サウジアラビアのジュバイル外相がラヴロフ露外相と会談「アサド、イランはシリア問題の一部をなしており、解決策の一部とはなり得ない」(2015年8月11日)

サウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣はロシアを訪問し、モスクワでセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談、シリア情勢など国際情勢・地域情勢、二国間関係について意見を交わした。

会談後の記者会見で、ラブロフ外務大臣は、シリア情勢に関して、「テロとの戦い」において協調を行う必要があるとの認識をジュバイル外務大臣と共有しており、ダーイシュ(イスラーム国)殲滅に向けた域内同盟の結成を呼びかけるヴラジミール・プーチン大統領のイニシアチブに関して一定の成果がもたらされたとしつつ、「アサド大統領の進退」などをめぐって「いくつかの相違点」が残されたことを認めた。

一方、ジュバイル外務大臣は、「シリアの未来にアサドの居場所はない」とするサウジアラビア政府の対シリア政策の基本姿勢を改めて表明、アサド大統領が「問題の一部をなしており、解決策の一部をなさない」と主張した。

また「バッシャール・アサドの体制、そしてバッシャール・アサド自身は終わったと考えている。政治プロセスを通じて去るか、軍事プロセスにより終わることになる。我々は、国際社会が政治プロセスを通じてバッシャール・アサドを退任させるための手段を見出すことができると望んでいる」と述べた。

プーチン大統領が提唱するダーイシュに対する域内同盟に関して、ジュバイル外務大臣は「シリア政府がその一角をなすテロと戦うためのいかなる同盟にも参加しない」と述べ、シリア軍がダーイシュの拠点拡大強化を支援していると断じた。

その一方で、ジュネーブ合意(2012年)が設置を求めている移行期統治機関については、「テロとの戦い、シリア人保護において役割を果たし得る」との見方を示した。

『ハヤート』(8月12日付)が伝えた。

ARA News(8月11日付)によると、ジュバイル外務大臣はまた、イランに関しても「イランはシリアにおける問題の一部分をなしており、危機解決を何ら保障するものでない」としたうえで、「イランは、ヒズブッラー戦闘員などシリア領内のすべての民兵を撤退させる必要がある」と非難した。

al-Hayat, August 12, 2015

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シリアの外務在外居住者省公式筋は、SANA(8月11日付)に対し、ロシアを訪問中のサウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣の姿勢を厳しく非難した。

同公式筋は、「中世から逃げ延び、立憲制に依拠せず、シリア、イエメン両国民の血でその手を染めているサウジアラビア政府は、正統性や合法性について語る資格がもっともない」としたうえで、ダーイシュ(イスラーム国)とサウジアラビア政府は、イスラーム教の名の下に殺戮を行うという思考・行動様式において共通していると指弾した。

AFP, August 11, 2015、AP, August 11, 2015、ARA News, August 11, 2015、Champress, August 11, 2015、al-Hayat, August 12, 2015、Iraqi News, August 11, 2015、Kull-na Shuraka’, August 11, 2015、al-Mada Press, August 11, 2015、Naharnet, August 11, 2015、NNA, August 11, 2015、Reuters, August 11, 2015、SANA, August 11, 2015、UPI, August 11, 2015などをもとに作成。

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