米・ロシアによるシリア領内での敵対行為停止合意が発効し、「グリーン・ゾーン」でシリア軍、反体制派114組織が戦闘を停止、ロシア軍も爆撃を全面停止(2016年2月27日)

米・ロシアによるシリア領内での敵対行為停止に関する合意に従い、27日0時にシリア領内で、ダーイシュ(イスラーム国)、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、そして国連安保理が定めるその他のテロ組織を除く当事者間の停戦が発効した。

停戦発効に先立ち、シリア政府、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊、シリア民主軍、リヤド最高交渉委員会が合意受諾を米、ロシアに通達した。

合意を受諾した反体制派は、ロシア側に通達を行ったシリア民主軍、砂漠の鷹旅団(ハサカ県南部でダーイシュ(イスラーム国)と戦うアラブ人部族の民兵)など17組織と、米国側に通達を行ったリヤド最高交渉委員会傘下の97組織の合わせて114組織。

しかし、114組織すべての組織名を米、ロシア双方は公表していない。

al-Hayat, February 28, 2016

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ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、シリア時間の27日0時に発効した米・ロシアによるシリアでの敵対行使停止合意の実施状況の進捗に関して発表した。

コナシェンコフ報道官によると、合意に従い、ロシア空軍は、ロシアが戦闘停止地域と定めた「グリーン・ゾーン」での空爆を停止した。

また、合意発効に先立ち、シリア政府と反体制武装集団17組織がシリア駐留ロシア軍司令部(フマイミーム航空基地)に対して合意を受諾する旨を通告した。

反体制武装集団のなかにはシリア民主軍、砂漠の鷹旅団が含まれているという。

また、ロシア側は、停戦監視を目的とした当事者和解調整センターをフマイミーム航空基地に、そして米国側は、ヨルダンの首都アンマンに同様のセンターを設置、ロシア側センターの司令官にはセルゲイ・クラェンコ准将が就任した。

両センターでの情報交換において、ロシア側は米国側に26日付で、シリア領内での停戦区域、非停戦区域を定めた戦略地図を提示、そのなかでシリア政府支配地域、西クルディスタン移行期民政局支配地域、ダーイシュ支配地域、シャームの民のヌスラ戦線の支配地域、そしてそのほかの勢力の支配地域を明示した。

これに対して、米国側は、停戦に応じる反体制武装集団のリスト(6,111人)と、攻撃対象から除外すべき住宅地域74カ所のリストを提出した。

ロシア側は、誤爆を回避するため、27日はシリア領内での空爆を停止した。

これに関して、クラェンコ准将はロシア軍がヒムス県、ハマー県の34都市・村に対する空爆を現在停止していることを明らかにした。

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米バラク・オバマ米大統領は26日、米・ロシアによるシリア領内での敵対行為停止合意の発効に関して、NSC(国家安全保障会議)後の記者会見で、「誰も幻想は抱いていない。我々は落とし穴があるかもしれないと認識しているし、懐疑的なる充分な理由がある…。しかし、我々がこの恐るべき紛争を外交を通じて終わらせようとしなければ、歴史が我々に審判を下すことになるだろう」と述べた。

オバマ米大統領はまた「世界は監視している」と付言、シリア政府やロシア軍が、ダーイシュ(イスラーム国)やアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線以外の組織への攻撃を再開しないよう警鐘を鳴らした。

なお、『ハヤート』(2月28日付)によると、米国側はロシア側が提示した地図における「グリーン・ライン」に、ファトフ軍の支配地域であるイドリブ県全土、そしてイスラーム軍が有力なダマスカス郊外県東グータ地方が含まれていることを不服としているという。

ファトフ軍は、アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線、アル=カーイダとの関係を否定するアル=カーイダ元メンバーらの組織シャーム自由人イスラーム運動、「穏健な反体制派」の連合組織。

またイスラーム軍は、東グータ地方、なかでもブルジュ・スルターン村一帯で、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動と合同作戦司令室を設置している。

米国をはじめとする欧米諸国、そしてサウジアラビア、トルコ政府は、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍を「テロ組織」とみなしていないが、シリア、ロシア両政府はこの二組織を「テロ組織」と断じている。 

AFP, February 27, 2016、AP, February 27, 2016、ARA News, February 27, 2016、Champress, February 27, 2016、al-Hayat, February 28, 2016、Iraqi News, February 27, 2016、Kull-na Shuraka’, February 27, 2016、al-Mada Press, February 27, 2016、Naharnet, February 27, 2016、NNA, February 27, 2016、Reuters, February 27, 2016、SANA, February 27, 2016、UPI, February 27, 2016などをもとに作成。

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