アサド大統領はフランスの右派系週刊誌『ヴァルール・アクチュエル(Valeurs Actuelles、http://www.valeursactuelles.com/)』のインタビューに応じ、フランス政府に対して「テロとの戦い」について真剣に語るよう呼びかける一方、二重基準に陥った米国に追随しないような政策への転換を希望すると述べた。
インタビューのアラビア語訳全文はSANA(http://www.sana.sy/?p=299369)に掲載された。
インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:
(アサド大統領は問題の一部であって、危機の解決策とはなり得ないとのフランソワ・オランド大統領の発言に関して)「オランドはシリア国民から、彼らの代理として話すことを任されているのか? 世界のどこかの政治家が「オランド大統領はフランスの大統領であってはならない」と言ったら、あなたはフランス人としてそれを受け入れますか? こうしたことはフランス国民への侮辱以外の何ものでもない。我々も同じように考えている。(オランド大統領による)こうした姿勢はシリア国民への侮辱以外の何ものでもない…。フランスはフランス革命の諸原則や遺産、すなわち民主主義や人権を誇りに思ってきたはずだ。民主主義における第1の原則とは、国民が自らの元首を決める権利を有するというものだ…。こうした発言はシリアの現実に影響を及ぼすことはないと考えている」。
「最近のフランスの政策は、米国の政策から独立していない。だから、(オランド大統領に)メッセージを送っても役には立たない。しかし、もしメッセージを送るのなら、こう言いたい。私はフランスの政策に転換が起こることを希望していると。まず彼(オランド大統領)がすべきは、現実的で、中東、そしてシリアに対して友好的な独自の政策への回帰だ。第2に、二重基準に代表される米国の手法から距離を置くことだ。民主主義に関わる問題で…シリア国民を支援したいと言うのであれば…、その前にサウジアラビアの国民をまず支援した方がいい…。シリアと民主主義をめぐる問題があるのに、なぜ世界最悪の国と良い関係を築くことができるというのか? サウジアラビアやカタールといったもっとも遅れた国とだ…。第3に…フランスの過去5年にわたる政策はフランス国民に良い結果をもたらしたのだろうか? 何ももたらしてはない」。
「フランスがテロとの戦いで真剣な対応をしなければ、テロを支援する国、あるいは政府、機関と協力するための時間を割くことはない。政策を転換し…、テロと戦う国々が集う同盟国の一部にならねばならない…。我々は、このような関係を構築することを望んでいる。フランスだけでなく、ほかのすべての国とだ」。
「テロについて語るとき、そこにあるのは一つの戦場だ。シリアの戦場、リビアの戦場、イエメンの戦場、そしてフランスの戦場というものはない…。数ヶ月前に発表したロシアとの同盟の原動力とはそうしたものだ…。シリアでテロと戦わなければ…、テロはどこでも起こるし、ロシアでもロシアでも起こるだろう…。シリアでテロと戦えば、ロシア、欧州、そしてそれ以外の大陸を守ることになる…。こうしたヴィジョンのもと…、1970年代、1980年代にはテロ組織であるムスリム同胞団と戦った。我々がテロとの戦いにおいて国際的な同盟を常に提唱するのは、テロが国境を承認せず、各国の対策をもろともしない。フランスがシャルリー・エブドー事件後にどんな対策を講じようと、今回のパリでの事件はこうした見方を裏付けている」。
(ウィーン・プロセスに関して)「もし外国の要請に従って何かをするかと言えば、答えは「いいえ」だ。私はそうしたことはしない。外国の要請どのようなものかとは別問題だ…。なぜなら彼らはシリア人の決定とは無関係だからだ。彼らがこれまでにやってきたのは、さまざまな方法でテロリストを支援することだけだ…。彼らがやっているのは、問題を作り出すことだけだ。彼らは解決策の一部などではない。私はシリア人として、シリアの意思にしか応えない…。シリアの意思について話すのであれば、シリア人の大多数の間である種の合意があるべきで…、シリア人が望むものを知る唯一の方法は投票箱だ…。大統領が権力の座に就いたり、退任するには、その国自体、その文明、国民を尊重しなければならない。それは憲法に従った政治プロセスを通じて行われるものだ。憲法こそが大統領を就任させ、退任させるのだ」。
「西側メディアが与えようとしている印象とは、この地域の問題がさまざまな社会集団、宗教、人種の間の内戦である、というものだ…。しかし、問題はそのようなものではない。なぜなら、シリア政府の支配下にある地域において、すべての社会集団が共存し、普通の生活を送っているからだ。彼ら(西側)が分割を望んでいるので、こうした社会集団の間に明確な線を引こうとするのだ…。こうした思考は極めて危険であり、我々はこうした分割をもたらすような者相手機温床が作られることを望んでいない」。
(移行期の選挙で国際監視団を受け入れるか、との問いに関して)「受け入れる。しかし、国際監視団は信用を欠いた国連の機関を意味しないと率直に言っておきたい。なぜなら、国連は欧米諸国に支配されてしまっている。国際的な監視団という場合、それはシリアの危機に対して偏った姿勢を示すことなく、またテロリストを支援したことのない当事国を意味する」。
「トルコは事態全体においてもっとも危険な役割を果たしている。トルコはテロリストにあらゆる支援を行ってきた…。アル=カーイダとつながりのあるシャームの民のヌスラ戦線を支援する国もあるし、ダーイシュを支援する国もある。しかし、トルコはこの二つ組織をはじめとする諸組織を同時に支援している…。トルコ政府の精神構造は100%同胞団的だ。政治的イスラーム…、すなわちイスラームとは何の関係もない日和見的イスラームに過度に関心を抱いている」。
「ダーイシュと戦う勢力と関係を結ばなければテロと戦うことはできない。テロを直接間接支援するような誤った政策を続けていては、テロと戦うことはできない」。
AFP, November 19, 2015、AP, November 19, 2015、ARA News, November 19, 2015、Champress, November 19, 2015、al-Hayat, November 20, 2015、Iraqi News, November 19, 2015、Kull-na Shuraka’, November 19, 2015、al-Mada Press, November 19, 2015、Naharnet, November 19, 2015、NNA, November 19, 2015、Reuters, November 19, 2015、SANA, November 19, 2015、UPI, November 19, 2015などをもとに作成。
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