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アントゥーン・マクディスィー外務在外居住者省報道官は、トルコのダウトオール外務大臣の発言に関して、トルコおよび湾岸諸国がシリア国内での暴力停止をめざす国連の決議に反して、シリアの安定と治安を乱し、トルコ国民を破壊的な政策に巻き込んでいる、と厳しく非難した。
ダマスカス県では、SANA(10月30日付)によると、ルクンッディーン区でアブドゥッラー・ハーリディー空軍少将が反体制武装勢力に銃で暗殺された。
AFP(10月30日付)によると、ハーリド少将は空軍参謀本部のメンバー。
アブドゥッラー・ハーリディー空軍少将暗殺に関して、自由シリア軍ルクンッディーン殉教者大隊を名乗る勢力が犯行声明を出した。
一方、シリア人権監視団によると、軍がジャウバル区を空爆した。
同監視団によると、ダマスカス県内への空爆はこれが初めてだという。
さらに、ヤルムーク区で未明、反体制武装勢力とパレスチナ組織の民兵が激しく交戦した。
戦闘に関して、PFLP-GC幹部のアンワル・ラジャーはAFP(10月30日付)に、「武装テロ集団が午前2:30頃、難民キャンプへの潜入を試み…、我々が結成した人民諸委員会が侵入を防いだ…。戦闘は約1時間続いたが、死傷者は出なかった」と述べた。
シリア人権監視団によると、戦闘はまず、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市で反体制武装勢力と軍・治安部隊の間で発生、ヤルムーク区に戦火が拡大するなかで、PFLP-GCの民兵が軍・治安部隊とともに戦闘に参加した、という。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦するザマルカー町、ドゥーマー市、アルバイン市などを軍が空爆し、少なくとも5人が死亡した。
一方、SANA(10月30日付)によると、ハラスター市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。
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アレッポ県では、クルディーヤ・ニュース(10月30日付)などによると、アアザーズ市、アフリーン市、カスタル・ジンドゥー村などで、反体制武装勢力がヤズィーディー派のクルド人に対して脅迫、強盗、誘拐を行っていると報じた。
また、AFP(10月30日付)によると、クルド国境に近いクルド・ダー地方のヤーズィー・バーグ村周辺で、反体制武装勢力と民主統一党の人民防衛隊が交戦し、前者の戦闘員4人が死亡した。
一方、シリア人権監視団は、ハイヤーン町で反体制武装勢力に身柄構想されていたクルド人市民が拷問を受け、死亡したと発表した。
また同監視団によると、アレッポ市国立病院近くに空爆が集中するなか、反体制武装勢力が同市サビール地区のターリク・ブン・ズィヤード兵舎に再び攻勢をかけた。
他方、SANA(10月30日付)によると、アレッポ市のライラムーン交差点、ダウワール・トゥルカーウィー地区、マフラジャ・ラサーファ、シャイフ・ナッジャールなど、およびカフルナーハー村、タッル・リフアト市、フライターン市、アターリブ市、バーブ街道などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点、アジトなどを攻撃・交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
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ハマー県では、SANA(10月30日付)によると、サラミーヤ市郊外のタッル・ダッラ村で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
またミスヤーフ市郊外で身元不明の遺体8体が発見された。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダイル・バアルバ地区などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、同地区、ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区が砲撃を受けたほか、同市周辺が空爆を受けた。
ムバーラキーヤ村に対して、軍が空爆を行い、反体制武装勢力の戦闘員2人が死亡した。
一方、SANA(10月30日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ダイル・バアルバ地区、東ブワイダ村、アービル村、クタイナ市、カフルアーヤー農場などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(10月30日付)によると、フラーク市・ナーミル村を結ぶ街道に反体制武装勢力が仕掛けた爆弾2発が爆発し、近くを走行していた救急車の運転手1人、乗っていた看護師1人を含む3人が死亡した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市などにも軍が空爆を行った。
またワーディー・ダイイフ軍基地周辺では、軍・治安部隊と反体制武装勢力、シャームの民のヌスラ戦線が戦闘を続けた。
一方、アナトリア通信(10月30日付)などが、対トルコ国境に位置するアッラーニー村、ダウワーリー村の住民の話として、軍が自らの保有する対空兵器を、反体制武装勢力に奪われないよう破壊した、と報じた。
自由シリア軍国内合同司令部は声明を出し、アレッポ県アアザーズ市、アフリーン市、カスタル・ジンドゥー村などで暮らすヤズィーディー派のクルド人の安全を脅かすいかなる行為に対しても「鉄拳を下す」と発表した。
そのうえで自由シリア軍がこれらの地域でのマイノリティに対する犯罪に関与していないと断言した。
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クッルナー・シュラカー(10月30日付)は、反体制活動家のフアード・ハミーラが「シリア国民革命自由アラウィー派」と銘打ったHP上で「アラウィー派貧困層」に向けて公開書簡を発表、そのなかでダマスカス県マッザ86地区、アッシュ・ウルール地区、ダマスカス郊外県クドスィーヤー地区を砲撃するよう呼びかけ、宗派内対立を煽った、と報じた。
これらの地区は政権を支持するアラウィー派が多く住んでいる。
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ザマーン・ワスル(10月30日付)は、信頼できる治安筋の話として、アサド政権が崩壊した場合、離反した軍士官・兵士250人と4,000人の警察官が治安維持にあたるだろう、と述べた。
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AKI(10月30日付)によると、シリア国民評議会の「ダマスカス宣言」ブロックは、11月8日にカタールで予定されている大会で発足が予定されている最高意志決定機関の国民イニシアチブ委員会に関して、「国際社会、中東地域の当事者たちは、シリア国民評議会の役割を終わらせ、新たな政体を作りだそうとしている…。革命の終焉に位置する政治勢力に国を委ね、シリア人の要求を表現する真の勢力を遠ざけるというイラク・モデルを適用しようとしている」と批判した。
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『フォーリン・ポリスィー』(Cable版、10月30日付)は、米国務省高官やシリアの反体制活動家の話として、米国がシリア国内の反体制勢力との関係を強化し、武装組織や地元自治評議会のメンバーなどを包摂したかたちで新たな評議会の結成を後押ししていると報じた。
同報道によると、新評議会は、カタールのドーハで11月8日に予定されている反体制勢力の大会での結成がめざされており、バラク・オバマ政権はこれを暫定政府として位置づけようとしている、という。
欧米諸国が支援してきたシリア国民評議会は、この新評議会において一少数派として参加することになる、という。
米高官や反体制活動家らはこの動きを「リヤード・サイフ・プラン」と呼んでおり、サイフがこの新評議会の中心をなしている、という。
カタールの大会には、ロバート・フォード駐シリア米大使(現在米国内で勤務)が出席を予定しており、同大使は、新評議会の代表の配分に関して、国内の活動家を20人、シリア国民評議会メンバーを15人、そのほかの反体制勢力の代表を15人とすべきとの姿勢を強く示した、という。
また新評議会とは別に8人から10人のテクノクラートからなる執行機関が結成され、それが外国諸国政府との折衝を担当する、という案も提示されている、という。
アフバール・シャルク(10月31日付)によると、アレッポ県アイン・アラブ市(コーバーニー市)で、シリア・クルド国民評議会支持者らが抗議デモを行い、民主統一党の実効支配への異議を表明した。
デモはシリア・クルド国民評議会参加政党の事務所に掲揚されていた委任統治時代のシリア国旗を、民主統一党の当局が撤去したことを受けたもの。
これに対して、民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会のシールザード・ヤズィーディー報道官は、「我々はシリアの新国旗(委任統治時代の国旗)を独立旗とみなし反対はしていない。事件は、我々の一部のメンバーによる反発に過ぎず、事を大げさにする必要はない」と述べた。
また「アフリーン市への(自由シリア軍による)大規模攻撃が準備されており、一部の勢力が内乱を引き起こそうとしている…。クルド民族主義諸政党はこうしたこうした試みを阻止せねばならず、旗などを問題にしてはならない」と付言した。
カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、シリアの紛争を「内戦」と評するアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の姿勢を拒否、「国際社会の許可」のもとに「シリアの体制がその国民を殲滅するために行っている戦争」と述べ、自国のテロ支援を正当化した。
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サウジアラビアのイスラーム覚醒潮流のシャイフ、サルマーン・アウダは、自身のHPでイスラーム教徒らに対して、「リビア、イエメン、サウジ、イラク、エジプトから若者が(シリアに)渡り、体制と戦うことは、危機を増幅させ、アフガニスタンの危機を繰り返すことになる…。兵士が必要なのではない。資金と武器の支援が必要なのだ」と述べた。
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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は記者団に対して、「シリア政府が国民を殺し続ける限り、決して政府と対話を行わない」と述べた。
対話を拒否する理由としてダウトオール外務大臣はまた「現体制に正統性」を与えることになるからだと述べた。
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ヨルダン・ペトラ通信(10月30日付)は、対シリア国境のマアーンの砂漠地帯で総合治安局のパトロール隊が3台のトラックに分乗するシリア人61人を発見、身柄拘束したと発表した。
同報道によると、先週も、ヨルダン治安当局は「ハイテク」通信機器を携帯したシリア人7人を領内で逮捕している、という。
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イラン外務省報道官は記者会見で、シリア行きのイラン航空機のイラク当局による検査に関して、「イラク政府は米国の圧力に抵抗し、こうした行為を将来繰り返さないようにしなければならない」と警鐘を鳴らした。
AFP, October 30, 2012、Akhbar al-Sharq, October 30, 2012, October 31, 2012、AKI, October 30, 2012、thecable.foreignpolicy.com, October 30, 2012、al-Hayat, October 31, 2012、Kull-na Shuraka’, October 30, 2012、al-Kurdiya News,
October 30, 2012、Naharnet, October 30, 2012、Reuters, October 30, 2012、SANA,
October 30, 2012、Zaman al-Wasl, October 30, 2012などをもとに作成。
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