シリア民主フォーラムはシリア革命反体制勢力国民連立に関して「両者の組織的関係を問わず」協力・対話を進めたいと発表、一方米国は同連立を「亡命政府」として承認せず(2012年11月15日のシリア情勢

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国内の動き

バアス党シリア地域指導部は矯正運動42周年に合わせて声明を出し、「シリア・アラブ人民が改革、発展、そしてアラブ民族の愛国的プロジェクトに対する驚異に立ち向かう意志」を確認するとともに、「アサド大統領が安定と治安への保障、改革路線、民族の不変的基礎…を真に代表する存在である」と表明した。

矯正運動とは1970年11月16日のハーフィズ・アサド前大統領による政権掌握を意味する。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、安保理会合で、シリア国内でのすべてのテロ活動と、外国によるテロ組織への資金援助、潜入支援を停止させるために必要な措置を即時に講じるよう求めた。

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Syria Steps(11月15日付)は、シリア・ポンドの下落が続き、1ドル90ポンドに近づきつつある、と報じた。

同報道によると、ダマスカスでは1ドル88ポンド、アレッポでは89ポンド、レバノンでは81ポンドにまで下落している、という。

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オリエント・ニュース(11月15日付)は、シリア国内で人道支援活動が認められているNGO・組織がラーミー・マフルーフが会長を務めるブスターン協会と、反体制活動家のルワイユ・フサインが指導するシリア国家建設潮流に限定されている、と批判した。

同報道によると、フサインは政権との「合意」のもと反体制活動を行っているという(未確認情報)。

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クッルナー・シュラカー(11月15日付)は、数千人の逮捕者がテロ法廷に起訴された、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サクバー市に軍が空爆を行い、複数名が死傷した。

またジスリーン町、ハラスター市、アルバイン市、ザマルカー町、ヤルダー市、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市が軍の砲撃を受けた。

ドゥーマー市での軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘では、反体制武装勢力の戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(11月15日付)によると、ハラスター市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、ハラスター調整の指導者、ファタハ・イスラーム旅団メンバー、外国人戦闘員ら多数の戦闘員を殲滅した。

またフジャイラ村などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、「ゴラン自由人」を名のるパレスチナ人戦闘員ら多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区が砲撃を受けた。

『ハヤート』(11月16日付)は、シリアの高官筋の話として、タダームン区のヌジューム映画館近くで「野戦病院」が発見され、「テロリスト」が強奪した大量の医薬品が押収されたと報じた。

一方、SANA(11月15日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で反体制武装勢力が同市の軍事情報局施設を襲撃し、軍・治安部隊と交戦、兵士1人と3人の戦闘員が死亡した。

同監視団によると、戦闘の末、反体制武装勢力は、市内の軍事情報局施設、農業銀行を占拠した、という。

一方、SANA(11月15日付)によると、ダイル・ザウル市各所およびブーカマール市各所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区とダイル・バアルバ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員4人が死亡した。

一方、SANA(11月15日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、バーブ・トゥルクマーン地区、ワルシャ地区、ワアル地区、アビル市、東ブワイダ村、ジャンダル市、ラスタン市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

これに対して、反体制武装勢力は、ヒムス市・ミスヤーフ市街道で旅客バスを襲撃し、乗客複数が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンナグ航空基地周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、またアアザーズ市に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(11月15日付)によると、バーブ市、ダイル・ハーフィル市、マンビジュ市、ジュッブ・アブシャ市、カフルナーハー村、アレッポ市カーディー・アスカル地区、スッカリー地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(11月15日付)によると、ハーリム市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

これに対して、反体制武装勢力はアリーハー市・サラーキブ市間の街道に爆弾を仕掛け、爆発させ、市民2人を殺害、3人を負傷させた、という。

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ダルアー県では、SANA(11月15日付)によると、ブスラー・シャーム市で反体制武装勢力が治安機関の関連施設を襲撃したが、軍・治安部隊が応戦、反体制武装勢力の戦闘員6人を殺害した。

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『ハヤート』(11月16日付)などによると、ハサカ県の対トルコ国境に位置するラアス・アイン市での軍による反体制武装勢力への空爆・掃討作戦を受けるかたちで、トルコ軍は複数の戦闘機を南東部に派遣した。

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クナイトラ県では、イスラエル国防軍によると、シリア領内での銃撃戦の流れ弾がイスラエルが占領するゴラン高原に着弾した。被害はなかった、という。

反体制武装勢力の動き

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(11月15日付)に対して、2011年3月以降の死者数が39,112人にのぼる、と述べた。

うち27,410人が民間人、1,359人が離反兵、9,800人が軍兵士だという。

しかし、アブドゥッラフマーン代表は、この数値には逮捕・行方不明者数千人、さらには「シャッビーハ」とみなされ反体制武装勢力が殺害した約1,000人は含まれておらず、また軍、反体制武装勢力が死者数を開示していないため、死者数は厳密ではない、と述べ、シリア人権監視団が発表してきた死者数が推計であることを認めた。

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ミシェル・キールーが代表を務めるシリア民主フォーラムはシリア革命反体制勢力国民連立の結成に関する声明を発表した。

声明のなかで、フォーラムは、結成を歓迎し、その指導部を承認し、言動を支持するとしつつ、「フォーラムと連立の組織的関係は問わず」、協力と対話を進めたいとの意思を示した。

具体的には、体制打倒、国家・社会の統一維持、民主化といった目標に向けて、連立との協力・対話の意思を示し、「民主的で公正な革命的性格の強化」、「宗教宗派、思想信条、人種的属性を超えた市民のための自由な国家の建設」、「男女平等」、「連立が例外なくすべてのシリア人のための組織となること」を連立に求めた。

そのうえで連立の指導部が他の政治組織と対立、ないしは他の政治組織を支配することなく、民主的に反体制勢力の統合をめざすことを監視し続けると付言した。

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ロンドンを拠点とするシリア中道党(マフムード・アルー・ハルフ党首)なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を表明した。

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スワイダー自由在外居住者連盟なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への全面支援を表明した。

クルド民族主義勢力の動き

クルド最高委員会の渉外委員会のムスタファー・ウースーは声明を出し、11月16日にイラク・クルディスタン地域でシリア・クルド国民評議会が会合を開き、シリア革命反体制勢力国民連立結成への対応、自由シリア軍との関係、そして「流入アラブ人」への対応について協議する、と発表した。

「流入アラブ人」(العرب الغمر)は、アラブ・ベルト構想によって1960年代半ば以降にハサカ県に移住した移民(シリア・アラブ人)。

ハサカ県の住民平和評議会メンバーのムハンマド・イスマーイールはクルディーヤ・ニュース(11月15日付)に対して、「流入アラブ人は、体制が衰退し、現地での影響力が消えて以降、自由シリア軍に近づこうとしている」と述べ、警戒感を露わにした。

レバノンの動き

『アフバール』(11月15日付)は、北部県アッカール郡バッダーウィー市の内務治安軍総局の武器庫からカラシニコフ銃3,000丁が盗まれ、シリアの反体制武装勢力に売却された可能性がある、と報じた。

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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「シリア革命と時を同じくして(イスラエル軍によるガザ)攻撃が発生したことは、可能な限り革命を阻止しようとする明確な意思の表れだとの疑義を呈する」と述べた。

しかしこの論理によると、シリアの反体制勢力が優勢だとの(西側諸国の)認識に立った場合、イスラエルの攻撃が反体制武装勢力によるシリア国内でのテロの被害を隠蔽するタイミングでなされたとも解釈できる。

イスラエルの動き

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とエフード・バラク国防大臣は占領下のゴラン高原を視察した。

占領地へのシリア領からの流れ弾の着弾に関して、バラク国防大臣は、「高原の麓のほぼすべての村、そしてその後背地は、事実上破壊分子の手に落ちている…。シリア軍の能力は断続的に低下している」と述べ、反体制武装勢力の勢力増大への懸念を示しつつ、「アサドの支配の痛ましい崩壊」を引き続き中止し続けるとの意思を示した。

ネタニヤフ首相もアサド政権に「亀裂」が生じつつあると指摘する一方、「イスラエルに対してより敵対的な国際的ジハードに属す勢力がそのプレゼンスを強化している」と反体制武装勢力の台頭に懸念を表明した。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領は、再選後初の記者会見で、「亡命政府として承認する準備はない」と述べ、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認する意思がないことを明言、「我々は反体制勢力がシリア国民の意思の正統な代表だとみなす」と述べ、フランス、トルコ、GCCとの姿勢の違いを示した。

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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェビィッチ報道官は記者会見で、「多くの国の都市が近代的兵器の供与を制約した…。合法的政府に対する武装闘争を行う反体制勢力への外国の支援は、国際法が定める基準を明確に侵害している」と述べた。

ルカシェヴィッチ報道官はまた「国際法の原則において…、いかなる国にも、他国において武力で体制打倒をめざす武力行為を組織、支援、資金援助する権利はないと明記されている」と付言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア情勢に関する関係閣僚・軍高官との会合後の記者会見で、シリアの反体制勢力との協力を「優先事項」としつつ、「明確な暫定計画」を提示するよう呼びかけた。

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アナトリア通信(11月15日付)によると、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、ジブチでのイスラーム諸国会議機構(OIC)の外相会議でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表とみなすと改めて述べる」と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「フランスの姿勢は紛争への武器不供与を原則とするが、政府の戦闘機の空爆に曝される解放区があることは認められない」と述べ、反体制勢力への「自衛のための武器」供与禁止を解除することをEUにおいて求める移行を示した。

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国連のマーティン・ニスルキー報道官は、ゴラン高原の非武装地帯の村を占拠する反体制武装勢力への攻撃に関して、UNDOFの同意のもとに攻撃を行っているとのファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣の発言(11月14日)に対して、「UNDOFはシリアのこうした軍事作戦に口頭で同意していない…。1974年に署名された兵力引き離し協定に觝触している」と否定した。

AFP, November 15, 2012、Akhbar al-Sharq, November 15, 2012, November 15, 2012、al-Hayat, November 16, 2012、Kull-na Shuraka’, November 15, 2012、al-Kurdiya News, November 15, 2012、Naharnet, November 15, 2012、Orient News, November 15, 2012、Reuters, November 15, 2012、SANA, November 15, 2012、Syria Steps, November 15, 2012などをもとに作成。

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