反体制武装集団10組織が共同声明を出し、「不正への報復」の戦いと銘打って、シリア軍に対する反転攻勢を開始すると発表した。
共同声明は「声明第1号」と名づけられ、リヤド最高交渉委員会を脱会したアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、同委員会に残留する非アル=カーイダ系のイスラーム軍、ムジャーヒディーン軍、シャーム・イスラーム運動、シリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団、「穏健な反体制派」と目される第一沿岸師団、アンサール・シャーム大隊、ナスル軍、イッザ軍、北部師団が名を連ねた。
声明では「シリア軍による避難民キャンプを標的とした度重なる(停戦)違反、住宅地に近い拠点からの断続的砲撃に対抗し、我々は合同作戦司令室を設置し、アサド軍の違反への報復として、「不正への報復」の戦いを開始することを発表する」と宣言された。
声明では、反転攻勢を行う戦線については明言されていなかったが、イスラーム軍のイスラーム・アッルーシュ報道官はAFP(4月18日付)に、声明が「ラタキア県郊外に関するものだ」と述べた。
一方、第一沿岸師団消息筋は、AFPに対し、「不正への報復」の戦いは、18日午前6時に開始され、戦闘はラタキア県キンサッバー町一帯で激しく行われているとしたうえで、「我々は停戦発効前夜にシリア軍が制圧したトルクメン山、クルド山一帯の奪還をめざしている」と述べた。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、「不正への報復」の戦いの開始発表を受け、反体制武装集団がカッバーニー村、マリク峰、アックー村など県北部一帯でシリア軍、国防隊、外国人戦闘員と交戦、マリク峰、ナフシャッバー村を制圧した。
戦闘に参加したのは、「穏健な反体制派」と目される第一沿岸師団、第2沿岸師団、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線、非アル=カーイダ系のアンサール・シャーム、トルクメン・イスラーム運動など。
なお、ラタキア県での戦闘に関して、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(4月18日付)に対して、「国内外からの兵站支援が容易」である点を挙げた。
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ハマー県では、「不正への報復」の戦いの開始が発表されたのを受け、反体制武装集団がシリア軍に対する反転攻勢を開始し、ラタキア県境のガーブ平原一帯でシリア軍と交戦した。
シリア人権監視団によると、戦闘は、ダーイシュ(イスラーム国)との関係が取りざたされるジュンド・アクサー機構、トルコが後援するトルキスターン・イスラーム党などからなるジハード主義武装集団が、ハークーラ村、ヒルバト・ナークース村一帯のシリア軍拠点複数カ所を攻撃したのをきっかけに始まり、ジュンド・アクサー機構側はヒルバト・ナークース村の大部分、ジューリーン村のシリア軍基地に近い丘(タッラト・ダッバーバート)を制圧した。
これに対して、シリア軍は同地一帯を激しく砲撃、また戦闘機、ヘリコプターを動員し、ヒルバト・ナークス村、マンスーラ村、カーヒラ村、タッル・ワースィト村、クライディーン村、アンカーウィー村、マナーラ村、ハークーラ村一帯を60回以上にわたり空爆した。
シリア軍はこのほかにも、カルアト・マディーク町、ジスル・バイト・ラース村、ハウワーシュ村に対して砲撃を行い、ハウワーシュ村では児童1人が死亡した。
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ヒムス県では、クッルナー・シュラカー(4月18日付)によると、シリア軍がタッルドゥー市、ラスタン市などを空爆し、女性、子供を含む5人が死亡した。
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アレッポ県では、『ハヤート』(4月19日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市内各所を砲撃し、住民8人が死亡、10人が負傷した(シリア・アラブ・テレビ(4月18日付)によると、死者数は22人)。
AFP, April 18, 2016、AP, April 18, 2016、ARA News, April 18, 2016、Champress, April 18, 2016、al-Hayat, April 19, 2016、Iraqi News, April 18, 2016、Kull-na Shuraka’, April 18, 2016、al-Mada Press, April 18, 2016、Naharnet, April 18, 2016、NNA, April 18, 2016、Reuters, April 18, 2016、SANA, April 18, 2016、UPI, April 18, 2016などをもとに作成。
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