YPG主体のシリア民主軍は米軍主導の有志連合の支援を受け、ラッカ市ではなく、アレッポ県東部のダーイシュの拠点都市マンビジュ市攻略に向けて攻撃を激化、20カ村を制圧、また有志連合の爆撃で住民15人が死亡(2016年6月1日)

アレッポ県では、シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(6月1日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が米主導の有志連合の空爆による航空支援を受け、県東部のダーイシュ(イスラーム国)の拠点都市の一つマンビジュ市一帯に突如進軍し、24時間でハールーラ村、シャイフ・ウバイダート村、ルマイラート村、ハマーダート村、シャーシュ・ハムダーン村、ジュッブ・シャイフ・ウバイド村、バッラーシャ村、アッルーシュ村、ジャナフ・アフマル村、ハシュハーシャ村、ハッジー・アリー村、アブー・サファー村、ルマイラー村、ビール・ウンマール村、マニーハール村、ヒルバト・ルース村などユーフラテス川の西岸に位置する20カ村および農村複数カ所を制圧した。

また有志連合の空爆により、ジャラーブルス市とマンビジュ市を結ぶダーイシュの兵站路上に位置するアウン・ダーダート村の橋を破壊したが、マンビジュ市東部一帯での有志連合の空爆で子供3人を含む2世帯15人が死亡したという。

ARA News, June 1, 2016

ARA News(6月1日付)は、複数の消息筋の話として、シリア民主軍はマンビジュ市制圧をめざして、米軍顧問の監督のもと数千人の戦闘員が戦闘に参加していると伝えた。

また、米政府の複数の高官は、ロイター通信(6月1日付)に対して、マンビジュ市東部一帯での戦闘は、シリア・トルコ両国を結ぶ兵站路を寸断したうえで、数週間中にマンビジュ市解放に向け、同地への攻撃を行うと述べたうえで、米軍特殊部隊もこの攻撃に参加すると付言した。

この攻撃を受け、マンビジュ市東部農村地帯に展開していたダーイシュは撤退を開始し、県北西部で包囲を続けている「穏健な反体制派」の戦略拠点マーリア市攻略に向け、同市東部のアンサブル村に再展開した。

マンビジュ市は、米・トルコ領政府が2015年8月に設置した「安全保障地帯」の南端に位置しており、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権は、同地を含むアレッポ県ユーフラテス川以西の地域を人民防衛隊が進入してはならない「レッド・ライン」とみなしている。

AFP, June 1, 2016、AP, June 1, 2016、ARA News, June 1, 2016、Champress, June 1, 2016、al-Durar al-Shamiya, June 1, 2016、al-Hayat, June 2, 2016、Iraqi News, June 1, 2016、Kull-na Shuraka’, June 1, 2016、al-Mada Press, June 1, 2016、Naharnet, June 1, 2016、NNA, June 1, 2016、Reuters, June 1, 2016、SANA, June 1, 2016、UPI, June 1, 2016などをもとに作成。

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