アサド大統領はチェコのテレビ局の単独インタビューに応じた。
インタビューは英語で行われ、映像は大統領府がYoutube(https://youtu.be/XHsCn_q69LI)で、また英文、アラビア語訳文はSANA(http://sana.sy/en/?p=63209、http://www.sana.sy/?p=306139)が公開した。
インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:
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「この職(眼科医としての職)ないしはそれ以外の外科医とシリアの現状を結びつけるとするのなら、それは意思に関わっているということだろう…。我々はの仕事は命を助けることだ。流血があれば、国を守ろうとすべきだ。軍を用いて国を守るべきだ…。これ(25万人あまりとされる犠牲)は、地域諸国、そして西側が支援する多くのテロリストがもたらした結果だ」。
「ロシアの(空爆)参加、あるいはテロとの戦いの最前線に立つと宣言したことこそ、もっとも重要なことだ。それはテロに対する実質的な取り組みだ。一方、パリでは、フランスはさまざまなかたちでダーイシュを攻撃するなどという発言で、政治的なレベルでフランス人の感情をなだめようとしているだけだ…。フランスはパリでの攻撃以前には真剣に取り組んでいなかったということか?… これに対して、ロシアはテロと真剣に戦っており、シリア軍との間には連携がなされている」。
「有志連合の空爆当初から…、ダーイシュは拡大し、世界中でのメンバー獲得は増大していった。一方、ロシアがいわゆるテロとの戦いに参加して以降、ダーイシュ、シャームの民のヌスラ戦線、そしてそれ以外のテロ組織も縮小している…。なぜなら(シリア軍との)連携がなされているからだ…。シリアにおける主要な(軍事)勢力とはシリア・アラブ軍、そしてもちろん政府なのだ」
(フランスによる「テロとの戦い」に関して懐疑的かとの問いに対して)「懐疑的だ…。テロリストに直接支援し、世界におけるテロのもっとも熱狂的な支持者であるサウジアラビアと同盟を結びながら、テロと戦うことなどできない…。彼ら(フランス)は、サウジアラビア、カタール、そしておそらくそれ以外の国を通じて武器売却が行われていることを当然知っている」。
(トルコ軍によるロシア軍戦闘機撃墜事件はフランスの「テロとの戦い」に悪影響を及ぼすかとの問いに対して)「そうは思わない…。ロシアの介入が現地のバランスを変化させたために、エルドアンは正気を失い、容赦ない行動に出たのだ。すまり、エルドアンの挫折、すなわち彼のテロ組織の挫折は、彼の政策の終焉を意味している」。
「我々が置かれている現状を踏まえると、我々には彼ら(ダーイシュを含むテロ組織)と直接戦う以外に道はない。しかしそれだけでは不十分だ。もし彼らを打ち負かしたいのなら、サウジアラビアやカタールの支援のもと、主にトルコを経由してくる彼らの物資、兵站、資金、戦闘員を断ち切らねばならない…。現下の問題は、我々がテロリストと戦っているなか、彼らが主に地域諸国から無制限に物資を受け取ってとり、西側はそれを支援、あるいは黙認していることだ」。
「我々は武装した反体制派、軍事的反体制派、あるいは武器を持った穏健な反体制派という概念は認めない。こうした勢力は反体制派ではなく、テロリズムだ。我々にとって反体制派とは、シリア国内であれ、国外であれ、政治的な運動を意味する…。また反体制派の別の側面として、愛国的でなければならず、フランス、カタール、サウジアラビア、米国、英国といった国が作るような組織であってはらならい・シリアでシリア人が作る組織でなければならない…。テロを打ち負かすというのは、政治プロセスの道から障害を取り除くということだ…。もし政治プロセスを始めようとするのであれば、それ(テロ撲滅)から始めねばならない」。
「(ウィーン・プロセスで推し進められている)政治プロセスには2つの側面がある。一つは政治的な反体制派に対処すること、もう一つはこれらの組織(武装集団)に対処することだ。シリアで和解プロセスを呼びかけるのは、彼らが武器を捨て、通常の生活に戻り、政府が恩赦を与えてからだ…。しかしダーイシュ、ヌスラ戦線、そしてアル=カーイダの分派…とはいかなる和解も困難且つ不可能だ」。
「(現下の紛争が)宗派的な要素によると考えることは正しくない…。それは実際には、同じアジェンダを持つさまざまな地域および国際社会の勢力の支援を受けた反乱者との戦いだ。彼らは、シリアの政府と国家を転覆し、シリア国民のことを顧みずに大統領、政府、政治制度を変えたいと考えているだけだ…。実際のところ、それはシリア国民の大多数の支持を受けた政府と、これらの国の支援を受けた傭兵の戦いだ」。
「自国民を殺している人間が…、なぜ5年間も(国民の)支持を受け、(大統領の)座にとどまることができるというのか?」
(シリアからの難民流出に関して)「非常に寂しく感じている…。しかし、我々はその原因について対処しなければならない。ヨーロッパの人々はなぜ彼らが去ったのかと質問してくるが、それには幾つもの理由がある。第1に、テロリストが彼らをあらゆる場所で攻撃している…。第2に、欧州の制裁がある…。多くの人々がシリアを去ったのは、彼らがここではもはや生活できなくなり、生活の基本的ニーズを失ったからだ…。しかし私が彼らを失望させたのではない。私は彼らのインフラを破壊してはいないし、殺戮や破壊のためにテロリストに武器を供与してこともない。問題は誰がそうしたのかだ。西欧諸国、サウジアラビア、そしてカタールだ」。
「(欧州に押し寄せる)難民の多くはシリア人ではない。シリア人難民に関して言うと…、その大多数は良いシリア人で、愛国的で、普通の人々だ。彼らのなかにテロリストは紛れ込んでいるのだ」。
「(守るべきもっとも尊いものは)世俗主義だ。なぜならシリアはるつぼだからだ…。シリアの世俗主義は、宗教、宗派、エスニシティの自由と伴っている…。その次に穏健さだ…。穏健さなくして、るつぼは成り立たない」。
「私は自分の地位には関心がない。今も、そして将来もそれにはこだわっていない。大統領になる前もそうしたことは気にとめていなかった…。それはシリア人が何を望むかと関係している。戦争のただなかで、私が去るべきだとシリア国民が言わなければ、いかなる理由でも私は退任はしない。戦時下において、自分の国を守るために自分に与えられた仕事をしなければならない。そうでなければ、裏切り者だ…。選挙が行われ、彼らが私を望むと込めれば、私は彼らを喜んで代表するだろう。彼らが望まないと決めれば、私は喜んで去るだろう」。
AFP, December 1, 2015、AP, December 1, 2015、ARA News, December 1, 2015、Champress, December 1, 2015、al-Hayat, December 2, 2015、Iraqi News, December 1, 2015、Kull-na Shuraka’, December 1, 2015、al-Mada Press, December 1, 2015、Naharnet, December 1, 2015、NNA, December 1, 2015、Reuters, December 1, 2015、SANA, December 1, 2015、UPI, December 1, 2015などをもとに作成。
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