シリアの友連絡グループ会合がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認するなか、自由シリア軍アレッポ軍事評議会議長は米国によるヌスラ戦線のテロ組織指定に遺憾の意を示す(2012年12月12日)

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シリアの友連絡グループ会合

モロッコのマラケシュでシリアの友連絡グループ会合(第4回閣僚級会合)が開催され、130カ国が参加、議長総括でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」と承認した。

al-Hayat, December 13, 2012

閉幕時に発表された声明で、「参加者はシリア国民連立をシリア国民の正統な代表として承認する」と明言された。

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会合では、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣が、シリア革命反体制勢力国民連立が統一指導部を結成することが「希望の光」になるとしたうえで、1億ドルを反体制勢力に支援すると発表した。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、アサド政権に関して「すでに終わっている」としたうえで、国際社会に対して停戦を科し、政権移譲を保障するよう求めた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、「現在のキーポイントは(シリア革命反体制勢力国民連立が)さらなる支援を得ることだ」としつつ、「我々の支援は武器以外の人道支援に集中するだろう」と述べた。

そのうえでアサド政権に退陣を呼びかけた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、会合前に記者団に対して、「現時点で、我々は行動しないことを決めた」と述べ、反体制勢力への武器支援を行わない意思を示した。

また、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定に関しては、「ジハード主義者がこのメカニズム(シリアへの将来の武器禁輸緩和措置)に加わる余地はない。これに関して、ヌスラ戦線がテロ組織に指定された今、さらなる議論を行う必要がある」と述べた。

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米国のウィリアム・バーンズ国務副長官は、4000万ドルの支援をシリア国民に対して行うと発表した。

ヒラリー・クリントン米国務長官は体調不良により会合を欠席した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、アラウィー派に対してアサド政権に対する市民的不服従を呼びかけた。

また、イランとヒズブッラーに対して、アサド政権への支持を止めるよう求めた。

一方、オバマ米大統領によるバラク・オバマ米大統領がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表だと考えることに決めた」と発言したことに謝意を示した。

しかし、ハティーブ議長は、シリアの友連絡グループ会合で、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定を再考するよう求め、シリア国内の「テロ」を支持する姿勢を示した。

ハティーブ議長は「一部の政党と、思想、政治的・イデオロギー的ビジョンの違いがあるが、反体制武装勢力の武装はシリアの体制を打倒することが目的であることは疑う余地がない」と述べた。

そのうえで「体制と戦う組織の一つをテロ組織とみなす決定は再検討の必要があり…、革命家の銃はすべて犯罪を犯す体制を打倒することを目的としている」と強調した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍アレッポ軍事評議会議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はAFP(12月12日付)に対して、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定に遺憾の意を示した。

アカイディー大佐は「この決定は残念だ。ヌスラ戦線は、非難されるべき何らの違法行為も、我々とともに戦う外国および外国勢力には行っていない」と述べ、自由シリア軍が「外国勢力」に依存している事実を明らかにした。

また「(米国は)シリア政府高官をテロ組織のリストに加えるべきだ」と付言した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定を非難した。

声明で、シリア・ムスリム同胞団は、「一部の国がシリア国内で活動する革命勢力をテロ組織のカテゴリーに含めた暴挙を、性急で、誤った、非難されるべき措置だとみなす…。自由と人間の尊厳をめざす計画を支援することに矛盾している」と述べた。

また「テロ非難は国際社会の公式なコンセンサスがなされるべき」と述べ、米国の単独行動を非難した。

しかし、国連の承認を得ていないシリア革命反体制勢力国民連立が欧米諸国によって「シリア国民の正統な代表」として承認されることには何らの疑義も呈さなかった。

国内の暴力

ダマスカス県では、カフルスーサ区の内務省施設前で爆弾が連続して爆発し、民間人と内務省職員5人が死亡、23人が負傷した。

SANA, December 12, 2012

SANA, December 12, 2012

SANA, December 12, 2012

内務省が発表した声明によると、爆発は午後5時半頃に3回起き、最初の2回は時限爆弾、3回目は約200キロの爆発物が仕掛けられた車の爆発によるものだったという。

SANA(12月12日付)が報じた。

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同じくダマスカス県では、SANA(12月12日付)によると、マッザ86地区で、反体制武装勢力がセルヴィスに仕掛けた爆弾が爆発し、子供1人と女性2人の合わせて3人が死亡、8人が負傷した。

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同じくダマスカス県では、SANA(12月12日付)によると、カナワート区の裁判所裏で2大の車に仕掛けられた爆弾が連続して爆発し、1人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月12日付)によると、ジャルマーナー市内で、即席爆弾2発が連続して爆発し、市民1人が死亡、4人が負傷した。SANA(12月12日付)が報じた。

またダーライヤー市、アクラバー村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊、爆発物などを押収した。

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アレッポ県では、SANA(12月12日付)によると、軍がハンダラート・キャンプ、フライターン市、カブターン・ジャバル村、カフルダーイル村、サフィール市、タッル・ラッハール村、ダーラ・イッザ市、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、マサーキン・ハナーヌー地区、旧市街、ライラムーン地区などで反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷し、装備を破壊した。

またアレッポ市、ニール通りおよびカルアジー病院・スーク・マハッリー交差点を反体制武装勢力が迫撃砲で攻撃し、子供数名を含む市民9人が死亡、多数が負傷した。この攻撃を受け、治安部隊が展開し、武装勢力と交戦、追撃したという。

SANA(12月12日付)は、軍が市民の往来を妨害していた反体制武装勢力を殲滅したことで、アレッポ国際空港への高速道路が「通常通りの運用」を回復した、と報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団が、11日晩にアクラブ町でアラウィー派住民が襲撃されたと発表した。

同監視団によると、「もっとも可能性が高いシナリオは、反体制武装勢力がアクラブ町に居住するアラウィー派の複数の家族に退去を求め、スンナ派の宗教関係者と退役軍人からなる代表がアラウィー派住民に退去するよう説得しに行った」のだという。

退去の理由は定かでない。

しかし交渉が行われているさなか、反体制武装勢力とアラウィー派住民が住む住居にいた武装集団が交戦、複数回の爆発が起き、9人が死亡、百人以上が負傷した、という。

犠牲者の内訳は、アラウィー派6人、反体制武装勢力戦闘員2人、スンナ派宗教関係者1人。

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ヒムス県では、SANA(12月12日付)によると、ラスタン市、タルビーサ市、タッルドゥー市、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(12月12日付)によると、サルジャ村、ハーン・スブル村、サラーキブ市などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺害した。

またジスル・シュグール市郊外で軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃、ハーミディーヤ市、マアッラト・ヌウマーン市、アリーハー市で反体制武装勢力の追撃を行った。

レバノンの動き

サアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「アサドは人道的・政治的倫理を欠いた獣だ」と罵倒、「暗殺やテロの計画に参加したかどでレバノンの法廷に出廷することなるだろう」と述べた。

しかしハリーリー前首相は2008年、父であるラフィーク・ハリーリー元首相暗殺にシリアが関与したとの主張を取り下げていた。

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シリアのムハンマド・マルワーン・ルージー・ダマスカス第一検事長は、サアド・ハリーリー前首相、ウカーブ・サクル国民議会議員への逮捕状発行に関して、両名の身柄がシリア当局に引き渡されなければ、「国際法違反」だと述べた。SANA(12月12日付)が報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、バラク・オバマ米大統領がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表だと考えることに決めた」と発言したことに関して、「非常に驚いた…。米国がこの連立を武装化することでの勝利に賭けることを決めた、と我々は結論するに至っている」と非難した。

ラブロフ外務大臣はまた、オバマ米大統領の発言がジュネーブ会議での合意に反していると付言した。

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ギリシャ外務省は声明を出し、アテネのシリア大使館に対して、シリア人外交官2人の退去を要請したと発表した。

同要請は11日に行われたという。

AFP, December 12, 2012、Akhbar al-Sharq, December 12, 2012, December 13, 2012、al-Hayat, December 13, 2012、Kull-na Shuraka’, December 12, 2012、al-Kurdiya News,
December 12, 2012、Naharnet, December 12, 2012、Reuters, December 12, 2012、SANA,
December 12, 2012などをもとに作成。

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