ロシアのラヴロフ外相「ダーイシュ(イスラーム国)撲滅を効果的に進めるためにはダブル・スタンダードを止め、アサド政権を「テロとの戦い」におけるパートナーとみなす必要がある」(2015年8月9日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ロシア国営テレビ「チャンネル1」のインタビューに応じ、そのなかでシリア情勢について触れ、欧米諸国が「ダーイシュ(イスラーム国)撲滅を効果的に進めるためにはダブル・スタンダードを止め、アサド政権を「テロとの戦い」におけるパートナーとみなす必要がある」と述べた。

ラブロフ外務大臣は「我々はジョン・ケリー米国務長官と、ヴラジミール・プーチン大統領が示したダーイシュとの戦いに向けた統一戦線の必要について検討した…。ダーイシュに邪悪な考え方を実現させようように皆がしたいのであれば、シリア情勢以外の情勢に関しても、我々はテロリストを良いテロリストと悪いテロリストに区別することを止めるべき…と提言している」と述べた。

また米国主導の有志連合が、イラクへの空爆時とは異なり、シリアでの空爆を開始する際にシリア政府の合意を得なかったことについては、「もしそうしていれば、有志連合は(シリア政府から)合意を得られただろう。また安保理は、有志連合の作戦に正当性を付与することもでき…、空爆に関するいかなる曖昧さもなかったはずだ」と付言した。

ラブロフ外相はさらに、米軍がシリアの「穏健な反体制派」を軍事教練していることに関して、「米国は、もし政府軍がこの戦闘員(米軍の教練を受けた「穏健な反体制派」)と軍事的に衝突し、その活動が妨害された場合、政府軍を攻撃すると述べた。私は、テーブルに座って、シリア軍、こうした戦闘員、そしてクルド人が参加して、すべてを検討することで合意した方が簡単なのではないかと問いかけた…。米国は自分たちが教練した戦闘員をシリア軍が攻撃しなければ、シリア軍の拠点を攻撃しないと言う。しかし、率直に言えば、間違えるのは非常に簡単だ…。米軍が「地上」にいない状況で、アフガニスタンで起こったような間違いが起こるのは、非常に簡単なことだと思う。私はケリー国務長官に、取り返しのつかないミスが、後に誰もコントロールできないほどのレベルにまで状況を「爆発」させる恐れがあると率直に警告した」と語った。

一方、シリア国内での化学兵器使用疑惑に関しては、2013年のシリアの化学兵器禁止条約への加盟を受けた化学兵器禁止機関(OPCW)の監視下での化学兵器関連物質・施設の廃棄により「問題は成功裏に解決した」としたうえで、塩素ガスなどの使用疑惑に絡め「シリア国内に申告されていない化学兵器があるといった言説がしばしばある。しかしこの問題は調査中であり、根拠のない嫌疑をかけるべきではない…。シリアが緊密に協力を継続すると確信できるあらゆる理由がある」と強調した。

SANA(8月9日付)、『ハヤート』(8月10日付)などが伝えた。

AFP, August 9, 2015、AP, August 9, 2015、ARA News, August 9, 2015、Champress, August 9, 2015、al-Hayat, August 10, 2015、Iraqi News, August 9, 2015、Kull-na Shuraka’, August 9, 2015、al-Mada Press, August 9, 2015、Naharnet, August 9, 2015、NNA, August 9, 2015、Reuters, August 9, 2015、SANA, August 9, 2015、UPI, August 9, 2015などをもとに作成。

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