シリア軍の「講和規定」終了を受け、アレッポ市北部でシリア軍と反体制派の戦闘再び激化(2016年5月12日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍による「講和規定」適用期間の終了(5月11日24時)を受け、ハンダラート難民キャンプ一帯などアレッポ市北部の反体制武装集団支配地域への攻撃を再開した。

シリア軍は、アレッポ市東部とアレッポ市北部郊外を結ぶ街道一帯に対して集中的に攻撃(空爆、地対地ミサイルと思われる砲弾での砲撃)を加え、無人地帯の一部を制圧したという。

一方、クッルナー・シュラカー(5月12日付)は、シャーム自由人イスラーム運動消息筋やナスル軍広報局や筋の話として、この戦闘でクドス旅団(パレスチナ人)戦闘員やイラン人戦闘員多数が死亡したと伝えた。

シリア軍はまた、カフルナーハー村を空爆し、住民3人が負傷、さらにマンビジュ市近郊のマフドゥーム村に対しても空爆を行い、子供2人が負傷した。

シリア軍はこのほかにも、アナダーン市を砲撃、戦闘ヘリコプターがフライターン市各所に対して「樽爆弾」で空爆を行った。

アレッポ市南部郊外では、戦闘機(所属明示せず)が、ハーン・トゥーマーン市一帯を空爆した。

これに対して、ジハード主義武装集団は、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアレッポ市シャイフ・マクスード地区などを砲撃した。

このほか、SANA(5月12日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市ラームーサ地区、サイフ・ダウラ地区、ハムダーニーヤ地区、マイサルーン地区を砲撃し、女性1人を含む6人が死亡した。

Kull-na Shuraka’, May 12, 2016

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が東グータ地方のダイル・アサーフィール市およびその周辺、リーハーン農場、ドゥーマー市一帯を空爆、砲撃した。

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イドリブ県では、SANA(5月12日付)によると、ファトフ軍に属す反体制武装集団が、マアッラトミスリーン市の拠点からカファルヤー町を砲撃し、1人が負傷した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月11日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はアレッポ県(アレッポ市ザフラー地区)、ダマスカス郊外県(マイダアー町、アルバイン市、ザブディーン村、ハラスター市)、ダマスカス県(ジャウバル区)で発生し、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍が砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は524件。

AFP, May 12, 2016、AP, May 12, 2016、ARA News, May 12, 2016、Champress, May 12, 2016、al-Hayat, May 13, 2016、Iraqi News, May 12, 2016、Kull-na Shuraka’, May 12, 2016、al-Mada Press, May 12, 2016、Naharnet, May 12, 2016、NNA, May 12, 2016、Reuters, May 12, 2016、SANA, May 12, 2016、UPI, May 12, 2016などをもとに作成。

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