ISSG(国際シリア支援グループ)外相級会合がオーストリアの首都ウィーンで開かれ、米、ロシア、サウジアラビア、トルコ、イランなどの外務大臣、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表が出席し、シリア情勢、とりわけ米・ロシアによる敵対行為禁止合意の遵守適用の方途について意見を交わした。
会合後発表された共同声明によると、会合に参加したのは、アラブ連盟、オーストラリア、カナダ、中国、エジプト、EU、フランス、ドイツ、イラン、イラク、イタリア、日本、ヨルダン、レバノン、オランダ、OIC、オマーン、カタール、ロシア、サウジアラビア、スペイン、トルコ、UAE、英国、国連、米国。
うち、オーストラリア、カナダ、日本、スペインが今回の会合から新たにISSGに正式参加した。
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『ハヤート』(5月18日付)が複数の消息筋から得た情報によると、5時間に及ぶ会合では、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣ら一部の参加国が、ロシアが反体制派を空爆していると非難する一方、こうした批判に異議を唱える国々が、ヌスラ戦線とつながりがある反体制派の「解体」を迫り、非難の応酬が行われたという。
また『ハヤート』(5月18日付)によると、会合に参加していたサウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務大臣は、ケリー米国務長官との個別会談後、「アサドは、政治的解決によってであれ、力によってであれ、権力の座から去るだろう」としたうえで、アサドが停戦に応じなければ、別の選択肢を考慮しなければならない」と述べた。
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共同声明によると、参加国は、敵対行為停止の重要性を強調、5月9日の米・ロシアによる敵対行為停止合意遵守に向けた取り組み強化に関する合意に歓迎の意を示すとともに、当事者に合意の完全遵守を求めた。
参加国はまた、あらゆる当事者による無差別攻撃を非難するとともに、シリア政府による兵器の無差別使用を回避しようとする動きを留意、その遵守を求めた。
そのうえで、シリア軍の空爆作戦を「最小化」させようとするロシアの取り組みと、シリア領内への戦闘員、武器、資金の越境阻止に向けた米国の域内諸国への支援強化の取り組みに歓迎の意を示した。
国連安保理がテロ組織に指定するダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線に関しては、物的・財政的支援の阻止を国際社会に呼びかけるとともに、敵対行為禁止合意を遵守する紛争当事者に対して両組織との連携を行わないよう求めることが確認された。
参加国はこのほかにも、シリア政府、ダーイシュ、反体制派による都市の包囲を非難、その解除を求めるとともに、人道支援物資の配給に向けた取り組みを継続することを確認した。
また、紛争解決に向けた政治移行プロセスについては、2016年8月1日を目処に当事者がその枠組みについて合意するようめざすことを確認した。
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なお、『ハヤート』(5月18日付)が複数の消息筋から得た情報によると、この声明は会合開催前にケリー国務長官とラブロフ外務大臣の間で合意されていたという。
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会合後、ジョン・ケリー米国務長官、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣、デミストゥラ国連特別代表は共同記者会見を開き、会合の成果について説明、その後記者との質疑応答が行われた。
そのなかで、ラブロフ外務大臣は「ジョン(・ケリー国務長官)はロシアとイランがアサドを支援すると行ったが、我々はアサドは支援していない。我々は「テロとの戦い」を支援しているのだ。今日、現地で我々はシリア軍以外に実態のある効率的な部隊を見ることはない…。みなが言っているし、認めている。アサド政権は政治プロセスが進まなかった時に深刻化する混乱に比べると、彼ら(欧米諸国)にとってましだ、と」と述べた。
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次回の会合は6月を目処に開催される見込みだが、日程は確定されなかった。
AFP, May 17, 2016、AP, May 17, 2016、ARA News, May 17, 2016、Champress, May 17, 2016、al-Hayat, May 18, 2016、Iraqi News, May 17, 2016、Kull-na Shuraka’, May 17, 2016、al-Mada Press, May 17, 2016、Naharnet, May 17, 2016、NNA, May 17, 2016、Reuters, May 17, 2016、SANA, May 17, 2016、UPI, May 17, 2016などをもとに作成。
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