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カタールの首都ドーハで開催中のシリア国民評議会総会で、事務局(40人)選挙が開始され、400人以上の総会出席者が投票を行った。
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シリア国民評議会事務局選挙への立候補者リストは以下の通り。
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シリア国民評議会のアナス・アブダ事務局書記は、ドーハでの反体制勢力の大会で目標とされている亡命政府(暫定政府)樹立に関して、7項目からなる提案を発表した。
米国の支援のもと、リヤード・サイフ元議員の「シリア国民イニシアチブ」プログラムに対抗するかたちでなされた提案の7項目は以下の通り:
1. 暫定政府樹立は、すべての反体制勢力が参加する国民総会において樹立するものとし、そこでシリア国民評議会が最大の割合を占める。
2. 可能であれば、国民総会をシリア領内の解放区において開催するための活動を行う。
3. 暫定政府発足は、その任務遂行を可能とするような国際的な承認が確約されることなしに宣言されない。
4. 暫定政府は、外務、国防、避難民・難民問題、人権、保健、情報を担当する省のみから構成される小規模政権とする。
5. 暫定政府発足後も、シリア国民評議会は政権を保護、支援するため、活動と組織を維持する。
6. 国民総大会出席者を確定するための準備委員会、開催地を決定するための技術委員会を設定し、両委員会は2ヶ月以内にその任務を完了する。
7. 国民総大会は、シリア国民評議会、解放区の地元評議会、離反したテクノクラート、無所属の反体制政治勢力、自由シリア軍における愛国的武装レジスタンス勢力の代表300人によって構成する。
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クッルナー・シュラカー(11月7日付)は、ダマスカス郊外県のドゥーマー市で、地元評議会が声明を出し、住民に対して、軍、シャッビーハの「浄化」が完了した解放区での自治に協力するよう呼びかけた、と報じた。
同報道によると、ドゥーマー地元評議会は、同市を12の区画に細分し、各地区に5人からなる地区委員会のほか、医療、生活保護、公的財産・指摘財産保護、教育・文化、文書・書記などを担当する12の特別委員会(5人から構成)の設置を決定した、という。
また、これらの地区委員会、特別委員会、そして議長の25人によって最高意思決定機関の地元評議会を構成し、また11人からなる執行部(議長は選挙で選出)、広報部を設置することを決定した、という。
ダマスカス県では、『ハヤート』(11月8日付)によると、「イスラームの獅子」大隊を名乗るサラフィー主義の反体制武装勢力が人民宮殿(迎賓館)に迫撃砲を発射したが、「失敗した」と報じた。
ダマスカスの市街地を見下ろす山頂にある人民宮殿(カスル・シャアブ)は大統領宮殿(カスル・リアースィー)を呼ばれることから、大統領の公邸だと間違えられることが多いが、実際には外国の要人などとの会談を行うための迎賓館である。
なお「イスラームの獅子」大隊は、ダマスカス県内の航空基地、ムハーバラートの施設を攻撃したとも発表したが、攻撃を受けた形跡はみられない。
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同じく、ダマスカス県では、SANA(11月7日付)によると、マッザ区(マッザ86地区)の住宅街やセルヴィスを反体制武装勢力が迫撃砲で攻撃し、女性を含む市民3人が死亡、数十人が負傷した。
またバルザ区でアバード・ナドワ弁護士が反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾の爆発に巻き込まれ死亡した。
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同じく、ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区でパレスチナ人の人民委員会と反体制武装勢力が激しく交戦した。
また未明に、カダム区で車に仕掛けられた爆弾が爆発した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市などが空爆を受ける一方、ドゥーマー市、ハラスター市などが砲撃を受けた。
同監視団によると、反体制武装集団がハラスター市への突入を試みたという。
一方、SANA(11月7日付)によると、ハラスター市、フジャイラ村、スバイナ町、ザマルカー町、アルバイン市、サイイダ・ザイナブ町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を継続し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区に軍が空爆を加えた。
一方、SANA(11月7日付)によると、カフルナーハー村、サフィーラ市、アイス村、ICARDA近く、カフルハムラ村、アレッポ市シャイフ・サイード地区、カッラーサ地区、バーブ・アンターキヤー地区、スーク・フストゥク地区、ハール市場地区、ブスターン・バーシャー地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ基地周辺で、軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線および反体制武装勢力と激しく交戦した。
一方、SANA(11月7日付)によると、イドリブ市内のパン焼き・配給所近くに反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、1人が死亡、複数が負傷した。
また、軍・治安部隊は、ムハムバル村、フライカ村で反体制武装勢力と交戦、殲滅した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(11月7日付)によると、マヤーディーン市などで、軍・治安部隊が交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
またダイル・ザウル市内のシリア正教会に自爆テロを試みた反体制武装勢力戦闘員が乗った車を軍が破壊した。
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ヒムス県では、SANA(11月7日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ディーワーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。
ワーイル・ハルキー首相は11月5日に爆弾テロが発生したダマスカス県マッザ区(マッザ86地区)を視察した。
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クッルナー・シュラカー(11月7日付)は、11月6日、ヒムス市、ハマー市などに展開していた共和国護衛隊の各部隊がダマスカス県・ダマスカス郊外県に再結集のため移動を開始した、と報じた。
ハラスター市、ドゥーマー市などでの反体制武装勢力の攻勢を受けた動きと見られる。
英国のデビッド・キャメロン首相がヨルダンのザアタリー・シリア人避難民キャンプを視察した。
英国外務省が出した声明によると、キャメロン首相は視察に合わせて、ヨルダンのアブドゥッラー国王とシリア情勢について協議、1400万ポンドの新規人道支援を発表した。
キャメロン英首相は「(アサド大統領)を出国させ、安全な政権移譲を行うためならあらゆる手段も考慮する。英国への亡命を提案するわけではないが、もし本人が出国したいならそれに向けた調整は可能だ」と述べた。
一方、英国の首相府は、シリア国内での暴力停止に向けて、英国が反体制武装勢力との対話のイニシアチをとるだろう、と発表した。
首相府によると、政府はすでに、高官に反体制武装勢力の代表との接触を認めている、という。
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『ハヤート』(11月8日付)などは、トルコ外務省高官の話として、トルコ政府がNATOに対して、対シリア国境地域へのパトリオット巡航ミサイルの配備を要請する見込みだと報じた。
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8日に開催される反体制勢力の大会に出席するためカタールを訪問する予定のアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はカイロで記者団に対して「反体制勢力のビジョンを統一することが肝要だ。なぜならシリアの体制が長く続かないことを知っており、いつの日か、シリアに新しい状況が現出することを皆が知っているから」と述べた。
AFP, November 7, 2012、Akhbar al-Sharq, November 7, 2012、al-Hayat, November 8, 2012、Kull-na Shuraka’, November 7, 2012、al-Kurdiya News, November 7, 2012、Naharnet, November 7, 2012、Reuters, November 7, 2012、SANA, November 7, 2012などをもとに作成。
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