シリア革命反体制勢力国民連立のハティーブ議長がサウジアラビアの支持を取りつける、NATOが「トルコ国民とその領土を防衛し、国境一帯での危機激化の軽減に寄与すべく」同地帯にパトリオット・ミサイルの配備を決定(2012年12月4日)

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国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア・アラブ・テレビ(12月4日付)などによると、ワーフィディーンにある学校に、反体制武装勢力の迫撃砲が着弾し、生徒9人、女性教師1人を含む29人が死亡、多数が負傷した。

ワーフィディーンはイスラエルに占領されたゴラン高原出身のシリア人避難民のために作られたキャンプで、25000人の避難民が暮らしている。

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同じく、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がダマスカス国際空港街道の軍検問所を襲撃、両者が激しく交戦した。

またズィヤービーヤ町、バイト・サフム市、アクラバー村、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市周辺に、軍が砲撃を加えた。

一方、『サウラ』(12月5日付)によると、ズィヤービーヤ町で、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またダーライヤー市、アクラバー村、バイト・サフム市、フジャイラ村、ドゥーマー市などで軍がシャームの民のヌスラ戦線やイスラーム旅団を追撃し、多数の戦闘員を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線がダイル・ザウル市とラッカ市を結ぶ街道に位置するタバンニー村を軍との戦闘の末に制圧した。

この戦闘で、兵士11人、戦闘員4人が死亡した。

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アレッポ県では、『サウラ』(12月5日付)によると、ダーラ・イッザ市、マクラビース村、ハンダラート・キャンプ、カフルナーハー村、カフルハムラ村、アレッポ市ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市南部のアレッポ中央刑務所を襲撃しようとした反体制武装勢力の戦闘員12人を殺害した。

さらにアレッポ市内のブスターン・バーシャー地区でも反体制武装勢力数十人を殲滅した。

このほか、アレッポ市でマフムード・ビービー民事裁判官とサーミル・キヤーリー技師が反体制武装勢力によって暗殺された。

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ハマー県では、『サウラ』(12月5日付)によると、ムハルダ市・スカイラビーヤ市間の街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力1人を殺害した。

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ヒムス県では、『サウラ』(12月5日付)によると、クサイル市郊外のアーティフィーヤ村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害した。

また、反体制武装勢力がハワーシュ町、ナースィル村を砲撃し、市民3人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線をはじめとする反体制武装勢力がワーディー・ダイイフ基地周辺で軍と激しく交戦した。

一方、『サウラ』(12月5日付)によると、アイン・シーブ村、サルジャ村、サラーキブ市、ビンニシュ市、マアッラト・ヌウマーン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、数十人の戦闘員を殺害した。

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ダマスカス県では、『サウラ』(12月5日付)によると、『ティシュリーン』紙記者のナージー・アスアドがタダームン区の自宅前で反体制武装勢力に射殺された。

国内の動き

AKI(12月4日付)などは、ハサカ県ラアス・アイン市などでの民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の交戦を受け、同県のキリスト教徒たちが戦闘停止とジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東)の「中立化」を望んでいる、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長はサウジアラビアを訪問し、サウード・ファイサル外務大臣と会談した。

Kull-na Shuraka’, December 4, 2012

サウジ国営通信によると、会談で、ファイサル外務大臣は、連立の結成を「重要で前向きなステップ」と高く評価した。

ハティーブ議長のサウジ訪問には、リヤード・サイフ副議長、スハイル・アタースィー副議長、アフマド・アースィー・ジャルバ、ナジーブ・ガドバーンらが同行した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、国際社会の一部でイエメン・シナリオに基づく事態の収拾が図られているとの一部情報に関して、こうした問題解決を支持しないとの声明を発表した。

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『ガーディアン』(12月4日付)は、信頼できる複数の外交筋の話として、ジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官が米国に向かっていると報じた。

しかし『ハヤート』(12月5日付)は、米国務省高官がこの報道を否定した、と報じた。

レバノンの動き

Naharnet, December 4, 2012

ハーティム・マーディー検事総長は、中央刑事捜査課にウカーブ・サクル国民議会議員(ムスタクバル潮流)の肉声テープの内容についての調査を要請した。NNA(12月4日付)が報じた。

この肉声テープは先週、OTVと『アフバール』が公開していたもので、サクル議員がシリアの反体制勢力の活動家らとシリアへの武器供与を決定する会話が録音されていた。

録音されていた会話のなかで、シリアの反体制勢力の指導者だというアブー・ヌウマーンは、RPG300基、ロシア製の銃弾25万発、銃300丁をアレッポ県のアアザーズ市、タッル・リフアト市に配送するよう求め、アブー・バラー、アブー・ヌールを名乗る反体制活動家に引き渡すことでサクル議員と合意した。

サクル議員は12月3日にテープに録音されていた肉声が自身の声であることを認めている。

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自由国民潮流代表で国民議会議員のミシェル・アウン元国軍司令官は、ウカーブ・サクル国民議会議員によるシリアの反体制勢力への武器供与に関して、「サクルは裁かれねばならない…。サクルと3月14日勢力はシリアの反乱分子への武器供与を誇らしげに行っている」と批判した。

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ムスタクバル・ブロック(ムスタクバル潮流の国会内会派)は会合を開き、所属議員であるサクル国民議会議員によるシリアの反体制勢力への武器供与に関して、「サクル議員に対する法的措置を主張し、彼の議員特権の剥奪を要求している者たちは、ヒズブッラーとその高官、とりわけハサン・ナスルッラー書記長をまず追求すべきだ。彼はこれまで何度も公の場で、シリアにおいてヒズブッラーが軍事的役割を担っていると述べ、シリア政府や悪党に戦闘員、武器、装備を送っている」と反論した。

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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー前首相(ムスタクバル潮流)はリヤドで、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長らと会談した。

Naharnet, December 4, 2012

会談でハリーリー前首相は、「いかなる挑戦を受けようとも、シリア革命への支持を取り下げない」と述べた。

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北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で住民らが衝突し、AFP(12月4日付)やNNA(12月4日付)によると、2人が死亡し、12人が負傷した。

衝突はヒムス県タッルカラフ市郊外に潜入したサラフィー主義のレバノン人戦闘員がシリア軍の要撃で殺害されたことが遠因。

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レバノン各メディアは、ヒムス県タッルカラフ市郊外に潜入し、シリア軍の要撃で11月30日に殺害されたサラフィー主義のレバノン人戦闘員のうち5人の身元が明らかになった、と報じた。

5人の身元に関する情報はナジーブ・ミーカーティー首相とアドナーン・マンスール外務大臣が関係各方面から電話で入手したという。

またシリア外務省は、「人道的理由」から殺害したレバノン人戦闘員の遺体を引き渡す意思があると伝えた、という。

諸外国の動き

NATO外相会議は、「トルコ国民とその領土を防衛し、国境一帯での危機激化の軽減に寄与すべく、トルコの防空能力を強化することに合意」、パトリオット・ミサイルの配備を決定した。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、ブリュッセルでのNATO外相会議に先だって記者団に対して、「化学兵器のいかなる使用も国際社会にとって決して容認できない」と述べた。

ラスムセンNATO事務局長は「シリアの化学兵器庫は懸念の種だ。我々はシリアがミサイルを保有していることを知っている…。我々はシリアが化学兵器を保有していることを知っており、そのことを考慮に入れる必要がある…。このことがまた、我々の同盟国であるトルコの防衛、保護の実質的保障を火急の課題としている」と述べた。

こう発言し、ラスムセンNATO事務局長は、欧米諸国が突如として(再)主張するようになったアサド政権による化学兵器使用の可能性を、パトリオット・ミサイル配備のトルコへの配備と結びつけた。

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フランス外務省副報道官は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「いかなる使用も容認されないだろう…。シリア高官は国際社会に監視されており、化学兵器を使用すれば、報復なしでは済まされないだろうということを知るべきである」と述べた。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「容認されないだろう」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ブリュッセルでのNATO外相会合後、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「誇張」、「噂」と批判した。

また「武器の配備は使用の危険を増幅させる」と述べ、NATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備を暗に批判した。

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中国外交部報道官は、「我々は化学兵器の使用禁止に関する国際的な取り決めをすべての当事者が遵守することを希望する」と発表し、アサド政権だけでなく、反体制武装勢力に対しても大量破壊兵器の使用を行わないよう求めた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性について、「シリア国民、あるいは近隣諸国に対してシリア政府が使用する場合であれ、邪悪な者たちの手によるものであれ、いかなるシナリオにおいてもこれらの兵器が使用されることを国際社会は容認しないことをシリア政府は熟知している」と述べ、化学兵器の使用が国際社会の介入を招くだろうとの見方を示した。

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『ニューヨーク・タイムズ』(12月4日付)は、トルコ高官の話として、ロシアがアサド大統領に退任を満足させるための新たな外交トラックに合意した、と報じた(未確認情報)。

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サウジアラビアのファイサル・サウード外務大臣は、シリアでの「体制転換プロセスは、シリアの領土と国民の統一を維持するためにこれまで以上に必要且つ必然的となっている」と述べるとともに、体制転換後のマイノリティの処遇への恐怖を煽ることは非現実的で、体制打倒を妨げるとの見方を示した。

一方、シリアの反体制勢力に関しては、シリア革命反体制勢力国民連合の発足を「最近でのもっとも重要な出来事」と高く評価しつつ、「反体制勢力と連合はアサド後のシリアを運営できる」と述べ、連合がすべての反体制勢力を包摂していないことを暗に認めた。

AFP, December 4, 2012、Akhbar al-Sharq, December 4, 2012、AKI, December 4, 2012、The Guardian, December 4, 2012、al-Hayat, December 5, 2012、Kull-na Shuraka’, December 4, 2012、al-Kurdiya News,
December 4, 2012、Naharnet, December 4, 2012、The New York Times, December 4, 2012、NNA, December 4, 2012、Reuters, December 4, 2012、SANA,
December 4, 2012、al-Thawra, December 4, 2012などをもとに作成。

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