化学兵器禁止機関(OPCW)は声明を出し、シリア国内で8月にマスタード・ガスが使用されたことを示す確証を得たと発表した。
声明は、OPCWの調査チーム192人がシリア各地で化学兵器の使用に関して調査を実施したとしたうえで、8月21日にアレッポ県マーリア市に対して行われた攻撃に関して「非国家主体が化学兵器を使用したと思われる」と結論づけた。
声明によると、「この攻撃について、OPCWの調査チームは、少なくとも2人がマスタード・ガスを浴び、またこの化学物質によって幼児1人が死亡したことの確証を得ることができた」としている。
マーリア市は米トルコ両国政府が「安全地帯」を設置すると合意した地域の拠点都市で、8月以降、ダーイシュ(イスラーム国)とシャーム戦線などの戦闘が激化していた。
一方、OPCWは、2015年3月にイドリブ県でも、塩素などの有毒化学物質が1回以上武器として使用されたと結論づけた。
これについては、ヒューマン・ライツ・ウォッチが3月16日と31日にイドリブ県内の反体制派支配地域に対して塩素ガスを使用した攻撃が6回にわたって行われていたと指摘していた。
イドリブ県は、2015年3月に、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構、シャーム軍団などからなるファトフ軍によってほぼ全域が掌握された地域で、シリア軍との戦闘が続いている。
一方、OPCWは、2015年8月29日にダマスカス県ジャウバル区でシリア軍兵士が有毒ガスによる攻撃を受けたとのシリア政府の申し立てに関しては、「化学物質が武器として使用されたことと断定するにはいたらなかった」と発表した。
AFP(11月6日付)が伝えた。
AFP, November 6, 2015、AP, November 6, 2015、ARA News, November 6, 2015、Champress, November 6, 2015、al-Hayat, November 7, 2015、Iraqi News, November 6, 2015、Kull-na Shuraka’, November 6, 2015、al-Mada Press, November 6, 2015、Naharnet, November 6, 2015、NNA, November 6, 2015、Reuters, November 6, 2015、SANA, November 6, 2015、UPI, November 6, 2015などをもとに作成。
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