ロシア空軍参謀本部作戦局長のセルゲイ・ルドスコイ中将は、トルコ軍戦闘機がロシア空軍戦闘機に対して何らの連絡、目視も行おうとしなかったことを示す客観的なデータがあると発表した(https://youtu.be/KGlJFoIBKQw)。
ルドスコイ中将によると、ロシア軍戦闘機はトルコ領内を侵犯しておらず、シリア領空(標高6,000メートルの上空)を飛行中に撃墜され、機体は国境から4キロ離れたシリア領内に墜落した。
搭乗員2人は脱出に成功したが、うち1人は降下後に殺害されたという。
搭乗員救出のため、ロシア空軍はMi-8ヘリコプター2機を出動させたが、うち1機が、違法な武装集団の軽火器による攻撃を受け、緩衝地帯に墜落、登場していた海軍兵士1人が死亡した。
戦闘機搭乗員の捜索は依然として続けられているという。
ロシア軍戦闘機がトルコ領内を侵犯していないことは、シリア空軍のデータでも確認できるという。
また、ラタキア県フマイミーム航空基地で受信されているレーダー偵察データには、トルコ軍戦闘機が攻撃時にシリア領内を侵犯したことが記録されているという。
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SANA(11月24日付)は、シリア軍消息筋の話として、トルコ軍戦闘機によるロシア軍戦闘機の撃墜に関して、シリアの主権へのあからさまな侵害であり、トルコ政府がテロを支援していることを示すものだと伝えた。
同消息筋によると、トルコは24日午前9時23分、シリアの主権をあからさまに侵害し、テロ組織ダーイシュ(イスラーム国)に対する戦闘任務を終え期間途中のロシア軍戦闘機をシリア領内で撃墜した。
脱出したロシア軍戦闘機搭乗員2人に関して、CNN-Turkチャンネルは、複数の地元筋の話として、1人がトルクメン人(トルコ語を母語とするシリア人)の反体制武装勢力に拘束されたと伝えた。
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ロシア国防省によると、駐アンカラ・ロシア大使館の国防駐在官は、トルコ側に関してロシア軍機撃墜への抗議の意を伝えた。
またロシア国防省によると、ロシア国防省は、シリア領内での空爆作戦実施当初より、トルコ国防省との間にホットラインを開設し、連携を試みてきたが、トルコ側の問題によりこのホットラインは有効に機能していなかった。
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ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、ヨルダンのアブドゥッラー2世国王との会談のために滞在していたソチで、トルコ軍戦闘機によるロシア軍戦闘機撃墜事件に関して「重大な結果」を招くことになるだろうと述べた。
プーチン大統領は事件に関して「テロリストの共犯者から背中から刺された」としたうえで、「今日起きた悲劇的な出来事はロシア・トルコ関係に深刻な影響を及ぼすことになるだろう」と述べた。
また「我々の航空機はトルコ軍のF-16戦闘機からの空対空ミサイルによってシリア領内で撃墜された。同機はトルコ国境から4キロ離れたシリア領内に墜落した…。我々のパイロットも航空機もトルコを脅かしてはいなかった」と主張、「我々はこうした犯罪に寛容ではいられない…。我々は国際社会が共通の敵に対して一致団結することを期待している」と強調した。
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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、シリア情勢への対応を協議するために25日に予定していたトルコ訪問を中止した。
11月末に予定されているレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領のロシア訪問が実現するかは依然不透明。
AFP, November 24, 2015、AP, November 24, 2015、ARA News, November 24, 2015、Champress, November 24, 2015、al-Hayat, November 25, 2015、Iraqi News, November 24, 2015、Kull-na Shuraka’, November 24, 2015、al-Mada Press, November 24, 2015、Naharnet, November 24, 2015、NNA, November 24, 2015、Reuters, November 24, 2015、SANA, November 24, 2015、UPI, November 24, 2015などをもとに作成。
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