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ファイサル・ミクダード外務在外居住副大臣はAFP(11月14日付)のインタビューに応じ、「我々は政府とのいかなる対話をも拒否するとのドーハでの合意を読んだ…。これは戦線布告だ」と述べ、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を厳しく非難した。
ミクダード副大臣はまた「あいつらは平和的な問題解決を望んでいない…。(アサド政権は)外国に指導部がある組織や外国が作り出した組織ではなく、シリア国内に指導部があるシリアの反体制勢力と対話する用意がある」と述べた。
一方、GCCがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表として承認」したことに関して「私はGCCの役割が大きいものだとは考えたくない。なぜなら、我々はそれは彼ら自身の姿勢ではなく…、カタールやサウジアラビアと対立したくないという一部の加盟国の困難な姿勢を考慮」される必要があるからだと述べた。
さらに「シリアの友連絡グループ、つまりシリアの敵に参加する多くの国は、(同グループへの)参加を強制されたと我々に語ってくれた。私はこうした事態ゆえに、(シリア革命反体制勢力国民連立の)承認がなされるとは思わない」と付言した。
フランスがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表として承認」したことに関しては、「非道徳的な姿勢だ、なぜならシリア人の殺戮を許すものだからだ。彼らは殺戮とテロリストを支援したことになる」と批判した。
アラブ連盟が外相会議でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の意思の正統な代表」したことに関しては、「連盟はアイデンティティと信頼を失った。カタールの外相がやって来て、ポケットから紙を取り出し、「これが決議だ」と言い、みながそれを採択しただけだ…。連盟はもはや、アラブの努力を統合する政治的活動の場ではない。連盟はアラブ人どうしを反目させる勢力になりさがった」と非難した。
このほか、ミクダード外務在外居住者副大臣は、ゴラン高原の非武装地帯の村を占拠する反体制武装勢力に関して、UNDOFの同意のもとに攻撃を行っている、と述べた。
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シリア政府は声明を出し、ガザ地区に対するイスラエル軍の空爆とハマースのカッサーム旅団のアフマド・ジャアバリー副司令官を含むパレスチナ人の殺害を強く非難、ガザ地方の人民に対するイスラエルの攻撃を停止させるための圧力をかけるよう国際社会に求める一方、アラブ民族に対して、パレスチナ人民支援のために行動するよう訴えた。
SANA(11月14日付)が報じた。
シリア最高委員会渉外局メンバーのイーサー・ハッスー(民主統一党、西クルディスタン人民議会)はクルディーヤ・ニュース(11月14日付)に対して、民主統一党人民防衛隊(YPG)が掌握したハサカ県カフターニーヤ市(クルド語名ディルベ・スピーイェ)の自治に関して、アラブ系部族と緊張関係が増していることを示唆した。
ハッスーは「我々は(市内の政府)施設からの(YPGの)撤収後に関して、明日(15日)までにアラブ人に最終回答を行うよう猶予を与えた。また我々は、クルド人、シリア正教徒、アラブ人の5人からなる(自治)委員会の設置を要求した」と述べた。
一方、ハッスーは、「シリア・クルド国民評議会はすべての分野において十分な能力を持っていない…。一方、我々は現場経験があり、名ばかりの存在とは異なる諸委員会を実体として持っている」と述べ、その自治能力の欠如を批判した。
ハッスーによると、シリア最高委員会はドイツのクルド人権・支援団体から5,000万ユーロ相当の支援物資を受け取りにこぎ着け、イラク経由で4台の貨物トラックに乗せてシリア国内への搬入を進めたが、イラク国境でシリア・クルド国民評議会の福祉委員会が搬送を引き継いだ際に物資が紛失した、という。
またカフターニーヤ市でのアラブ人10部族の使節団とシリア最高委員会の交渉においても、シリア・クルド国民評議会は代表者を出席させず、交渉に遅れが出たと批判した。
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クルディーヤ・ニュース(11月14日付)、『サフィール』(11月14日付)は、反体制武装勢力によるラアス・アイン市襲撃・制圧(11月8日)に、「シャーム外国人」部隊の戦闘員300人が参加し、トルコ領内から同市に潜入、市内のアラブ人地区に集結した、と報じた。
「シャーム外国人」部隊は、イラクでアル=カーイダとともに反米武装闘争に参加したサラフィー主義者・ジハード主義者。
2007年にはアレッポ市内のモスクでリーダーの「アブー・カアカーウ」(マフムード・グール・アーガースィー)がイラクから帰還した戦闘員によって殺害されていた。
ダイル・ザウル県では、SANA(11月14日付)によると、ダイル・ザウル市ダウワール・ガッサーン・アッブード地区で、軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、戦闘員を殲滅した。
またブーカマール市でも、反体制武装勢力の戦闘員と交戦し、「カアカーウ旅団」(シャーム外国人部隊)の戦闘員などを殲滅した。
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ダマスカス県では、SANA(11月14日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を継続し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殲滅した。
また武装テロ集団は旧市街のウマイヤ・モスク裏の空き家に迫撃砲を発射し、建物が被害を受けた。死傷者はなかったという。
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ダマスカス郊外県では、SANA(11月14日付)によると、フジャイラ村、アクラバー町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、殲滅した。
また武装テロ集団はダーヒヤ・アサド地区の住宅地に迫撃砲を発射し、建物が被害を受けた。死傷者はなかったという。
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アレッポ県では、SANA(11月14日付)によると、サフィーラ市、ハフサ村、バーブ市、ファーフィーン村、アレッポ市ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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ハサカ県では、SANA(11月14日付)によると、ラアス・アイン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員数十人を殺傷、装備を破壊した。負傷した戦闘員はトルコ領内に逃走した、という。
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ヒムス県では、SANA(11月14日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ハーリディーヤ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。
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イドリブ県では、SANA(11月14日付)によると、イドリブ市郊外の村々で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。
またマアッラト・ヌウマーン市郊外のダマスカス・アレッポ街道上で、反体制武装勢力が、人道支援物資を搬送中のシリア赤新月社の貨物車両3台を襲撃し、物資を略奪した。
シリア国民評議会での総会選挙後に評議会からの大会を宣言したアディーブ・シーシャクリーが『ハヤート』(11月15日付)のインタビューに応じ、脱会の理由が「一部のメンバーが決定権を掌握していることが不満だった…。(総会)選挙が、政治的方向性やイデオロギーやブロックではなく能力本意で行われることを望んでいた…。選挙は(利権やポスト)割当本意で行われたので辞めた」と述べた。
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シリア国民評議会は声明を出し、ダマスカス県アブー・ルンマーナ地区で治安当局がシリア赤新月社のムハンマド・ラーイド・タウィール救急局長を逮捕した、と発表した。
同声明によると、タウィールは11月8日に逮捕されたという。
イラクのフダイル・フザーイー副大統領(ダアワ党)は、『サバーフ』(11月14日付)に対して、「横暴なテロリストが(シリアの)反体制勢力のなかにおり、事態の手綱を握っている…。彼らが政権を握れば、地域で新たなターリバーンが地位を得ることになる」と厳しく非難した。
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ヨルダンの国営ペトラ通信(11月14日付)は、インマール・ハムード・シリア避難民問題担当報道官の話として、ヨルダン政府がラムサーにシリア人避難民を収容するための新たな国営避難民キャンプを設営することに合意した、と報じた。
ヨルダン政府は、ザアタリー避難民キャンプに加えて現在、ザルカー市に二つ目のキャンプを設営している。ラムサーのキャンプは三つ目のキャンプとなる。
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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先のオーストラリアで、シリア国内外の避難民・被災者に対して3,000万ドルの追加の人道支援を行うと発表した。
またシリア革命反体制勢力国民連立の創設を「画期的…このような組織を長い間望んでいた」と賞賛したが、「シリア国民の正統な代表として承認」するとは言わなかった。
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『ハヤート』(11月14日付)は、日本の外務省の匿名筋の話として、シリアへの制裁強化のためのシリアの友連絡グループの会合を11月30日に東京で開催し、東南アジア諸国を含む約60カ国が参加する見込みだと報じた。
衆議院解散を控えるなかでの国際会議が実効的な成果をもたらすとは考えにくいが、アサド政権に代わる政権の受け皿が不在のままでの制裁強化は、シリア国民の生活をさらに逼迫させるだけでなく、シリア国内の反体制武装勢力やサラフィー主義の外国人戦闘員のテロ活動を増長させるという点で常軌を逸している。
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ロイター通信(11月14日付)は、国連安保理の外交筋からの情報として、今年5月に北朝鮮を出向し、シリアに向かっていた中国船籍からミサイルへの転用が可能なグラファイトシリンダー445本が押収されていた、と報じた。
グラファイトシリンダーは韓国釜山停泊時に発見され、シリアの「電機部品」会社が納品先だったという。
AFP, November 14, 2012、Akhbar al-Sharq, November 14, 2012, November 15, 2012、al-Hayat, November 14, 2012、Kull-na Shuraka’, November 14, 2012, November 15, 2012、al-Kurdiya
News, November 14, 2012、Naharnet, November 14, 2012、Reuters, November 14,
2012、al-Sabah, November 14, 2012、al-Safir, November 14, 2012、SANA, November 14, 2012などをもとに作成。
写真はSANA, November 14, 2012。
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イドリブ県では、テレグラムの「…
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