ダーイシュはYPGと有志連合による「北ラッカ解放作戦」を尻目に、アレッポ県のトルコ国境地帯で勢力を一気に拡大(2016年5月27日)

アレッポ県では、ダーイシュ(イスラーム国)の広報部門アアマーク通信、シリア人権監視団によると、ダーイシュが県北西部のトルコ国境地帯(マーリア市およびアアザーズ市近郊)でトルコが支援するハワール・キリス作戦司令室に攻勢を強め、カフルカルビーン村、カルジャブリーン村、ナッダ村、ナイヤーラ村(および近郊の科学研究センター)、カフルブライシャ村、ターティーヤ村、タッル・フサイン市を制圧した。

シリア人権監視団によると、これによりダーイシュはアアザーズ市とマーリア市を結ぶ反体制武装集団の兵站線を遮断、マーリア市そしてその近郊のシャイフ・イーサー村への包囲が強化された。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(5月27日付)は、ダーイシュによる侵攻を認めたうえで、ハワール・キリス作戦司令室がその後、有志連合の空爆による航空支援を受け、このうちカルジャブリーン村内の複数拠点を奪還したと伝え、シリア人権監視団も有志連合の空爆などで、ナイヤーラ近郊の科学研究センターへのダーイシュの包囲が解除されたと発表した。

なお、シリア人権監視団によると、数週間前に、ダーイシュ最強部隊と目されるアブー・アンサーリー・ムハージル大隊がハサカ県南部およびラッカ県北部の前線からの撤退を命じられ、同大隊戦闘員約400人がアレッポ県北西部のトルコ国境地帯に再配置されていたという。

Kull-na Shuraka’, May 27, 2016

ARA News(5月27日付)によると、ダーイシュの進軍を受け、住民約500人が、西クルディスタン移行期民政局の支配下のアフリーン市方面に避難した。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Durar al-Shamiya, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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