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アサド大統領はRTテレビ(11月8日付)のインタビューに英語で応じ、外国によるシリア侵略が世界が耐えることのできない惨劇をもたらし、それは大西洋から太平洋にいたる全世界に波及するだろうと述べるとともに、シリアの敵がテロと不安定化であることを強調した。
インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:
「我々の敵はテロと不安定化であって、人ではない。問題は私が(大統領職に)とどまるか去るかではない。また国が安全かどうかというものでもない。つまり、これ(テロと不安定)が我々がシリア人として戦っているものだ」。
「当初から私が標的だったのではない。私が問題だったのではない。西側はいつも敵を作り出してきた。過去においては共産主義がそうだったし、その後はイスラーム教、そしてサッダーム・フサインが西洋の敵となった。現在、彼らは「バッシャール」という新たな敵を作りたいと思っている。だから彼らは問題が大統領があり、彼が去るべきだと言っているのだ」。
「私はそれ(紛争の解決)ができる人間でなければならないし、そうだろうと考えている。しかし、それは大統領の権限とは関係ない。社会全体に関わる問題だ。この点を厳密にしておかなければならない。大統領は組織がなければ何もできないし、国民の支持がなければ何もできない。だから、今の戦いは、大統領としての戦いなのではない。シリアとしての戦いなのだ。すべてのシリア人が今、国を守ることに関わっている」。
「もう一度、正確に言いたい。問題は私と国民の間の問題ではない。私と国民の間には何の問題もない。米国、西欧、トルコ、そして多くのアラブ諸国が私に反対しているだけだ。もしシリア国民が私に反対しているなら、なぜ私がここにいられるのか?世界、そして世界の人々の大多数が私に反対しているなら、なぜ私がここにいられるのか?私はスーパーマンではない。人間だ…。我々は内戦状態にあるのではない。それはテロに関わる問題であり、テロリストがシリアを不安定化させるため、外国が支援しているのだ」。
「(国内に)対立はあるが、それは内戦を意味しない…。内戦はエスニック・宗派問題に基づいているはずだ。むろん、エスニック・宗派対立があるかもしれないが、それが問題をもたらしているのではない」。
(国民がアサド大統領の続投を望んでいるかとの問いに対して)「人々が考えることが正しいことだ…。私は人々が何を考えているのかを言いたくはない」。
「平時において、たとえ国内にテロリズムのような敵がいようと、我々は軍、諜報機関をもって外敵に焦点を合わせている。なぜなら社会はテロの温床が作られないよう我々に協力してくれているからだ。しかし今は、プロキシを通じたテロ、という新たな戦争が行われている…。これは新たなかたちの戦争であり、我々はこのかたちに適用するのに時間を要してしまっている…。しかも、テロリストが武器、資金、政治といった面で受けている支援はこれまでにない規模だ…。つまりシリアのような小さな国が、プロキシを通じて我々に戦いを挑んでいる国々に数日、数週間で勝利できるなどと期待すべきでない」。
「テロリストは、民間人が暮らす都市のなかで戦っている。この手のテロリストと戦う場合、我々は、インフラや民間人へのダメージを最小限にとどめることに配慮しなければならない。にもかかわらず、我々は戦わねばならず、しかもテロリストの殺戮や破壊を放置してはおけない。この手の戦争で困難なのはこういた事情があるからだ」。
「彼らが世界の様々な場所から外国人戦闘員を送り込むことをいつ止めるのかを明言しなければ、そのこと(テロにいつ勝利するか)に答えることはできない…。彼らが止めれば、「数週間ですべてを終わらせることができる」と私は言うことができる。
「私はそれ(トルコとの戦争)が起きるとは考えない。なぜなら、戦争は大衆の支持を必要とするが、トルコ国民の大多数は、シリアとの戦争を望んでいないからだ…。エルドアンは、ムスリム同胞団が地域、とりわけシリアで政権を握れば自分の政治的未来が保証されると考えている…。また彼は、自分が新たなスルタンで、オスマン帝国時代のようにすべてを支配できると勘違いしている」。
「私は彼ら(アル=カーイダ)が(反体制勢力を)統制しようとしているとは考えていない。彼らは自分自身の王国、首長国を作ろうとしている。彼らは今、爆発、暗殺、自爆を通じて人々を脅迫し、そうすることで人々が絶望し、現実を受け入れるだろうと考えている」。
「我々は真にシリアを支援したいと考える人(反体制勢力)なら誰とでも対話をする。しかし、我々の危機を自分自身の利益のために利用しようとする者との対話で時間を浪費するつもりはない」。
(軍が戦争犯罪を犯しているとの人権団体などの非難に関して)「論理を欠いている主張だ。なぜならシリア軍はシリア国民からなっている。国民に対して罪を犯そうすれば、軍は解体するだろう。それゆえ国民を殺害する軍は強力であるはずない。さらにシリアの大衆に擁護されていなければ、軍が20ヶ月も困難な状況下で持ちこたえるはずない」。
(シリアを去らねばならないとしたらどこに亡命するかとの問いに対して)「私はシリアからシリアに移動する。我々が暮らすことができる唯一の場所だからだ。私は操り人形ではない。私は西側によって作り出されたものでないし、西側などの国に行くことはない。私はシリア人だ。シリアが私を作り出したのだ。私はシリアで暮らし、シリアで死なねばならない」。
映像はhttp://www.youtube.com/watch?v=pdH4JKjVRyA&feature=relmfuを参照。
全文はhttp://sana.sy/eng/21/2012/11/09/451662.htmを参照。
アントゥーン・マクディスィー外務在外居住者省報道官は、「シリアの体制は長く続かない」とのアラブ連盟ナビール・アラビー事務総長の発言(7日)に対して、シリアを破壊しようとする国やテロ組織に荷担する発言だと非難した。
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SANA(11月8日付)は、シリアの外務在外居住者省高官の話として、「シリアは日本政府が対シリア制裁強化のための国際会議の開催を決定したことを知り、大きな遺憾の意を感じていると述べ、日本政府に対して、シリアの一般市民にダメージを与えるだけの非道徳的な制裁への姿勢を再考するよう呼びかけた。
シリア国民評議会総会で7日から8日未明にかけて、事務局選挙が実施され、41人のメンバーが確定した。
41人のうち18人が初当選。また12人がシリア国内の「革命運動」の代表者で、50歳以下は68.3%になった。
事務局選挙当選者の所属会派、氏名は以下の通り:
事務局選挙には、総会出席者425人のなかの102人(36リスト)が立候補していた。
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なお事務局選出を受けて実施される事務局長および執行部選挙は11月9日に延期となった。
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シリア民主世俗主義諸勢力連立のフィラース・カッサース総合調整役は声明を出し、シリア革命を支援する政治的方針に関する連立の方針に準じて、シリア国民評議会からの脱会とリヤード・サイフ元議員のシリア国民イニシアチブ構想への不参加を宣言した。
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米国とリヤード・サイフ元議員が主導する反体制武装勢力の大会が開会した。
大会議長はカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣が務め、シリアの友連絡グループ各国の高官らも出席した。
出席した主な各国高官は、UAEのアブドゥッラー・ブン・ザーイド外務大臣、オマーンのユースブ・ブン・アラウィー外務大臣、サウジアラビアのニザール・ウバイド・マダニー外務担当大臣、アフメト・ダウトオール外務大臣、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、GCCのアブドゥッラティーフ・ブン・ラーイド・ズィヤーニー事務局長。
シリア国民評議会のアフマド・ラマダーンが『ハヤート』(11月9日付)に明らかにしたところによると、大会には、シリア国民評議会メンバー24人、シリア各県の自治評議会代表14人、革命諸委員会代表、「市民権と共に」運動(自由民主シリアのための「共に」運動)代表、サーディク・ジャラール・アズム(作家連盟)、ムハンマド・サーブーニー(ウラマー連盟)、アブドゥルカリーム・バッカール、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相、リヤード・サイフ、ブルハーン・ガルユーン、ハイサム・マーリフ(シリア革命評議会代表(暫定政府首班)が出席した。
ラマダーンによると、アレッポの自治評議会代表はシリア国内から参加であるが、それ以外の出席者はいずれも在外活動家であり、またシリア国内で活動しているほとんどの組織、活動家は大会には姿を現していない。
ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(11月8日付)によると、自由シリア軍が未明にラアス・アイン市内に潜入し、政治治安部、軍事情報局、空軍情報部、総合情報部、バアス党支局などを包囲攻撃、目撃者によると、曙の礼拝のため、市内のトゥラービー・サッカー・スタジアムに集結、その後、襲撃を再開したという。
クルディーヤ・ニュース(11月8日付)は、ラアス・アイン市住民が軍と交戦する自由シリア軍に対して市内から退去するよう要求したと報じた。
しかし、市内の民主統一党人民防衛隊(YPG)、シリア・クルド国民評議会地区委員会は、自由シリア軍とは交戦しなかった、という。
また自由シリア軍は、住民に対して身の安全のために外出しないよう呼びかけている、という。
シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市で激しい戦闘があり、反体制武装集団の戦闘員10人と軍兵士16人が死亡した。
またシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、自由シリア軍は二隊に分かれてアイン・アラブ市を襲撃、うち一隊はトルコ領から直接潜入した。
住民の多くは、自由シリア軍の襲撃によって、トルコ国内、ないしはクルド人が暮らす周辺の町に避難を余儀なくされ、アフバール・シャルク(11月8日付)によると、トルコ領内には仮設の避難移設が設営された、という。
一方、シリア・アラブ・テレビ(11月8日付)は、アイン・アラブ市に潜入したテロリストのうち数十人を軍・治安部隊が殲滅、残りの戦闘員は逃走した、と速報を流した。
またトルコの複数のメディアによると、ラアス・アイン市内での戦闘によって、同市に滞在していたトルコ人5人が負傷した。
その後、アフバール・シャルク(11月8日付)によると、自由シリア軍はアイン・アラブ市内の軍事情報局、政治治安部、空軍情報部、市内検問所、および対トルコ国境のアイン・アラブ国境通行所を制圧した。
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ダマスカス県では、複数の活動家によると、反体制武装集団がマイダーン地区の軍検問所を砲撃、これに対して軍は報復として反撃、戦闘に巻き込まれた女性1人を含む2人が死亡した。
活動家によると、「ダマスカスに潜伏する反体制勢力の細胞が、タダームン区、カダム区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市への(軍の)攻勢を軽減するため活動を開始した」という。
これに関して、シリア・アラブ・テレビ(11月8日付)は、「武装テロ集団」がマイダーン地区に砲撃し、女性1人を含む2人が死亡した、と報じた。
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ダマスカス郊外県では、SANA(11月8日付)によると、サイイダ・ザイナブ町で、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、市民3人が死亡、数十人が負傷した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方で未明の砲撃により民間人2人を含む9人が死亡した。
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アレッポ県では、SANA(11月8日付)によると、アレッポ市マルジャ地区で行われたデモを襲撃し、市民2人を殺害、多数を負傷させた。
デモでは武装テロ集団の退去が求められていた。
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『ハヤート』(11月9日付)は、イスラエル国防軍報道官の話として、イスラエル占領下のゴラン高原の村に迫撃砲弾(不発弾)が着弾した、と報じた。
同報道官によると、砲撃が無差別に行われ、イスラエルを狙ったものではなかった、という。
赤十字国際委員会のピーター・マーラー理事は、シリア情勢に関して、「官僚、軍、治安面」での調整(の不備)によって人道支援活動が制限されていると指摘、「シリアの人道状況の悪化に対処するため、即座に我々の活動を展開することができない」と述べた。
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トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は記者団に対して、トルコがシリア情勢に対処するためあらゆる自衛のための兵器を保持する権利を有する、と述べた。
トルコがNATOに対シリア国境地帯のパトリオット巡航ミサイル配備を求めたことを受けた発言。
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ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、「我々の情報によると、多くの国、とりわけ中東諸国が、アサドとその家族がシリアを去った場合に、迎え入れると申し出ている」と述べた。
AFP, November 8, 2012、Akhbar al-Sharq, November 8, 2012、al-Hayat, November 9, 2012、Kull-na Shuraka’, November 8, 2012、al-Kurdiya News,
November 8, 2012、Naharnet, November 8, 2012、Reuters, November 8, 2012、SANA,
November 8, 2012, November 9, 2012などをもとに作成。
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ナハールネット(11月21日付…
イドリブ県では、テレグラムの「…