ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、エジプトのシナイ半島で10月31日に起きたロシア旅客機墜落事件について「原因は爆弾テロ」と断定したと発表、ダーイシュ(イスラーム国)掃討のためのシリア領内での空爆をこれまで以上に強化する考えを明言した。
大統領府によると、プーチン大統領は16日深夜、治安、国防担当の閣僚らによる緊急会議を招集し、この場で連邦保安局長官から、ロシア旅客機墜落事件に関して、飛行中の旅客機内で手製の爆弾が爆発し、機体が空中分解したことから、テロと明言できる、との報告を受けたという。
同長官は、テロと断定した根拠として、外国で作られた爆発物の痕跡が確認されたことなどを挙げたという。
この報告を受け、プーチン大統領はセルゲイ・ショイグ国防大臣に対し、ダーイシュ掃討を目的としたシリア空爆を強化するよう指示したという。
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ロシア国防省によると、ロシア軍参謀総長の命令を受け、ロシア空軍のTu-160、Tu-95MS、Tu-22M3長距離爆撃機が早朝、計34発の巡航ミサイルを発射し、シリア領内のダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃した。
長距離爆撃機によると攻撃はラッカ県、ダイル・ザウル県のダーイシュの施設、アレッポ県、イドリブ県に対して行われ、大規模武器弾薬庫、壕、教練キャンプなどの重要施設14カ所を破壊した。
また、ラタキア県フマイミーム航空基地に配備されているロシア軍戦闘機も65回の出撃を行い、36の施設(司令拠点6カ所、武器弾薬庫8カ所、教練キャンプ12カ所、ロケット弾・地雷製造工場4カ所、燃料貯蔵庫6カ所)を破壊した。
16日の作戦は、初日(16日)だけで出撃回数127回で、206の施設の破壊を目的とし、実際の空爆では倍以上の施設を破壊することに成功したという。
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なお、タス通信(11月17日付)によると、セルゲイ・ショイグ国防大臣はプーチン大統領に、シリア領内での空爆を倍増させたことを報告した。
またヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長がプーチン大統領に報告したところによると、ロシア軍によるシリア空爆は過去48時間で出撃回数が2,300回近くにおよび、また大統領の支持を受け、フマイミーム航空基地に戦闘機37機を増援することを決定したという。
AFP, November 17, 2015、AP, November 17, 2015、ARA News, November 17, 2015、Champress, November 17, 2015、al-Hayat, November 18, 2015、Iraqi News, November 17, 2015、Kull-na Shuraka’, November 17, 2015、al-Mada Press, November 17, 2015、Naharnet, November 17, 2015、NNA, November 17, 2015、Reuters, November 17, 2015、SANA, November 17, 2015、TASS, November 17, 2015、UPI, November 17, 2015などをもとに作成。
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