シリア紛争の政治的解決に向けたシリア政府と反体制派の代表による和平会議「ジュネーブ3」会議が、当初の予定(25日)より4日遅れて、スイスの首都ジュネーブで開始された。
バッシャール・ジャアファリー国連代表大使を団長とするシリア政府代表団はジュネーブでスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表と会談した。
複数の国連筋によると、ジャアファリー国連代表大使は会談で、シリアの統合、独立、主権の維持に努めるとの姿勢を改めて示すと共に、「テロ組織を庇護し、これらの組織が国際テロ組織に認定されることを拒否する勢力」が反体制派の代表のなかに含まれていると指摘した。
ジャアファリー国連代表大使は、「穏健な反体制派」と名づけられた勢力が外国のテロリストと結託し、シリア領内で代理戦争を行っているとしたうえで、国連安保理での諸決議は、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線、そしてこれらの組織とつながりがあるテロ組織、具体的にはシャーム自由人イスラーム運動を国際テロ組織に指定していると主張した。
これに対して、デミストゥラ共同特別代表は、シリア人どうしの交渉を通じた危機の政治的解決が必要だとの見方を改めて示したという。
また、デミストゥラ共同特別代表は会談後、シリア政府、反体制派代表との個別協議が3~4日続くとしたうえで、反体制派に対して「無条件」でのジュネーブ3会議への参加を呼びかけた。
ジャアファリー国連代表大使はしかし、シリア政府が現下の危機の政治的解決をめざす対話に対して真摯に取り組む意思を表明した。
SANA(1月29日付)が伝えた。
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クッルナー・シュラカー(1月29日付)などによると、シリア政府代表団は以下の通り:
1. 団長:バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表(駐ニューヨーク)
2. フサームッディーン・アーラー駐ジュネーブ国連シリア大使
3. アフマド・アルヌース外務在外居住者省法務顧問
4. アムジャド・イーサー大統領府報道局長
5. ウマル・ウースー(シリア・クルド人国民イニシアチブ代表、人民議会議員)
6. アフマド・クズバリー
7. ムハンマド・ハイル・アッカーム
8. アマル・ヤーズジー
9. ハサン・バフリー
10. アムジャド・イーサー
11. アンマール・アルサーン
12. ジャミーラ・シュルバジー
13. イリヤース・シャーヒーン
14. サーミル・バリーディー
15. ウサーマ・アリー
16. ルワイユ・シュルバジー
(17. 統括者(ダマスカスから代表団を統括):ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣)
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なお、『ハヤート』(1月30日付)は、西側高官の話として、デミストゥラ共同特別代表が、ジュネーブ3会議の交渉で「人道問題、停戦、そして政治プロセス」の三つを同時並行で進める意向だと伝えた。
これに対して、米国は、「停戦」、「人道支援」を優先させ、シリア政府と反体制派の和平プロセスは次回以降のラウンドで審議することを望んでいる一方、イランは、「停戦」、「挙国一致内閣樹立」、「憲法改正」、「総選挙」という順序での和平プロセスをめざしているという。
AFP, January 29, 2016、AP, January 29, 2016、ARA News, January 29, 2016、Champress, January 29, 2016、al-Hayat, January 30, 2016、Iraqi News, January 29, 2016、Kull-na Shuraka’, January 29, 2016、al-Mada Press, January 29, 2016、Naharnet, January 29, 2016、NNA, January 29, 2016、Reuters, January 29, 2016、SANA, January 29, 2016、UPI, January 29, 2016などをもとに作成。
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