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シリア国民救済大会がダマスカス(ウマイヤ・ホテル)で開会し、反体制政治組織、野党、連立与党の代表が出席した。
参加したのは、民主的変革諸勢力国民調整委員会をはじめとする反体制組織や、変革解放人民戦線に加盟する連立与党、およびアンサール党など野党のあわせて20団体。
在外の反体制組織・活動家や反体制武装勢力の代表は参加しなかった。
またアズマトゥッラー・クルモハンマドヴ駐シリア・ロシア大使、中国大使代表、エジプトの活動家のサラーフ・ダスーキー、ヨルダンの活動家のライス・シュバイラートも参加した。
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大会実行委員長のラジャー・ナースィルは大会に関して「祖国と国民を救済するための一選択肢ではなく、唯一の道」と強調し、「包括的、抜本的変革」を主唱した。
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アブドゥルマジード・マンジューナは民主的変革諸勢力国民調整委員会を代表して、「平和的方法に則り、暴力、宗派主義、軍事介入を拒否する」と表明し、カイロで反体制勢力が採択した「国民誓約文書」と「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」に従ったかたちでの変革の必要を訴えた。
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また20日にダマスカス国際空港からの帰路で失踪した民主的変革諸勢力国民調整委員会メンバーのマーヒル・タッハーンの母親も出席し、「我々は3人の同僚が誘拐されたことの責任が治安当局にあると追及する」と述べた、という。
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一方、クルモハンマドヴ駐シリア・ロシア大使は、「外国の介入を排除したシリア人自身による平和的解決策案出の必要」を強調し、すべての当事者が暴力を抑止し、政治プロセスに入るよう呼びかけた。
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民主的変革諸勢力国民調整委員会がフェイスブックを通じて発表したところによると、大会初日にあたる22日の会合では、「国民誓約文書」の採択をもって閉会した。
シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は声明を出し、大会参加をボイコットし、延期を呼びかけた。
その理由として、フサイン代表が、大会が国際社会にその正統性を求めてもらうための演壇に成り下がり、既存の選択肢の一部を排除しているからだと述べた。
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自由シリア軍の報道官はロイター通信(9月24日付)に対して、「これは真の反体制勢力ではない…。自由シリア軍はこれらの集団とは関係を持たないだろう…。それは国際社会を惑わす愚かな計画に過ぎない」と述べ、大会を非難、不参加を表明した。
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自由シリア軍のアフマド・アブドゥルワッハーブ大佐は対トルコ国境の村でAFP(9月23日付)に対して、「外国の支援があろうがなかろうが、我々は前進できる。体制崩壊は数年ではなく、数ヶ月という時間の問題だ」と述べた。
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『ハヤート』(9月24日付)によると、自由シリア軍最高軍事評議会のムスタファー・シャイフ准将は、国内への指導部移転を発表したリヤード・アスアド大佐の声明に関して、「この移転は司令部を戦闘員に近づけるだろう」と述べた。
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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長、ジョルジュ・サブラー報道官、ムハンマド・ヌール・ダッシャーン駐イタリア代表は、ローマ法皇ベネディクト16世とローマ近郊の避暑地で面会し、シリア情勢などを記した書簡を提出した。
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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は訪問中のローマで、国内の反体制活動家に対して、現地の反体制勢力への支援を行わなければ、政治活動は真の影響力を失う、と警鐘を鳴らした。
また反体制武装勢力に対しては、政治的な組織が確立することを待たず、部隊の統合を試みるよう呼びかけた。
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『シャルク・アウサト』(9月24日付)はシリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長が国連総会の招待状を受けとったと報じた。
スィーダー事務局長は出席するかどうかいまだ決めかねているとのこと。
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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官は声明を出し、アラウィー派に対して「法的追及は犯罪者だけにおよぶ」と述べ、体制転換に懸念を抱かないよう呼びかけた。
ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍がブーカマール市の複数カ所を空爆し、地上部隊が市内で戦闘を行った。
同監視団のアリー・アブドゥッラー代表は、AFP(9月23日付)に対して、「反体制武装勢力は戦略要衝であるこの町(ブーカマール市)の制圧を試みている」と述べ、同市が反体制勢力の手に落ちていないことを認めた。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍がヒムス市のジャウバル区、スルターニーヤ地区、バーブ・アムル地区を空爆した。
一方、SANA(9月23日付)によると、クサイル市近郊のシヤーハート市、タッル・サルカジャ市、ハイダリーヤ村、ガッサーニーヤ村、ラスタン市近郊のガントゥー市、スルターニーヤ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、軍がトルコ国境に近いクルド山一帯を空爆した。
またアレッポ市では、反体制武装勢力がブスターン・カスル地区、ジャミーリーヤ地区などの軍・治安部隊を「砲撃」している、という。
一方、自由シリア軍のアフマド・アブドゥルワッハーブ大佐はアウラム・クブラー町の航空基地を攻撃し、戦闘機2機を破壊したとAFP(9月23日付)に語ったが、事実確認はとれていない。
これに対して、SANA(9月23日付)は、アターリブ市、カブターン・ジャバル村、バヤーヌーン町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、戦闘員多数を殺傷したと報じた。
またアレッポ市のハッザーン地区、スライマーン・ハラビー地区、マルジャ地区、ハナーヌー地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、戦闘員を殺傷、装備を破壊したという。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊の砲撃で9人が死亡した。
『ディヤール』(9月23日付)は、21日夜にベカーア県バアルベック郡アルサール地方に潜入した自由シリア軍の戦闘員の数が650人に達する、と報じた。
またこのほかにも武装した反体制活動家120人がアルサール地方におり、アサド政権と反体制武装勢力の「新たな前線」の様相を呈していると評した。
国連の潘基文事務総長とアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は国連総会に合わせて共同声明を出し、シリア情勢を「地域の治安にさらなる脅威」を与えていると警鐘を鳴らし、同国の人権状況改善のための協力を国連加盟国に求めた。
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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領は、就任後初のテレビ・インタビューに応じ、そのなかで、イランをシリア問題の「主要な当事者」と位置づけ、危機解決において役割を果たし得ると述べた。
AFP, September 23, 2012、Akhbar al-Sharq, September 23, 2012, September 25, 2012、al-Diyar, September 23, 2012、DP Press, September 23, 2012、al-Hayat, September 24,
2012, September 26、Kull-na Shurakaʼ, September 23, 2012、al-Kurdiya News,
September 23, 2012、Naharnet.com, September 23, 2012、Reuters, September
23, 2012、SANA, September 23, 2012、al-Sharq al-Awsat, September 24, 2012、Syria News, September 23, 2012などをもとに作成。
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ナハールネット(11月21日付…
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