びかけは、「体制転換・移行期開始計画」と題された提言のなかで行われた。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、ヨルダンによるシリア人避難民への人道支援を高く評価、国王アブドゥッラー2世と国際社会に対して、さらなる支援を呼びかけた。

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ロイター通信(1月10日付)は、離反したムハーバラートの士官(ハーッジーを自称)の話として、反体制勢力が「革命を保護するため」に、諜報機関を創設し、軍関連の施設などに関する諜報活動を行っている、と報じた。

同報道によると、諜報機関の創設が公けに発表されたのは2012年11月で、シリア革命反体制勢力国民連立や自由シリア軍などの統制を受けず、「独自」の活動を展開しており、その工作員は離反した軍・ムハーバラートの士官・兵士・要員からなっている、という。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会の大会がイラクのエルビルで開かれ、クルド民族主義政党各党の代表128人を含む300人以上が出席した。

クッルナー・シュラカー(1月10日付)によると、クルド青年運動、革命青年運動、クルド青年調整連合が、総会出席者に占める若者(15%)、女性(10%)、無所属(35%)、諸政党(45%)の割合や、諸政党による大会主導に異議を唱えボイコットした。

一方、民主統一党に近い「西クルディスタン青年調整」も、大会に参加しているシリア・クルド国民評議会が参加組織全体を代表しておらず、クルド民主政治連合に限定されている、と疑義を呈した。

また自由女性機構は、大会における女性の代表者が少ないと異議を唱えるとともに、「ヌスラ戦線が入り込んだ運動は私たちを代表していない、シリア・クルド国民評議会は私たちを代表していない、母としての私の権利を忘れるな」とのスローガンを掲げて抗議した。

なおシリア・クルド・ムスタクバル潮流は大会には参加しなかったが、大会の成功を願うとのメッセージを送った。

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クルディーヤ・ニュース(1月10日付)とクッルナー・シュラカー(1月11日付)は、ハサカ県カーミシュリー市内のシリア・クルド進歩民主党施設内で、イラクのエルビル市での会合とは別に、シリア・クルド国民評議会の大会が開催され、クルド民族主義政党、無所属、青年、女性の代表211人が参加した、と報じた。

しかし、クルド青年調整連合、クルド青年運動、革命声明運動は大会参加をボイコットし、自由女性機構のメンバーとともに、会場前で抗議のデモを行った。

さらにクルド青年調整連合は声明を出し、シリア・クルド国民評議会からの脱退を発表した。

諸外国の動き

BBC(1月10日付)は、英国警察がロンドン東部およびロンドン・ガトウィック空港で、英国在住者(非シリア人)4人を、シリアでのテロ活動を準備していたとの容疑で逮捕したと報じた。

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AFP(1月10日付)は、NATO高官の話として、シリアで1月2、3、9日に短距離弾道ミサイルが発射されたことが確認されたと報じた。

同高官によると、「(2012年)12月初め以降、少なくとも15発の弾道ミサイルが発射され…。すべてシリア領内から発射され、同国北部に着弾した」。犠牲者が出たかどうかは不明だという。

西側諸国によるこうした発言は、シリアの反体制武装勢力が劣勢を強いられる度に行われている。

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ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣はRT(1月10日付)のインタビューに応じ、そのなかで2012年6月のジュネーブ合意の文言や原則のみが「シリアの政治的正常化の基礎である」としたうえで、「この国の危機に対処するにあたってシリアでの特定の利権を根拠とする」べきでないと述べた。

また1月11日のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表、ウィリアム・バーンズ米国務副長官との三者会談では、「シリアの主権、領土の統一性に觝触せず、またシリア国民の政府を選ぶ権利に介入することなく、ジュネーブ合意の真の活性化」をめざすとの立場を示した。

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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェビィッチ報道官は、プレス向け声明で、「ロシアの立場は変わらない。我々は…ジュネーブ合意での議論をシリアの紛争停止に資する実質的措置に変えることに関心がある」と述べた。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談し、シリア情勢について協議した。

会談で、サーレヒー外務大臣は、マフムード・アフマディーネジャード大統領の親書を手渡す一方、アムル外務大臣は2月6、7日にカイロで開催予定のイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談へのアフマディーネジャード大統領の出席を改めて求めた。

会談後の共同記者会見で、サーレヒー外務大臣は、シリアの危機解消には、「忍耐と注意が必要で、我々は危機解決案に対してバランス対応を行っている」としたうえで、域内各国の協議を通じて、外国の介入を回避し、シリア人どうしによる問題解決をめざすべきだと述べた。

また、イラン、サウジアラビア、カタール、エジプトからなる四カ国連絡グループによるシリア危機への対処に関しては「平和的解決をめざす関係当事国が集まった最善のイニシアチブの一つ」と高く評価し、そのことが「外国の介入を抑止し、解決に至ることができるだろう…と満足している」と述べた。

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フランス国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首は、独立系新聞のインタビューに応じ、そのなかでシリア情勢などに関して、「過激なイスラーム主義者が、社会革命だったはずのこれらの革命をハイジャックし、アラブの春のあとにイスラームの冬が来ると考えている」と述べた。

そのうえで「我々は世界のすべての人民の自由、主権、アイデンティティを擁護する」と主張し、シリアへの「外国の干渉」を拒否した。

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国境なき医師団は声明を出し、アサド政権が農村への「無差別砲撃」を続けていると非難、「現地で依然活動を続けている医療スタッフが、住民の協力によって運営している「地下病院継続の補償が危ぶまれる状況下にある」と警鐘をならした。

AFP, January 10, 2013、Akhbar al-Sharq, January 10, 2013, January 11, 2013、Facebook, January 10, 2013、al-Hayat, January 11, 2013、Kull-na Shuraka’, January 10, 2013, January 11, 2013,
January 13, 2013、al-Kurdiya News, January 10, 2013、Naharnet, January 10,
2013、Orient News, January 10, 2012、Reuters, January 10, 2013、SANA, January
10, 2013などをもとに作成。

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