ナハールネット(8月22日付)などによると、レバノンの首都ベイルート県の中心部に位置するリヤード・スルフ広場一帯で、県内のゴミ処理問題への政府の対応に抗議するデモが行われ、数千人が参加した。
デモ参加者は、国民議会議事堂があるナジュマ広場に向かって行進を始めたが、警官・治安部隊が催涙弾、実弾、放水車を投入してデモ参加者の強制排除を試み、活動家複数を拘束した。
これにより、デモ参加者複数が負傷する一方、内務治安軍総局によると警官35人も負傷した。
デモ参加者は、「国民は体制打倒を望む」、「革命」といった言葉を連呼し、タンマーム・サラーム内閣の総辞職や、2013年6月に任期終了後も選挙が実施されずに任期が延長され続けている国民議会(第18期)の議員の辞職を訴えた。
また、一部の活動家は、レバノンの主要な政治家がゴミ袋に詰められ、「リサイクルすべきでない」と書かれたプラカードを掲げて、抗議の意思を表明した。
治安部隊によるデモの強制排除に関して、エリヤース・ブー・サアブ教育・高等教育大臣(自由国民潮流)はLBCI(8月22日付)に対して、「現内閣の一員であることを誇りに思えない」と述べ、デモ弾圧の責任がヌハード・マシュヌーク内務地方自治大臣(ムスタクバル潮流)にあると批判した。
同じく自由国民潮流メンバーのナビール・サブア・ニコラー国民議会議員は、デモ参加者の強制排除の責任者が処罰されるまで、議員としての活動を中止すると表明した。
しかし、レバノン国外に滞在中のマシュヌーク内務地方自治大臣は、自らの批判に対して、国外にいるために、警察に発表命令を行っていない、と反論した。
またワーイル・アブー・ファーウール公共保健大臣(進歩社会主義党)は、デモの強制排除を非難、「力を行使する決定を下した者は処罰されるべきだ」と述べた。
さらに、進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、マシュヌーク内務地方自治大臣の発言に関して「嘘は充分だ」と批判、「マシュヌーク氏に責任があり、彼は去らねばならない」と述べた。
一方、レバノン・カターイブ党のサーミー・ジュマイイル党首も「デモにこのようなかたちで対処することは受け入れられない」と非難したうえで、「あらゆる選択肢をとり得る」と述べ、アーラーン・ハキーム経済通商大臣、ラムズィー・ジュライジュ情報大臣、サジュアーン・カッズィー労働大臣の3名(いずれもカターイブ党員)の辞職の可能性を示唆した。
なお、ベイルート県のゴミ問題は、7月17日にベイルート県およびレバノン山地県の主要地域の清掃事業を委託されていたスクリーン社(ハリーリー家に近いとされる)と政府との契約が満了したのを受け、ナーイマ市(レバノン山地県シューフ郡)のゴミ処理所が閉鎖したことで深刻化し、1ヶ月以上にわたり市内からゴミが収集されない状況が続いている。
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AFP, August 22, 2015、AP, August 22, 2015、ARA News, August 22, 2015、Champress, August 22, 2015、al-Hayat, August 23, 2015、Iraqi News, August 22, 2015、Kull-na Shuraka’, August 22, 2015、LBCI, August 22, 2015、al-Mada Press, August 22, 2015、Naharnet, August 22, 2015、NNA, August 22, 2015、Reuters, August 22, 2015、SANA, August 22, 2015、UPI, August 22, 2015などをもとに作成。
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