ウィーンでの17カ国外相会談で、ダーイシュ(イスラーム国)などのテロ組織の打倒を目指す共同声明を発表、アサド政権の進退には言及せず(2015年10月30日)

オーストリアの首都ウィーンで、米、ロシア、サウジアラビア、トルコ、エジプト、フランス、ドイツ、イラン、イラク、イタリア、ヨルダン、レバノン、オマーン、カタール、UAE、英国、EUの外務大臣、中国の外務副大臣、そしてスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表が一同に会し、シリア情勢への対応について協議、声明(ウィーン声明)を発表した。

al-Hayat, October 31, 2015

声明によると、参加国は、シリア国内の暴力を早急に停止させる方法について議論、実質面で意見の相違が見られたが以下9点で合意に達した:

1. シリアの統一、独立、領土保全、世俗性を基礎とする。

2. 国家機構を維持する。

3. シリア人の権利を、民族、宗教のいかんにかかわらず保護する。

4. 戦争終結に向けたあらゆる外交努力を行う。

5. シリア全土で人道的なアクセスを保証し、すべての参加国がシリア国内の避難民、自国の難民支援を増加させる。

6. ダーイシュ(イスラーム国)とそのほかのテロ組織を、国連安保理での決議および参加国の同意に基づき打倒する。

7. 2012年のジュネーブ合意と国連安保理決議第2118号に従い、参加国は、国連にシリア政府と反体制派の代表を招集させ、信頼でき、包括的で、非宗派主義的な統治を樹立し、新憲法制定と選挙実施を行うための政治プロセスを推し進める。選挙は国連の監視下で行われ、透明性、信頼性といった点で国際水準を満たす自由且つ公正なものなければならず、また難民を含むすべてのシリア人が参加する。

8. こうした政治プロセスはシリア人によって主導され、シリア国民がシリアの将来を決する。

9. 参加国は国連とともに、この政治プロセスと並行して、全国規模の停戦の方法を探求、実施する。

また声明では、参加国の間で意見が対立している点について引き続き協議を続けるため、2週間以内に外相会合を開催すること明記された。

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ジョン・ケリー米国務長官は会合の前に「楽観はできないが希望は持っている。前進できると希望しているが、それは困難だ」と述べた。

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サウジアラビアのアーディル・ジュバイリー外務大臣はBBC(10月30日付)に対して「アサドは政治プロセスのなかで退任するか、力によって排除されるだろう」と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は会合前に「テロリストに対するより効果的な戦いを行うことが優先事項でなければなれらない」としたうえで、「そのうえで政治的移行に向けたプロセスを構築すべきだ…。シリアの悲劇の大部分に責任があるアサドがシリアの未来になることはあり得ない」と述べた。

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一方、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は「過激なテロ集団に打撃を与えない限り、政治的解決にいたるのは困難だ」と述べた。

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ジョン・ケリー米国務長官は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣との共同記者会見で、会合において多くの点が合意されたと述べる一方で、「米、ロシア、イランがアサド大統領の進退について合意しないことを合意した」として、大統領の処遇をめぐる意見の相違が解消しなかったことを認めた。

一方、ラブロフ外務大臣は、「シリア国民がアサド大統領の進退を決定する」と述べた。

AFP, October 30, 2015、AP, October 30, 2015、ARA News, October 30, 2015、BBC, October 30, 2015、Champress, October 30, 2015、al-Hayat, October 31, 2015、Iraqi News, October 30, 2015、Kull-na Shuraka’, October 30, 2015、al-Mada Press, October 30, 2015、Naharnet, October 30, 2015、NNA, October 30, 2015、Reuters, October 30, 2015、SANA, October 30, 2015、UPI, October 30, 2015などをもとに作成。

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