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シリア国民評議会はドーハで第2回総会(11月4~8日)を開催した。
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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は開会の演説で、米国とリヤード・サイフ元議員が推し進める反体制勢力統合の動きを批判する一方、アサド政権の打倒、軍事活動の組織化・統合の必要を強調した。
演説でスィーダー事務局長は、総会を「重要かつ決定的」と位置づけ、シリア国民評議会が反体制運動における主導的地位を維持するとの意思を示し、閉幕まで「ビジョンと立場の統合を検討するため、シリア国民評議会、国内の諸勢力、反体制諸勢力との間で協議」を行うと述べた。
また米国とリヤード・サイフ元議員が推し進めるシリア国民イニシアチブ構想に関して「麻痺したイニシアチブ…脆弱で曖昧であくどいイニシアチブ」と批判した。
そのうえで、「サイフの計画を拒否しないが、少なくとも(ほかの組織以上に)シリア国民評議会により多くの代表権が与えられて然るべきと考えている…。シリア国民評議会は、新たな枠組みのもとで少なくとも40%を握らねばならない」と述べた。
一方、国内の武装闘争に関しては、「我々みなが望んでいなかった」としつつ、「軍事行動の組織化と統合の必要性」を強調する一方、「過激化」を抑える努力を継続すると表明した。
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総会初日、シリア国民評議会が設置した組織メンバー再編委員会が最終報告を発表した。同最終報告におけるシリア国民評議会の組織拡大構想の骨子は以下の通り:
1. 組織拡大をめぐる問題を解決するため、評議会の定数を10月14日の報告書が提示した400人からさらに拡大し、600人にする。
2. 評議会における現地の革命運動諸勢力の代表者の割合を30%以上に引き上げ、29組織を加入させる。
3. 市民社会諸組織24団体を新規加入させ、評議会に占める割合を10%とする。
4. シリアの反体制勢力が結成した16の新勢力・ブロックを参加させ、評議会に占める割合を45%とする。
5. 評議会におけるマイノリティの代表者の割合を25%以上にする。
6. 評議会における女性の代表者の割合を15%以上にする。
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リヤード・サイフ元議員はカタールのドーハで記者会見を開き、50人の反体制勢力指導者からなる「新指導チーム」の発足を呼びかけた。
サイフ元議員によると、「新指導チーム」は、反体制武装勢力に対する国際社会の信頼を醸成することが目的で、11月8日に発足をめざしている、という。
サイフ元議員はまた、「新指導チーム」が「シリア国民評議会の代わりをなすものではないが、評議会はその重要な一部とならねばならない」と述べた。
一方、サイフ元議員は「私は亡命政府の首班候補では決してない。私は66歳で、健康問題(ガン)も抱えている…。私はシリアを愛しているがゆえ、革命発生を受けて政治活動を再開した。しかし、この役職にふさわしい能力を持っている若者がシリアには数百人といる…。シリア国民と世界が満足するような政治指導部を発足することを支援するだけで十分だ」と述べた。
シリア人権監視団は、ダマスカス郊外県、イドリブ県、アレッポ県で軍が空爆を行ったと発表した。
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ダマスカス県では、SANA(11月4日付)によると、参謀本部に近いダーマー・ローズ・ホテル(旧メリディアン)前の労働総同盟の駐車場で爆発があり、11人が負傷した。
シリア人権監視団によると、カダム区で6人の遺体が発見された。
6人はヤルムーク区の住人で、拷問の跡が残っていたという。
一方、SANA(11月4日付)によると、ヤルムーク区のパレスチナ人民諸委員会が、同地区への潜入を試みた反体制武装勢力を撃退した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市、ジスリーン町、アルバイン市で、軍・治安部隊と反体制武装勢力とが激しく交戦した。
一方、SANA(11月4日付)によると、ハラスター市、フジャイラ村、タッル・マニーン町、ザマルカー町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、サフィール市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦し、反体制武装勢力の戦闘員6人が死亡した。
一方、SANA(11月4日付)によると、アレッポ市スッカリー地区、カッラーサ地区、ブスターン・バーシャー地区、マアーディー地区、ライラムーン地区、バーブ市、サフィーラ市、ジュッブ・ガブシャ村、ダイル・ハーフィル市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジスル・シュグール市郊外のアームード村、ヤアクービーヤ村、ザルズール村、ジュダイダ村などで、反体制武装勢力が軍・治安部隊の検問所を襲撃した。
またマアッラト・ヌウマーン市入り口で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。
一方、SANA(11月4日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。
またハーリム市では、「武装テロ集団」が30人以上の市民を殺害し、軍による犯行だと主張する映像を公開した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市の2カ所に軍・治安部隊が砲撃を加えた。
一方、SANA(11月4日付)によると、ダルアー市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、また10月26日にダルアー市内の治安維持部隊の検問所近くで発生した爆弾テロの容疑者を逮捕した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス県ダイル・バアルバ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、マヤーディーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。
また同市東部の油田地帯をジャアファル・タイヤール旅団なる反体制武装勢力が制圧し、軍兵士40人を殺害し、戦車などの武器、弾薬を奪った、という。
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ラッカ県では、SANA(11月4日付)によると、サルハビーヤ村で、反体制武装勢力がバアス党ラッカ支局指導部のイスマーイール・ハマーダを暗殺した。
クルディーヤ・ニュース(11月4日付)は、ハサカ県マアバダ(カルキールキー)市で、民主統一党とシリア・クルド民主党(アル・パールティ)の支持者が衝突した、と報じた。
シリア・クルド民主党(アル・パールティ)のヒシャーム・アブー・ザイユーによると、衝突は、民主統一党が組織したデモで、自由シリア軍に死を求めるスローガンが連呼した若者をシリア・クルド民主党(アル・パールティ)が身柄拘束したことを発端としており、民主統一党の民兵がシリア・クルド民主党(アル・パールティ)の事務所を襲撃したことで激化した、という。
AFP, November 4, 2012、Akhbar al-Sharq, November 4, 2012、al-Hayat, , November 3, 2012, November 5, 2012、Kull-na Shuraka’, November 4, 2012、al-Kurdiya
News, November 4, 2012、Naharnet, November 4, 2012、Reuters, November 4,
2012、SANA, November 4, 2012などをもとに作成。
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イドリブ県では、テレグラムの「…
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