東京でアラブ連盟、GCC、EU諸国などが参加するシリアの友連絡グループ会合が開かれるなか、シリア各地では「自由シリア軍浄化」「革命浄化」を訴えるデモが実施される(2012年11月30日)

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国内の動き

AFP(11月30日付)は、シリア各地で「自由シリア軍浄化」「革命浄化」を訴えるデモが実施されたと報じた。

アレッポ市シャッアール地区でのデモとされる映像(フェイスブック)では、「我々はイスラーム軍が必要だ。自由シリア軍は盗人だ」、「自由シリア軍よ、前線出ていて」、「人民は自由シリア軍の改革を望む」といったシュプレヒコールが叫ばれ、市街地を占拠する反体制武装勢力の退去が訴えられた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、29日夜以来インターネット、国際電話、携帯電話回線の遮断が続くなか、ダマスカス国際空港街道付近を軍が空爆、またアクラバー村、バービッラー市、ダーライヤー市、アルバイン市、バイト・サフム市周辺などで軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

地元調整諸委員会によると、戦闘はダマスカス国際空港西側で激しく行われており、反体制武装勢力は空港防衛の任務に就く軍の兵舎を砲撃、また「空港街道の第2陸橋から第4陸橋の区間を制圧した、という。

『ハヤート』(12月1日付)は、ダマスカスの外交筋の話として、軍による攻勢は、反体制武装勢力の寸断と、ダマスカス郊外県南東部の制圧を目的としている、という。

同外交筋は、「軍の砲撃が自由シリア軍戦闘員の寸断に成功したかどうかは分からないが。これまでの経験からすると、彼らはいずれにしてもすぐに復活する…。ダマスカス攻撃は最終段階に入っているのだと思う」と付言したという。

ダマスカス国際空港のギーダー・アブドゥッラティーフ社長は、AFP(11月30日付)に対して、「ダマスカス国際空港は通常通り動いている。空港か移動は100%安全だ」と述べた。

アブドゥッラティーフ社長は「昨日は…街道の状況悪化を受けて、運行中止を求める電報を送ったが、街道の事態が収拾したので、(現在は)まったく逆に運行再開を求める電報を送った」と付言した。

そのうえで、「アルジェリア航空、アラビーヤ航空、イラク航空、イラン航空、エジプト航空が予定通り離着陸を行い、モスクワ、アルジェ、ドバイ、クウェートからの便が午前中に空港に着陸した」ことを明らかにした。

しかし第23ゲートは「技術的理由」で閉鎖されている、という。

一方、国連のファルハーン・ハック副報道官は、ダマスカス国際空港に向かっていた13台の車輌からなるUNDOFの車列が何者かの銃撃を受け、オーストリア軍兵士2人が負傷した、と発表した。AFP(11月30日付)が報じた。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(11月30日付)が、イランのアーラム・チャンネルの放送用車輌が爆破された、と報じた。

アーラム・チャンネル事務所の監視カメラには、何者かが車輌に爆弾を仕掛けて、逃げ去る映像が映っていた。

死傷者はなかった。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団が、マヤーディーン市北部のウマル油田から軍が撤退することで、ダイル・ザウル市以東の軍事拠点のすべてを放棄したと発表した。

同監視団によると、11月4日、反体制武装勢力がワルド油田を制圧、11月18日には、ジャフラ油田を制圧、11月27日にはコノコフィリップ社の工場・油田で軍兵士45人の離反を受けて制圧していた、という。

なお同監視団によると、軍はダイル・ザウル県西部のティーム、マズラア、ヒラータ、マハーシュ、バシャリーの油田を依然掌握している、という。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(11月30日付)によると、カーミシュリー市で民主統一党人民防衛隊(YPG)とタイイ部族(アラブ人)の体制支持派の民兵が約1時間にわたって交戦した。

同報道によると、交戦は、市内の検問所が軍・治安部隊からYPGに移管されたことが原因だという。

一方、クルディーヤ・ニュース(12月1日付)によると、衝突は市内の女性連合本部の占拠を試みた体制支持派と、彼らの退去を求めた民主統一党の間で発生したという。

タイイ部族の戦闘員はムハンマド・ファーリス元人民議会議員が組織した。

ファーリス元議員はカーミシュリー市で人民保護諸委員会を設置、指導している。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(11月30日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市での民主統一党と自由シリア軍の捕虜交換の交渉が失敗に終わった、と報じた。

同報道によると、失敗の原因は、交渉場所であるラアス・アイン市中心部上空を軍のヘリコプターが4時間以上にわたって旋回していたため。

また交渉では、民主統一党が自由シリア軍によるラアス・アイン市・ダルバースィーヤ街道襲撃、西クルディスタン人民議会のラアス・アイン議長のアービド・ハリール暗殺を非難した。

一方、自由シリア軍は27日に民主統一党人民防衛隊(YPG)の戦闘員3人を釈放したにもかかわらず、民主統一党が自由シリア軍の戦闘員の釈放を行おうとしないと批判した。

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クッルナー・シュラカー(11月30日付)は、ヒラール・アサドが率いるシャッビーハ約200人が政権を離反したと報じた(未確認情報)。

レバノンの動き

『ハヤート』(12月1日付)などは、治安筋の話として、レバノン北部県トリポリ市出身のレバノン人戦闘員17人がヒムス市郊外で、シリア軍の要撃を受けて、殺害された、との情報が流れた。

別の治安筋によると、要撃で死亡したのは18~20人で、いつレバノンを出国したのは不明だという。

同消息筋によると、殺害された戦闘員のうち3人はファタハ・イスラームの戦闘員で、それ以外はサラフィー主義者で、「スンナ派救済」のためにシリアに潜入したのだという。

さらに別の消息筋によると、彼らは総勢25人でヒズブッラーに対抗するかたちで二手に分かれ、29、30日にシリアに潜入したが、潜入を監視されていた可能性が高く、要撃を受け、17人が死亡、8人が逃走した、という。

諸外国の動き

東京でシリアの友連絡グループ会合が開かれ、アラブ連盟、GCC、EU諸国など67カ国の参加、「国際社会、とりわけ国連安保理に…シリア政府への圧力を強化するため、早急且つ断固たる行動を責任をもってとるよう」呼びかける声明を出し、シリアへのさらなる制裁を呼びかけた。

会合冒頭で玄馬光一郎外務大臣は「国際社会が圧力を加えることが重要」、「国際社会による反政府勢力への支援が不可欠」などと述べ、アサド政権を含むすべての当事者の対話を通じた解決を定めたシリア問題をめぐる一連の決議や6月のジュネーブ会議での関係各国の合意を無視する意向を暗に示した。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は国連総会でシリア情勢について報告、そのなかで「現下の悲劇を終わらせ、国民の意思に応える新たなシリア」を建設するための政治プロセスが開始されなければ、シリアが「失敗国家」に転落すると警鐘を鳴らした。

ブラーヒーミー共同特別代表は、当事者どうしの暴力を停止させるため、「充分に教練された強力な監視機関を展開させ…、それは強大な平和維持軍を通じてよりよい方向へと組織され得る」との見方を示し、そのために安保理決議を採択する必要があると強調した。

また移行プロセスを成功させるうえで、反体制勢力の統合が重要だとし、シリア革命反体制勢力国民連立を「正しい方向への重要なステップ」と評価した。

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ロシアのアレクサンドル・グルシュコNATO代表は、ブリュッセルでのロシアNATO会合で、トルコの対シリア国境地域へのパトリオット・ミサイル配備に関して、「シリア情勢にNATOを関与させようとするあからさまな措置」と批判した。

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国連難民高等弁務官は、シリア赤新月社に登録されているヒムス市および郊外の国内避難民の数が25万人に達していると発表し、紛争当事者に、彼らが戦闘の「標的」とならずに避難するための「回廊」を設置するよう呼びかけた。

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ロイター通信(11月30日付)は、ハッカー集団アノニマスが、シリアでのインターネット通信の遮断に異議を唱え、シリア国外のサーバーを使用しているシリア政府関連のインターネットサイトにサイバー攻撃をかけるとの意思を表明したと報じた。

AFP, November 30, 2012、Akhbar al-Sharq, November 30, 2012、al-Hayat, December 1, 2012、Kull-na Shuraka’, November 30, 2012、al-Kurdiya News,
November 30, 2012, December 1, 2012、Naharnet, November 30, 2012、Reuters,
November 30, 2012などをもとに作成。

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